会議が長引く、意見が出ない、結論が曖昧なまま終わる――。こうした会議の悩みは、会社にとってあるあるです。対応方法としてファシリテーションを企画するケースも多いかと思いますが、一言でファシリテーション研修と言っても、原因によって効く研修が異なります。
この記事では、ファシリテーション研修において、おすすめ内容・カリキュラムを、よくある会議の課題別に整理してご紹介します。目的別に選べるよう一覧表もご用意していますので、人事や研修担当者の方が自社の状況に合う研修をすぐに見つけられる内容になっています。
目次
自社の会議の悩みに近いものから探せるよう、7つの研修を目的別に一覧にまとめました。気になる研修が見つかったら、リンク先か、後ほど詳細カリキュラムを見てみてください。
| No. | 研修名 | こんなときにおすすめ |
|---|---|---|
| ① | ファシリテーション基礎研修 | 会議運営の基本がまだ身についていない |
| ② | ファシリテーション研修 実践中心編 | 知識より実践でスキルを定着させたい |
| ③ | ロジカルファシリテーション研修 | 議論が発散し結論が曖昧になりがち |
| ④ | 会議時間短縮のためのファシリテーション研修 | 会議が長引き生産性が落ちている |
| ⑤ | 意見が出ない人へのファシリテーション研修 | 発言が一部の人に偏っている |
| ⑥ | 合意形成研修 | 対立を含めた合意形成力を幅広く鍛えたい |
| ⑦ | コンフリクトマネジメント研修 | 対立の調整にしぼって力をつけたい |
改めて、ファシリテーションとは、次のようなスキルを指します。
ファシリテーションとは
会議などの話し合いが目的に向かって進むように支援すること。場の進行を管理する働きかけと、参加者の発言や関係性への働きかけを組み合わせ、意見の違いを合意や次の行動につなげていくスキルを指します。
端的には、会議の生産性を上げるスキルです。ファシリテーションのスキルの全体像は下でまとめています。詳細を改めて確認しておきたい方は、ご覧ください。
ファシリテーション研修は特定の管理職だけでなく、幅広い層に必要とされるスキル研修になっています。かつては会議の進行役だけが身につければよいスキルとされていましたが、近年はリモートワークの普及や意思決定のスピード重視の流れから、参加者一人ひとりが会議を前に進める力を求められるようになりました。
会議に出席する時間はビジネスパーソンの労働時間のうち、かなりの割合を占めるとされています。その時間が生産的に使われるかどうかは、企業の業務効率そのものに直結します。だからこそ、人事担当者としては「誰にどんな研修を受けさせるか」を、会議の実態に即して見極める視点が重要になります。
ファシリテーション研修は一種類ではありません。基礎を固める研修、実践力を鍛える研修、特定の課題に特化した研修まで幅があり、自社の状況に合わないものを選んぶと、理解した内容が現場で活きないまま終わってしまうことになります。
まず整理したいのは、研修を受ける対象者が「会議を回す立場」なのか「会議に参加する立場」なのかという点です。ファシリテーターとして会議全体を設計し進行する力を鍛えたいのか、参加者としてもスムーズな議論に貢献できる力を鍛えたいのかで、選ぶべき研修は変わってきます。
会議の課題は大きく分けると「進め方が身についていない」「議論が発散してまとまらない」「時間がかかりすぎる」「発言が偏る」「意見が対立する」の5パターンにおおむね分類できます。次の章から、このパターンごとにおすすめの研修を見ていきます。
研修時間は3時間程度の短時間集中型から、6時間かけてじっくりワークを行うものまでさまざまです。対象者が新入社員であれば基礎を、中堅社員以上であれば実践や特定課題への対処を重視するなど、階層に応じた設計も欠かせません。
ただ、実践が重要な研修ではあるため、できるだけ長い時間を確保したほうが良いのは事実です。筆者の経験上、5〜6時間ないと消化不良になる確率が上がります。6時間程度は研修時間として確保できる日に行うと効果的でしょう。
「そもそも会議の進め方に自信がない」「新任リーダーにファシリテーションの基本を身につけさせたい」という場合には、まず土台となる基礎研修から始めるパターンが向いています。
