「コミュニケーション研修を探しているものの、種類が多くてどれを選べばよいかわからない」という研修担当者の方は多いのではないでしょうか。コミュニケーション研修と一口に言っても、若手向けの基礎的なスキルを養うものから、管理職向けの部下対応、会議運営に特化したものまで内容はさまざまです。
本記事では若手・管理職・全社員という対象者と目的ごとでおすすめの研修10選とカリキュラム例を紹介します。研修選びの判断材料としてぜひ参考にしてください。
目次
コミュニケーション研修は、ビジネスシーンで必要な「聴く・伝える」能力を高め、互いの信頼関係の構築を目指す研修です。ビジネス上のコミュニケーションとは、さまざまな手段を用いて話し手と聴き手が互いの思いや考えを伝え合い、良好な関係を築くことを指します。多様な背景や価値観を持つ人材が集まる職場において、相手や場面に応じた適切な関わり方ができることは、円滑な業務遂行に欠かせないスキルといえます。
コミュニケーション能力は、次の4つのスキルから成り立っています。研修では、これらをワークやロールプレイを通して確認し、実際の会話で使える形に落とし込んでいきます。
| スキル | 内容 |
|---|---|
| 関係構築 | コミュニケーションの土台 / 挨拶や雑談を通して基本的な信頼関係を作る |
| 聴く力 | コミュニケーション力の中で最も重要な力 / 上手く聴くことで信頼関係が築かれる |
| 伝える力 | 自身の意見をわかりやすく伝える力 / 相手が納得できる伝え方が求められる |
| 非言語コミュニケーション | うなずきやあいづちなど「非言語」のスキル / 態度に気を配ることでやりとりが円滑になる |
知識として理解するだけでなく、体験を通して自身の癖に気づくことが、研修の効果を高めるうえで重要になります。
コミュニケーション研修は、新入社員から中堅社員、管理職まで、すべてのビジネスパーソンが対象になり得ます。上司と部下の間のやりとり・チーム内の連携・他部署との調整・社外の取引先との対応など、関わる相手やシーンによって求められるスキルが変わるため、目的に応じた研修を選ぶことが成果につながりやすくなります。
研修を探す前に「誰の」「何を」改善したいのかを整理しておくと、数ある研修の中から選びやすくなります。ここでは選定の軸を2つ紹介します。
新入社員なのか、中堅社員なのか、あるいは管理職なのかによって、必要となる内容は大きく異なります。たとえば若手であれば基礎的な聴く力・伝える力の習得が中心になりますが、管理職であれば部下への伝え方やフィードバックの質が課題になるケースが多くなります。
「部下に意見を伝えると関係がぎくしゃくする」「会議が長引く」「報連相がうまく回らない」など、現場で起きている具体的な困りごとを洗い出しておくと、研修選びの軸がぶれません。課題を先に言語化しておくことで、研修後の行動変容も測りやすくなります。
ここからは対象者と目的ごとに選んだ10の研修パターンを紹介します。自社の状況に近いものから確認してみてください。
まずは若手・新入社員向けです。上司や顧客とのやりとりに慣れていない段階だからこそ、基本の型を早めに身につけておくことが後々の負担を減らします。
若手や新入社員から「上司に何をどう相談すればいいかわからない」という声が上がっている場合には、フォロワーシップの視点を取り入れた「上司とのコミュニケーション強化研修」が効果的です。報連相の質を高めることにも直結します。
フォロワーシップとは
部下がリーダーを補佐すること。単に従うだけでなく、自ら考え、時に意見や提言を行いながら組織に貢献する姿勢を指す。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | コミュニケーション基礎理解 | 上司とのコミュニケーションで求められる要素を把握する |
| 2 | フォロワーシップの基礎理解 | 上司を支える立場としてのフォロワーシップの全体像を理解する |
| 3 | 関係構築・ノンバーバルコミュニケーション | 関係構築の手法と、表情や態度などノンバーバルスキルを習得する |
| 4 | 聴く・伝える力 | 聴く力と伝える力を高め、適切な報連相ができる状態を目指す |
