リーダーシップ研修とは何なのか、どのような内容を扱うのか、初めて導入を検討する研修担当者にとっては疑問も多いはずです。また、マネジメント研修と何が違うのか、対象者は誰にすべきかといった点で迷う担当者も少なくありません。
本記事ではリーダーシップ研修とは何かという基本から、マネジメント研修との違い、目的や扱う内容、対象者、効果的に進めるポイントまでを整理して紹介します。
目次
リーダーシップ研修とは、組織やチームで目標を達成するために必要な考え方や行動を身に付ける研修です。カリスマ性や資質の話ではなく、後天的に習得できる行動として扱われます。
リーダーシップは「統率力」や「牽引力」と表現されることが多い言葉です。組織の中で目標を設定し、達成のために個人やチームへ働きかけ、成果を出す力全般を指します。地位や特権ではなく責任であり、周囲からの信頼によって成り立つものとされています。
リーダーシップとマネジメントは混同されやすい概念ですが、役割は異なります。両者はどちらが重要というものではなく、互いに補い合う関係です。
| 比較の観点 | マネジメント | リーダーシップ |
|---|---|---|
| 見ている時間軸 | 現在から近い将来の利益を見る | 長期の目線で変化を見据える |
| 目指す方向性 | 秩序を保ち、リスクを減らす | 変化を起こし、リスクを負う |
| 部下への関わり方 | 部下が的確に行動できるよう指導する | 自ら手本となる行動をとり、進むべき方向を示す |
| 動機づけの軸 | 理性に訴えて納得させる | 感情と理性の両方に訴えかける |
マネジメント研修が評価や労務管理といった役職に紐づく知識を扱うのに対し、リーダーシップ研修は役職の有無にかかわらず身につけておきたい行動そのものを扱う点が違いです。
チームの方向性を示す行動がなければ、どれだけ効率よく仕事を進めても組織が向かうべき場所にたどり着けません。リーダーシップ研修が必要とされる理由は、この方向性の欠如を防ぐことにあります。
Before
目的が示されず、メンバーがそれぞれ違う方向へ進んでしまう
After
目的が共有され、チームが同じ方向へ力を合わせて進める
メンバーの価値観や働き方が多様化する中、共通の目的に向かって力を合わせるにはリーダーシップの機能が欠かせません。しかし、こうした行動は誰かに教わる機会がないまま、管理職に昇進して初めて求められ、戸惑う人も多いでしょう。だからこそ研修という形で体系的に整理しておくことで、早い段階から役割に応じた行動を取れるようになります。
リーダーシップ研修の目的は大きく分けて2つあります。個人としての行動変容と、チーム全体の成果向上です。
1つめの目的は、受講者自身がリーダーとしてふさわしい行動を取れるようになることです。いずれも特別な才能を必要とするものではなく、日々の姿勢の積み重ねによって身に付いていきます。
リーダーに求められる基本行動
2つめの目的は、個人の成長をチームの成果につなげることです。目的の共有やコミュニケーション、働きやすい環境づくりを通じて、メンバーが主体的に動ける状態を目指します。
1人の力を2倍にするのではなく、チーム全体の力を4倍にも10倍にもしていくことが、リーダーシップ研修が目指す成果です。上司が細かく指示を出し続けるマイクロマネジメントの状態では、この主体性はなかなか育ちません。
リーダーシップ研修で扱う内容は、企業によって多少異なるものの、おおむね次の5つの要素で構成されます。
最初に扱われるのが、リーダーシップとは何かという基礎理解と、リーダーに求められる役割の理解です。リーダーシップは行動であることや、リーダーとして意識すべき役割行動を整理します。これまでの自身の行動を振り返り「できていること」「できていないこと」を言語化することで、自分ごとして捉える時間になります。
次に扱われるのが、チームの目的やゴールを示す力です。「何を達成するための集団なのか」「なぜそれを達成すべきなのか」を整理し、具体的な目標へ落とし込む方法を扱います。目標を設定する際には、SMARTと呼ばれる考え方がよく使われます。
SMARTとは
Specific(具体的)/ Measurable(測定可能)/ Achievable(達成可能)/ Related(経営目標に関連)/ Time-bound(期限がある)の5つの頭文字を取った、目標設定の考え方のこと。