対象者
新入社員〜管理職
所要時間
約6時間
意見や発言の処理方法、会議で起こりやすい問題への対処法、会議を設計するためのツールやフレームワークなど、ファシリテーションの土台を一通り習得できる研修です。会議の目的やゴールを明確にする準備段階から、実際の進行、まとめ方までを体系的に扱います。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | 議論で起こりやすい問題の把握 | 会議で陥りやすい集団思考のパターンを整理し、なぜ結論がずれるのか、なぜ発言が偏るのかといった問題の背景を理解します。あわせて、ファシリテーターが果たすべき役割と、予防的に取れる対策についても確認します。 |
| 2 | 意見・発言の処理 | 参加者一人ひとりの意見や発言を、その場にいる全員がわかりやすく捉えられるよう共有し、まとめる書記の方法を習得します。論点や問題点をあとから振り返りやすい記録の取り方も扱います。 |
| 3 | ツール・フレームワークの活用 | 議論を整理し、合意形成までスムーズに導くための代表的なツールやフレームワークを紹介し、実際のケースにあてはめながら使い方を身につけます。 |
| 4 | 会議の設計 | 会議のスタートからゴールまでの流れを、目的設定やアジェンダ作成を含めて事前に設計する演習を行います。準備段階の質を高めることで、当日の進行が格段にスムーズになることを体感します。 |
特に重要なのは「目的の確認」と「終了条件の明確化」です。研修の中でも重点的に触れています。次のような参加者のコメントにもある通り、印象にも残りやすいようです。
会議の目的を確認することや終了条件を明確にすることを心がけようと思います。
とにかく実践を繰り返し、明日の会議からすぐに使える形にしたいという場合には、演習中心の研修パターンが適しています。
Before
知識としては理解しているが、実際の会議になると手が止まる
After
ロールプレイで培った型を、実際の議題でそのまま再現できる
演習とフィードバックを繰り返すことで、自身の課題を洗い出しながら改善していく研修です。会議でファシリテーターとなる方だけでなく、参加者として会議に関わる方にも役立つ内容になっています。現場の業務に即した議題を使った実践もできるため、受講後にそのまま自社の会議で応用しやすいことが特徴です。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | 基本の再確認 | 実践に入る前に、ファシリテーションや会議参加における基本のポイントを短時間で振り返り、演習に向けた土台をそろえます。 |
| 2 | 会議実践ワーク | 各参加者がそれぞれ特徴を持った役割を演じながら、実際の議題をもとに会議を進行する演習を行います。現場の業務に即した議題を使うこともでき、より本番に近い形で経験を積むことができます。 |
| 3 | フィードバック | 会議実践を振り返り、自分自身の進行や発言、グループ全体としての課題や苦労した点を洗い出します。他の参加者の進め方を見ることも、気づきを得るきっかけになります。 |
| 4 | アクションプラン | 実践から得た気づきをもとに、明日以降の会議で具体的にどう行動するかというアクションプランを一人ひとりが設定し、研修の学びを現場に接続します。 |

実践だけではなく短時間ながら全体像は確認するので、参加者からは「各自が行き当たりばったりで進めていた会議に一つの型が作れた」といった声も寄せられています。
会議の議論が発散してしまう、意見はたくさん出るのに結論に落とし込めないという悩みには、論理的に議論を整理する力を鍛える研修が向いています。
ロジカルファシリテーションとは
会議中の意見や発言を「要約」「検証」「整理」「統合」という4つの視点から扱い、論点のズレを修正しながら議論を論理的に進行させる技術のことです。
