リーダーシップ研修は基礎的な内容から、状況に応じて手法を使い分けるもの、部下の主体性を引き出すものまでさまざまなものがあります。研修担当者としては、自社の課題に合わないテーマを選んでしまい、受講者の反応が今ひとつになってしまうことは避けたいはずです。
この記事では、よくある課題別におすすめのリーダーシップ研修のパターンをカリキュラム例つきで紹介します。研修の導入を検討する際の判断材料にしてください。
目次
リーダーシップ研修とは、リーダーに求められる役割や行動を理解し、チームを導くための知識やスキルを身に付ける研修です。役職者だけでなく、若手からベテランまで幅広い層が対象になり得ます。対象の階層や課題によって、扱うべきテーマは大きく変わります。
リーダーシップ研修の目的は、リーダーとして求められる役割や行動を理解し、チームを目標達成へと導けるようになることです。「チームの方向性を示す」「メンバーと信頼関係を築く」「成果が出るまで組織をまとめる」といった行動を、知識だけでなく実践できる状態を目指します。
ただし、一言でリーダーシップと言っても、扱うべきテーマは企業が抱える課題によって変わります。基礎から固めたいのか、特定のスキルを強化したいのかなど、選ぶべきパターンは異なってきます。
リーダーシップ研修を通して、主に次のようなスキルを身に付けられます。
リーダーシップ研修で身に付く主なスキル
詳しくは、以下の記事でも紹介しています。あわせてご覧ください。
リーダーシップ研修を選ぶときは、対象者のレベルと、自社が抱える課題の2軸で考えるとわかりやすくなります。同じ「リーダーシップ研修」という名前でも、扱う内容が異なれば得られる効果も変わってくるためです。

初めてリーダーの役割を担う人には基礎的な内容が向いていますし、すでにある程度の経験を積んでいる管理職には、特定のスキルの強化や自己認識を深める内容の方が響きやすい傾向があります。対象者が「これからリーダーになる人」なのか「すでにリーダーとして動いている人」なのかを、まず整理してみてください。
「チームがまとまらない」「PDCAが回らない」「部下が指示待ちになっている」など、現場で起きている課題を具体的に洗い出すことも欠かせません。課題が明確であるほど、どのパターンの研修が合うかが見えてきます。次章からは、課題別におすすめの研修パターンを紹介していきます。
紹介する8つの研修について、向いているケースと対象者を先にまとめておきます。詳細は各項目で解説します。
| 研修名 | こんなときにおすすめ | 主な対象者 |
|---|---|---|
| リーダーシップ研修 | 初めてリーダーの役割を担う / 基本から体系的に押さえたい | 中堅社員 / 管理職 |
| リーダーシップ研修 PDCA強化編 | チームの業務管理や遂行力を強化したい | 中堅社員 / 管理職 |
| リーダーシップスタイル研修 | 状況やメンバーに応じてスタイルを使い分けたい | 中堅社員 / 管理職 |
| 支援型リーダーシップ研修 | 部下の主体性を引き出したい / 指示型から脱却したい | 管理職 / マネジメント層 |
| ビジョン型リーダーシップ研修 | 組織の方向性を言葉にして浸透させたい | チームリーダー / 管理職 |
| オーセンティック・リーダーシップ研修 | 自分らしいリーダー像に悩んでいる | 中堅社員 / 管理職 |
| シェアドリーダーシップ研修 | 誰もが主体的に動く風通しの良い組織にしたい | 新人 〜 管理職(全職員) |
| 周囲を巻き込む影響力研修 | 中堅社員のつなぎ役としての巻き込み力を鍛えたい | 中堅社員 |
リーダーとしての土台をまだ作れていない場合は、まず基礎的な内容から固めましょう。「リーダーシップとは何か」という定義の理解から、チームをまとめる具体的な行動まで、一通り押さえられる内容が適しています。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | リーダーシップの理解 | リーダーシップの定義や資質か否かの整理 / マネジメントとの違い / リーダーに求められる行動の確認 / 自己分析ワーク |
| 2 | 方向性を示す | 目的の必要性と判断の軸になる理由 / 目的設定のための質問の立て方 / 目標の設定とスケジューリング / KPIの設定と進捗管理 |
| 3 | チームをまとめて成果を出す | メンバーが主体性を発揮する関わり方 / 権限と責任の明確化 / 会議のファシリテーション / 時間管理 |
| 4 | コミュニケーション | 関係性の構築と成長支援 / 傾聴・承認・感謝による信頼関係の構築 / 褒め方と叱り方のポイント |
| 5 | 働きやすい環境づくり | 心理的安全性の高め方 / 現状確認と行動への落とし込み |
「PDCAという言葉は知っているのに、日々の業務では回せていない」というケースは、多くの現場で見られる課題です。目標設定から振り返りまでの一連の流れを、リーダーの視点で再確認してほしいときは、PDCAに特化した内容が向いています。
Before
目標は立てるが、振り返りや改善まで手が回らない
After
チーム全体でPDCAをスピード感を持って回せる