特に重要なのは「聴く・伝える力」です。ここで報連相の型が身につくことで、上司の指示の意図を正しく汲み取れるようになり、指示待ちではなく自ら動ける若手の育成につながります。
商談の前後や顧客対応の合間の何気ない会話に苦手意識がある場合は、雑談力に焦点を当てた「雑談力強化研修」が向いています。雑談は「会話の導入」として商談や打ち合わせ前に相手との距離を縮める効果があり、万が一のトラブル時にも、日頃築いた関係性が収束の助けになります。短時間で実施しやすいテーマのため、営業職や接客の機会が多い職種でも受講のハードルが低いのが特徴です。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | 雑談力 | お客様がリラックスできる雰囲気を作るための話題選びと話し方のコツ / 誰に対しても好感を持たれる雑談のテクニック / トラブル時の関係修復にもつながる信頼関係の築き方 / 座学とワークを組み合わせた実践 |
| 2 | 会話を弾ませるための傾聴力 | 相手の話を引き出す傾聴の基本 / 相槌や質問の使い分け / 雑談を単なる世間話で終わらせず商談につなげる工夫 / ロールプレイによる実践確認 |
真面目な若手ほど「相談すること」に抵抗を感じ、一人で仕事を抱え込みがちです。適切なタイミングで周囲に助けを求める力を鍛える「ヘルプシーキング研修」で、相談のハードルを下げることができます。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | ヘルプシーキングの基本理解 | ヘルプシーキングの本質と、仕事において持つ価値を理解する |
| 2 | 心理的障壁の克服 | 相談をためらわせる心理的な壁を理解し、乗り越える方法を身に付ける |
| 3 | 効果的なヘルプシーキングの実践方法 | 誰にどう相談するかなど、具体的なスキルとテクニックを習得する |
| 4 | 継続的な支援関係の構築 | 一度きりで終わらせない、継続的な支援関係を築くための力を養う |
| 5 | 総合ワーク | 実際の業務場面を想定し、相談する力を実践的に身に付ける |
相談へのハードルが下がることで、トラブルの早期発見や業務の属人化防止にもつながります。
続いて管理職向けです。部下への伝え方や、チームとしての意思決定の場面など、個人としてのスキルとマネジメントの両面が問われる内容が中心になります。
指摘すると関係がぎくしゃくしそうで言葉を飲み込んでしまう、あるいはつい強い言い方になってしまう、という管理職には「管理職向けアサーティブコミュニケーション研修」が向いています。部下への指導やフィードバックの場面に絞った内容です。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | アサーティブな聴き方 | 管理職としての役割を踏まえ、部下の話をアサーティブに聴くスキルを身につける |
| 2 | アサーティブな伝え方 | 自分の意見を整理し、部下に対してアサーティブに伝えるスキルを身につける |
| 3 | アサーティブコミュニケーションの実践 | 部下対応の場面を想定し、学んだ技法を実践する |
特に土台となるのは「アサーティブな聴き方」です。これが身につくことで、部下との関係を損なうことなく、伝えるべきことをきちんと伝えられる管理職が育っていきます。
指示の出し方や褒め方・叱り方まで網羅的に扱いたい場合には「管理職向けコミュニケーション強化研修」が向いています。部下のモチベーション向上や、自発的な行動を促す関わり方にも重点が置かれた内容です。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | コミュニケーションの基礎理解 | 管理職に求められる役割とコミュニケーションの4つの柱を理解する |
| 2 | 聴く力 | 傾聴の基本姿勢とかかわり行動を身につけ、ロールプレイで実践する |
| 3 | 伝え方 | ピラミッドストラクチャーを使い、わかりやすい指示の出し方を習得する |
| 4 | 褒め方・叱り方 | 承認の重要性を理解し、部下を傷つけない叱り方・褒め方を身につける |
| 5 | 部下一人ひとりに適した対応をする | タイプ別の対応方法を学び、現場で使えるアクションプランを作成する |