議論の中の意見や発言を4つの視点からアプローチする力を身につけることで、発言の意図をわかりやすく整理し、論理的に正しい形で課題を共有できるようになります。ロジカルシンキングの要素も含んでいるため、会議進行だけでなく普段の思考整理にも応用が効きやすい内容です。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | ファシリテーターの役割理解 | 会議をロジカルに進めるためにファシリテーターが果たすべき役割と基本動作を理解します。感覚的な進行ではなく、意図を持って議論をコントロールする視点を養います。 |
| 2 | 発言の要約・検証 | 参加者の意見や主張をできる限りロジカルなものに整えるため、発言を要約し、その内容が妥当かどうかを検証する考え方とトレーニングを行います。 |
| 3 | 発言の整理・統合 | 複数の意見を整理し、統合していくことで、論点のズレを修正しながら議論を一つの結論へとまとめていく手法を習得します。 |
| 4 | フレームワーク活用 | 日常の会議でも使える代表的な思考法やビジネスフレームワークを紹介し、実際の議題にあてはめながら活用できる状態を目指します。 |
毎回同じような時間オーバーが続いている、会議のための会議になってしまっているという状態であれば、会議時間そのものに焦点を当てた研修パターンが効果的です。
会議が長時間化しやすい組織のサイン
会議が長時間化する原因を特定し、事前設計から当日の進行までを体系的に見直す研修です。アジェンダ作成や事前準備によって時間の無駄を未然に防ぐ手法と、当日の議論を短時間で収束させる介入技術の両方を扱います。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | 長時間化の原因分析 | 会議の設計段階、運営段階、そして会議の外側にあるプロセスのそれぞれに潜む問題点を整理し、自社の会議がなぜ長引くのかを客観的に分析します。 |
| 2 | 事前設計の技術 | 会議の目的や議題を明確にしたアジェンダを作成し、事前設計の段階から時間の無駄を最小化するための準備手法を身につけます。 |
| 3 | 当日の進行技術 | 開始時にゴールを共有し、終了時にはタスクを確認するなど、当日の進行を効率化するための一連の型を実践的に習得します。 |
| 4 | 議論の収束技術 | 発言を要約し可視化することで、冗長になりがちな発言や意見の対立を短時間で収束させ、質の高い合意形成へとつなげる介入技術を磨きます。 |
いつも同じ人しか発言しない、若手や新しいメンバーの意見が出てこないという悩みもよく聞かれます。ここへ対応するための研修です。
効果が出やすいケース
効果が出づらいケース
会議で意見が出ない心理的な要因を理解し、参加者が自然に発言できる場をつくるための訓練を行います。否定しない技術や、発言量が偏らないような進行設計を、具体的な手法として理解します。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | 沈黙のメカニズム理解 | 評価への不安や同調圧力など、会議で発言が止まってしまう心理的な要因を学び、なぜ沈黙が起きるのか、その背景を正しく理解します。 |
| 2 | 否定しない技術 | 参加者の発言意欲を削がないための否定しない技術を学び、少数意見も含めて発言を歓迎するリアクションや問いかけ、フィードバックの手法を具体的に習得します。 |
| 3 | 進行設計の工夫 | 全員が声を出すチェックインの実施や、上司や年長者が最後に話す工夫など、発言量が偏らず継続的に意見が出る仕組みを、運営の設計として学びます。 |
部署間の利害が対立してまとまらない、個人間の意見の違いが会議のたびに表面化するという場合には、合意形成そのものをテーマにした研修パターンが向いています。ここでは目的が近い2つの研修を紹介します。
個人間の合意形成に使える「アサーティブコミュニケーション」、集団での合意形成に使える「ファシリテーション」、対立時の「コンフリクトマネジメント」の3つを扱う、やや幅広いテーマの研修です。管理職やリーダー層など、部下を持つ立場の方に向いている内容になっています。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | アサーティブコミュニケーション | 個人間での合意形成の土台として、相手を尊重しながらも言いづらいことをきちんと伝えるアサーティブコミュニケーションの考え方と伝え方を学びます。 |