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | リーダーに求められる仕事力 | リーダーシップの定義 / 組織のビジョンを理解し判断・行動する役割 / PDCAが目標達成のフレームワークである理由 |
| 2 | リーダーとしてのPlanの立て方 | 目的と目標の違い / あるべき姿と現状のギャップの洗い出し / SMARTな目標設定 / KPIの設定と計画立案 / チームへの浸透方法 |
| 3 | リーダーとしてのDo | メンバーへの動機づけと実施の徹底 / 率先して模範的な行動を取る姿勢 / 目的や全体像を含めた指示の出し方 / 中間報告のタイミングとポイント |
| 4 | リーダーとしてのCheck・Action | ギャップの把握方法(振り返り・定点観測・ToDoリスト活用) / 改善案を考える視点 / アクションプランの立案 |
一つのやり方に固執していると、メンバーの成熟度や状況によっては上手く機能しないことがあります。複数のリーダーシップスタイルを知り、場面に応じて選択できるようになってほしいという場合は、スタイル別のパターンを学ぶ内容が向いています。リスキルの研修では、次の4つのスタイルについて扱います。
指示型
一貫した方針のもと、素早く具体的な指示を出す
先導型
自ら行動で示し、高いレベルの目標を掲げて牽引する
人材育成型
自律的な思考を引き出し、成長を長期的に支援する
ビジョン型
長期的なビジョンを示し、共感と主体性を引き出す
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | リーダーシップの全体像 | マネジメントとの違い / 指示型・先導型・人材育成型・ビジョン型の4スタイル / リーダーシップ自己診断ワーク |
| 2 | 指示型リーダーシップ | 一貫した方針での判断 / 優先順位の明確化 / 5W2Hを意識した指示出し / 指示の記録化 |
| 3 | 先導型リーダーシップ | 行動で示す姿勢 / 高いレベルの目標設定 / 積極的な情報収集と無駄の排除 |
| 4 | 人材育成型リーダーシップ | 自律的な思考を引き出す関わり方 / 事実と変化に基づいたフィードバック / 部下へのフィードバック実践ワーク |
| 5 | ビジョン型リーダーシップ | 長期的なビジョンでの方向性提示 / メンバーの納得を得るビジョン設定 / 対話による浸透 |
| 6 | スタイルの使い分け | メンバーの習熟度に応じた使い分け / 自チームでの実践計画の作成 |
指示待ちのメンバーが多い、あるいはリーダーが一方的に引っ張るスタイルに限界を感じている場合は、支援型のパターンが選択肢になります。部下の行動を支援することで目標達成を目指す考え方です。
効果
注意点
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | サーバントリーダーシップ基本理解 | サーバントリーダーシップの定義 / メリットを確認 / 方向性を決めてから部下を支援する流れ |
| 2 | 方向性を示す | 企業のビジョンからのブレイクダウン / チームメンバーへの共有方法 / 責任はリーダーが持つことの明示 |
| 3 | 部下を支援する心構えと傾聴スキル | 献身性・成長思考・考えさせる姿勢 / 傾聴スキル / 失敗を歓迎し前へ進んでもらう関わり方 |
| 4 | 部下を支援する(承認) | 承認の重要性とIメッセージ・Weメッセージ / 行動を褒める・シェイピング・リフレーミング |
| 5 | チーム内の衝突への対応 | 主体性を委ねることで生じる衝突の理解 / Win-Winを目指すコンフリクトマネジメント / 対立解決の流れ |
| 6 | 実践計画の作成 | サーバントリーダーシップの実践方法の検討 / アクションプランの作成 |
リーダーシップとは引っ張っていくものだと思い込んでいたが、違う形のリーダーシップがあると初めて知った。
目標管理型のマネジメントだけでは、チームが停滞してしまうことがあります。魅力的な未来像を提示し、メンバーの自発的な意欲を引き出してほしいときは、ビジョン型のパターンが適しています。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | なぜ今、ビジョン型リーダーシップなのか | 現場で起きる停滞のパターン / 目標管理型・改善型マネジメントの限界 / ビジョンが推進力になる仕組み |
| 2 | 良いビジョンの構造理解 | 全社ビジョンと部門・チームビジョンの役割分担 / 良いビジョンの三要素(方向性・意味・感情) / 機能しないビジョンの共通パターン |
| 3 | ビジョンを描く技術 | バックキャスティングと未来思考 / 顧客・社会・組織の変化を読む視点 / ビジョンステートメントの作成ワーク |
| 4 | ビジョンを戦略・行動に翻訳する | 抽象から具体への分解プロセス / 重点テーマと優先順位の決め方 / KPIとの接続 |
| 5 | ビジョンを語り、浸透させる | メッセージの三層構造 / Before-Afterの対比を用いた語り方 / 共感を生むストーリーテリング |
リーダーの中には「理想のリーダー像を演じようとして疲れてしまう」という人もいるでしょう。自分の価値観や個性を偽らずにチームを導く力を身に付けたい場合には、オーセンティック・リーダーシップを扱う内容が候補になります。