会議や部門間の調整、利害の異なる相手との交渉など、落としどころが見えずに話が平行線をたどる場面もあるでしょう。そうした立場の違いを越えて合意点を見つける場面全般には「合意形成研修」が効果的です。アサーティブコミュニケーションとファシリテーションの両方の要素を含みます。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | 合意形成に必要なコミュニケーションスキル | 合意形成に欠かせないアサーティブコミュニケーションについて理解する |
| 2 | 集団での合意形成 | 集団での合意形成のために、ファシリテーションの基礎を学ぶ |
| 3 | 合意形成のための会議進行 | 会議の場をコントロールする方法を理解し、身につける |
| 4 | コンフリクトマネジメント | 一人ひとりが合意形成を行うためのコンフリクトマネジメントを理解する |
| 5 | アクションプランの作成 | 研修をもとに、明日から実施できるアクションプランを作成する |
立場の異なる相手とでも、あらゆる調整の場面で納得感のある結論へと導けるようになります。
最後は全社員向けです。階層を問わず共通して役立つ内容が中心で、全員に一律で受けてもらいたい研修や、複数階層を組み合わせて実施したい場合の土台にもなります。
「まずは全員に共通のベースを持たせたい」という場合には、コミュニケーションの基礎を体系的に扱う「コミュニケーション基礎研修」が適しています。関係構築から聴く力、伝える力、オンラインでのやりとりまで幅広くカバーする内容が向いています。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | コミュニケーションとは | 現状の課題を確認する / コミュニケーションとは何かを理解する / 円滑にする4つのスキルの全体像を把握する |
| 2 | 関係構築 | 関係構築の目的を理解する / 安心・信用・信頼という3つの要素を理解する / 関係構築に必要な心構えを身に付ける |
| 3 | 聴く力 | 傾聴の基本姿勢を理解する / かかわり行動を実践する / 基本的傾聴技法と質問の技術を習得する / ロールプレイで傾聴を実践する |
| 4 | 伝える力の基礎理解 | 伝えるスキルの基本を理解する / 要点を先に伝える型を身に付ける / 理由と根拠の示し方を理解する / PREP法を使って伝え方をワークで練習する |
| 5 | 相手に合わせたコミュニケーション | 相手のタイプ別の対応方法を理解する / 対応時の注意点を確認する / 自チームへの応用をワークで考える |
| 6 | オンラインコミュニケーション | コミュニケーション不足への対応策を理解する / 顔を合わせる機会の設計方法を理解する / オンライン下での信頼構築の工夫を理解する |
「話が伝わりにくい」「説明が長くなってしまう」という悩みには、論理的に話を組み立てる力を鍛える「ロジカルコミュニケーション研修」が向いています。演繹法・帰納法といった思考の型を、実際に話す場面に落とし込んでいく構成です。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | ロジカルシンキング基礎理解 | 論理的に考えることの必要性を、業務上のやりとりに紐づけて確認する |
| 2 | ロジカルシンキングの基本 | 論理展開の基本となる演繹法と帰納法の考え方を理解する |
| 3 | 論理的に分割する | 大きな問いを分割し、扱いやすい単位で考えられるようにする |
| 4 | 話す内容を組み立てる | 伝えたい内容を順序立てて組み立てる方法を習得する |
| 5 | わかりやすく伝える | 組み立てた内容を相手にわかりやすく伝えるための方法を身に付ける |
| 6 | 実践 | ロジカルシンキングの考え方と伝え方を、実際のケースで練習する |
話の要点が整理され、報告や提案の場面で相手の理解を得やすくなります。
「会議が長引く」「意見が出ないまま終わる」といった悩みには、会議の進行そのものを扱う「ファシリテーション基礎研修」が直接的に効きます。準備段階から当日の進行、トラブル対応まで一通り扱う内容です。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | 会議の現状把握 | 現状の会議における課題点を洗い出し、改善の方向性を見定める |