| 2 | ファシリテーションスキル | 会議など集団の場での合意形成に活用できるファシリテーションスキルを学び、複数人の意見をまとめながら着地点を探るための進行技術を身につけます。 |
| 3 | コンフリクトマネジメント | 会議内や日常のコミュニケーションで対立が発生した際に、双方が納得できるWin-Winの着地に導くための考え方と具体的な進め方を学びます。 |
| 4 | ケースワーク | ここまでに学んだ3つのスキルを、実際の場面を想定したケースワークの中で試し、フィードバックを受けながら定着させていきます。 |
対立そのものへの対処に絞って学ばせたい場合には、こちらの研修がより適しています。対立が発生する仕組みを理解した上で、相手の立場やニーズを踏まえてWin-Winな着地点を見つける調整力を、ケースワークを通して習得します。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | コンフリクトの理解 | 社内で対立が起きる仕組みを理解します。多くの場合、誰かの責任ではなく、部署や個人がそれぞれの目標達成を目指す中で譲れないものがぶつかることで対立が生まれることを学びます。 |
| 2 | コミュニケーションスキル | 対立の多くは対話によって解消されることを踏まえ、相手の立場や背景を理解した上で適切に聴くための、前提となるコミュニケーションスキルを強化します。 |
| 3 | 調整力の強化 | 相手の立場や価値観を把握した上でお互いのニーズを再確認し、再焦点化した上でWin-Winとなるアイディアを出していく調整力を、演習を通して鍛えます。 |
| 4 | ケースワーク | 個人間の対立と部門間の対立という2つの事例をもとに、どのようにWin-Winな状態へ持っていくかを実際に考えるケースワークを行い、スキルを定着させます。 |
対立が起きた際に双方の事情や背景を共有することの重要さに気づけました。
ここまで紹介したように、同じ「ファシリテーション研修」という名前でも、会議のどの課題に効くかは研修によって異なります。導入を検討する際は、まず自社の会議で起きている問題を具体的に洗い出し、そのうえで対象者の階層と照らし合わせて研修パターンを選ぶという順序がおすすめです。
課題の洗い出し
会議アンケートやヒアリングで現場の悩みを具体的に把握する
対象者の選定
ファシリテーター役なのか参加者全体なのかを明確にする
研修パターンの選択
本記事で紹介したパターンを参考に、課題に合う研修を選ぶ
また、研修の中で行う会議題材も必要であればカスタマイズすると効果的です。リスキルに限らずいくつかの研修会社では、企業ごとにカリキュラムのカスタマイズにも対応しています。まずは自社の会議の課題を整理したうえで、資料請求や見積りを通して具体的な内容をすり合わせていくとよいでしょう。
ファシリテーション研修は、会議運営の基礎を固めるものから、実践力を鍛えるもの、議論の整理力を高めるもの、時間短縮に特化したもの、発言を引き出すもの、対立を合意形成に導くものまで、目的ごとにいくつものパターンがあります。大切なのは研修名の目立つ部分だけで選ぶのではなく、自社の会議で実際に起きている課題を起点に選ぶことです。
会議の課題は一つとは限らないため、複数の研修パターンを組み合わせたり、段階的に導入したりすることも一つの方法です。本記事で紹介した内容を参考に、自社に合ったファシリテーション研修の選定を進めていただければ幸いです。
リスキル事務局が記事の執筆・監修をしています。人材育成にまつわるお役立ち情報を分かりやすく解説します。
■社員研修のリスキルとは?
社員研修のリスキルは、一人でも多くの人に人材育成を届けるために、利便性の高い研修サービスを提供しています。検索をすれば、一社で実施する研修、日程が決まっている参加型公開講座、eラーニング動画講座などをすぐに見つけ、簡単に申込みや見積書を作成することができます。
■プロフィール
会社名:株式会社リスキル
(「リスキル」は株式会社リスキルの登録商標です。)
設立:2022年5月2日
上場市場:東京証券取引所グロース市場
■研修実績
・利用社数は年間3900社以上
・年間受講者数 前年比157%
・プロフェッショナルの講師陣300名以上在籍