目的や目標が決まった後は、それを実行に移すためにチームをまとめるスキルが扱われます。
権限の明確化
どこまで自分で判断してよいかをはっきりさせる
進捗管理
状況をリアルタイムに追いかけられる仕組みを作る
ファシリテーション
会議を良い方向へ進める力を身につける
いずれも特別なテクニックではなく、日々の業務の中で取り入れやすい行動です。
信頼関係を築き、メンバーの成長を支援するためのコミュニケーションも重要な要素です。傾聴や承認、感謝といった関係構築の基本から、行動に注目した褒め方や叱り方まで扱われます。
なかでも土台となるのが傾聴です。話す以上に聴くことに重点を置き、相手を評価せずに受け止める姿勢が、その後の承認や感謝を的確なものにしていきます。
最後に扱われるのが、メンバーが安心して力を発揮できる環境づくりです。心理的安全性という考え方を軸に、失敗を許容し、誰もが発言しやすい雰囲気をどう作るかを扱います。この雰囲気が欠けると、メンバーは質問をためらったり、自分のアイディアを提案できなくなったりします。結果として、一人ひとりの力が発揮されず、チームとしての成果にもつながりにくくなります。
心理的安全性とは
チームの中で、対人関係のリスクを恐れることなく、誰もが安心して発言や行動ができると感じられる状態のこと。
リーダーシップ研修は、管理職・中堅社員・若手社員まで幅広い層を対象としています。役職や経験年数によって求められるリーダーシップの中身が異なるため、それぞれの立場に応じた内容で実施することが重要です。
| 対象者 | 求められる力 | 研修で意識する点 |
|---|---|---|
| 管理職 | 組織全体を牽引する力 | チームの方向性提示 / 権限委譲 |
| 中堅社員 | チームや周囲を巻き込む力 | 自責思考 / メンバーへの働きかけ |
| 若手社員 | 主体的に行動する力 | 模範となる行動 / 自ら動く姿勢 |
リーダーシップ研修の効果を高めるには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
研修を効果的に進めるためのポイント
座学だけでなく、ワークやロールプレイを通して自分の考えを言語化する時間を設けることが大切です。そうすることで、研修内容を業務に落とし込みやすくなります。
対象者の役職や経験によって、業務で直面する課題は異なります。例えば、管理職であればチームマネジメントの比重をやや高め、若手・中堅であれば基礎理解の比重をやや高めるなど、内容の配分に強弱をつけることで、どの階層にとっても実務に近い研修になります。
研修実施から1〜3ヶ月後を目安に、上司との1on1や簡単なアンケートで「実際に行動が変わったか」を確認する機会を設けます。単発の研修で終わらせず、フォローアップとセットで設計することがポイントです。リスキルでは、研修から数カ月後にフォローアップアンケートを取ることが可能です。
リーダーシップ研修とは、リーダーシップを理解し実践できるようになるための研修です。チームの方向性の提示、まとめる力、コミュニケーション、働きやすい環境づくりなど、扱う内容は多岐にわたります。
対象者は管理職に限らず、次世代リーダー候補となる若手・中堅社員まで幅広く考えられます。自社の課題や対象者の階層に合わせて内容を調整しながら、行動の定着まで見据えた研修設計を検討してみてください。
リスキル事務局が記事の執筆・監修をしています。人材育成にまつわるお役立ち情報を分かりやすく解説します。
■社員研修のリスキルとは?
社員研修のリスキルは、一人でも多くの人に人材育成を届けるために、利便性の高い研修サービスを提供しています。検索をすれば、一社で実施する研修、日程が決まっている参加型公開講座、eラーニング動画講座などをすぐに見つけ、簡単に申込みや見積書を作成することができます。
■プロフィール
会社名:株式会社リスキル
(「リスキル」は株式会社リスキルの登録商標です。)
設立:2022年5月2日
上場市場:東京証券取引所グロース市場
■研修実績
・利用社数は年間3900社以上
・年間受講者数 前年比157%
・プロフェッショナルの講師陣300名以上在籍