| 2 | 会議の流れと準備 | 会議全体の流れを理解し、事前準備の方法を確認する |
| 3 | 会議の進め方 | 発言を引き出しながら場をコントロールする方法を身につける |
| 4 | 会議中困ったことに対応する | 意見が出ない、話が脱線するなど、よくある事例への対応方法を学ぶ |
| 5 | 実践ファシリテーション | 実際の事例をもとに、ファシリテーションを一連の流れで実践する |
特に実務で特に役立つのは「会議中困ったことに対応する」という部分です。ここを押さえておくことで、会議時間の短縮だけでなく、参加者からより多くの意見を引き出せるようになります。
会社にいないオンライン上でのやりとりが難しいという声は、階層を問わずよく聞かれます。リモート環境ならではの配慮や工夫を扱う「リモート下の職場環境づくり研修」で、日常的な関わり方から見直していきます。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | リモート下における職場環境の課題 | リモート環境特有のコミュニケーション課題を理解する |
| 2 | 日常での適切なコミュニケーション | 日常の中で意識すべきコミュニケーションの方法を確認する |
| 3 | 偶発的な会話の場の設計 | 雑談のような偶発的な会話が生まれる場の設計方法を確認する |
離れていても信頼関係を保ちやすくなり、リモートワーク下での孤立感の軽減にもつながります。
ここまで10のパターンを紹介しましたが、これらはあくまで代表的な例です。営業職向けのヒアリング特化型や、医療機関・福祉業界向けの患者対応を意識した内容、チームでのゲームを行うゲーム型など、職種や業界に合わせた研修も数多く用意されています。自社の対象者にぴったり合うものが見つからない場合は、業界別・職種別の切り口でも探してみることをおすすめします。
コミュニケーション力の向上を個人任せにせず、研修として実施することには次のようなメリットがあります。
生産性の向上
認識のずれによる業務ミスが減り生産性が上がる
連携の強化
部署をまたいだ相談や情報共有がしやすくなる
信頼感の向上
顧客や取引先からの信頼感が高まりやすい
適切なコミュニケーションが取れるようになると、認識のずれや伝達漏れによる手戻りが減り、生産性の向上にもつながっていきます。特にチーム内の情報共有がしやすくなることで、目的に向かって意見を交わしやすい環境が育っていきます。
研修の効果を高めるためには次のような工夫が有効です。
「なぜこの研修を受けるのか」という目的が伝わっていると、受け身ではなく当事者意識を持って参加してもらいやすくなります。b特にロールプレイなどの体験を通すことで、知識として知っている状態から、実際に使える状態へと橋渡しができ、自分では気づきにくい癖の発見にもつながります。また、オンラインと対面のどちらでも同じ内容を用意しておくことで、拠点や勤務形態に関わらず公平に受講機会を確保できます。
実践やグループワークもあったため、実際の業務を想像しながら受講できました。
コミュニケーション研修は、対象者や解決したい課題によって適した内容が大きく変わります。誰に、どんな状態になってもらいたいのかを先に整理してからさまざまな内容を見比べてみることで、自社に合う研修が見つかりやすくなります。受講対象と課題を整理したうえで、検討を進めてみてください。
リスキル事務局が記事の執筆・監修をしています。人材育成にまつわるお役立ち情報を分かりやすく解説します。
■社員研修のリスキルとは?
社員研修のリスキルは、一人でも多くの人に人材育成を届けるために、利便性の高い研修サービスを提供しています。検索をすれば、一社で実施する研修、日程が決まっている参加型公開講座、eラーニング動画講座などをすぐに見つけ、簡単に申込みや見積書を作成することができます。
■プロフィール
会社名:株式会社リスキル
(「リスキル」は株式会社リスキルの登録商標です。)
設立:2022年5月2日
上場市場:東京証券取引所グロース市場
■研修実績
・利用社数は年間3900社以上
・年間受講者数 前年比157%
・プロフェッショナルの講師陣300名以上在籍