オーセンティック・リーダーシップとは
「本物の」「自分らしい」という意味を持つリーダーシップのあり方。自分の価値観をきちんと理解すること、本音を隠さず誠実に伝えること、物事を偏りなく判断すること、自分の信念に沿って一貫した行動を取ることを大切にする考え方。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | 全体像の理解 | オーセンティックの意味 / 従来型リーダーシップとの違い / 4つの要素(自己認識・関係性の透明性・バランスの取れた情報処理・内在化された道徳観) |
| 2 | 自己認識 | 価値観の明確化ワーク / 強みと弱みのバランスの取れた自己評価 / 感情のトリガーの理解と管理 |
| 3 | バランスの取れた情報処理 | 認知バイアスの種類と対処法 / 情報源や反対意見の積極的な収集 |
| 4 | 関係の透明性 | 自己開示の種類と実践方法 / 情報共有とフィードバックの双方向性 / 信頼関係の構築と維持 |
| 5 | 内在化された道徳観 | 倫理的ジレンマへの対処 / 判断基準の明確化と一貫性のある行動 / 倫理的な組織文化づくり |
| 6 | 実践と応用 | 4つの要素の統合ワーク / 完璧を目指さない姿勢 / 行動計画の作成 |
管理職や責任者だけがリーダーシップを発揮する組織では、変化の速い環境に対応しきれないことがあります。誰もが必要な場面で主体的に動ける、風通しの良い組織を目指したい場合は、シェアドリーダーシップ研修がおすすめです。以下のような特徴があります。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | シェアドリーダーシップ基礎理解 | シェアドリーダーシップの定義とよくある誤解 / 誰もがリーダーになるために必要なスキル / フォロワーシップと職場環境の関係 |
| 2 | 強みを理解しリーダーシップを発揮する | 自己認識からのスタート / 企業やチームの目的理解 / 自身の強みの洗い出しワーク |
| 3 | フォロワーシップを発揮する | フォロワーに期待される貢献力・批判力 / フォロワーの5つの分類(逃避者・破壊者・従事者・実践者・協働者) |
| 4 | 職場環境を整える | 風通しの良い職場と心理的安全性の関係 / 職場づくりのためのアクションプラン |
自分の業務をこなすだけでなく、周囲を巻き込んでチームとしての成果を出す力を伸ばしてほしい場合におすすめです。中堅社員向けの内容として紹介されることが多いものの、若手社員がステップアップを目指す段階でも扱いやすい内容です。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | 求められる役割の理解 | 自身の業務だけでなく、チームで成果を上げる役割の理解 / 上司と部下をつなぐ立場としての意識づけ |
| 2 | 周囲を巻き込むコミュニケーション | 関係構築の方法 / 聴くスキルと伝えるスキルの習得 / 信頼を得るためのコミュニケーション演習 |
| 3 | リーダーシップとフォロワーシップ | それぞれに求められる役割や能力 / チームを一つにするための行動 / 自身の強みと課題の洗い出し |
後輩と上司との関わり方など、仕事を進めるうえで必要不可欠な調整力も身に付けることができて有意義だった。
どのパターンを選んだとしても、研修そのものの設計次第で効果は大きく変わってきます。研修を実施して終わりにせず、現場での実践につなげる工夫が欠かせません。
いずれの研修も、ワークやケーススタディを通して自チームに当てはめて考える時間を設けることで、研修後の定着率が変わってきます。研修担当者としては、事前に対象者の課題感をヒアリングしたうえで、カリキュラムの一部をアレンジできるかどうかも確認しておくと安心です。業務内容に合った事例でのワークを行うことで、より実務に落とし込みやすくなります。
リーダーシップ研修は、基礎的な内容からスタイルの使い分け、支援型、ビジョン型などさまざまなパターンが存在します。大切なのは自社の課題や対象者のレベルに応じてパターンを選ぶことです。
まずは現場で起きている課題を洗い出し、どのパターンが最も近いかを見極めるところから始めてみてください。複数のパターンを組み合わせて、階層ごとに異なる内容を用意するという進め方も選択肢の一つです。
リスキル事務局が記事の執筆・監修をしています。人材育成にまつわるお役立ち情報を分かりやすく解説します。
■社員研修のリスキルとは?
社員研修のリスキルは、一人でも多くの人に人材育成を届けるために、利便性の高い研修サービスを提供しています。検索をすれば、一社で実施する研修、日程が決まっている参加型公開講座、eラーニング動画講座などをすぐに見つけ、簡単に申込みや見積書を作成することができます。
■プロフィール
会社名:株式会社リスキル
(「リスキル」は株式会社リスキルの登録商標です。)
設立:2022年5月2日
上場市場:東京証券取引所グロース市場
■研修実績
・利用社数は年間3900社以上
・年間受講者数 前年比157%
・プロフェッショナルの講師陣300名以上在籍