階層別研修とは、社員を新入社員や若手、中堅、管理職などのステージに分け、それぞれの役割とスキルに合わせた研修を提供する手法です。
多様化や変化が進む時代にあって、組織全体のスキル底上げと効率的な育成を実現するために注目されています。
本記事では、階層別研修の特徴や目的、社内・社外で実施する際の流れを解説します。
目次
階層別研修とは、社員が担う役割や持つべき能力に合わせた研修内容のことです。新入社員なら社会人の基本を、中堅社員なら問題解決やリーダーシップなど、階層に合わせて研修を実施します。
階層別研修を行うことで得られる効果は以下の通りです。
階層別研修を実施することで、企業が期待する役割を社員に認識してもらいやすくなります。
例えば、中堅社員としてリーダーシップ研修を実施した場合、「チームの中で私にはリーダーシップが求められているんだ」と理解してもらうことができます。リーダーという役職についてなかったとしても、後輩指導やチームのために主体的に動くことが求められているなどが研修を通して身に付き、現場での活用できます。
社員一人ひとりが役割を意識しながら仕事に取り組むことでチーム連携も円滑に進み、目標が達成しやすくなります。
階層別研修のもう一つの大きな利点は、社員が自分の成長を実感しやすくなることです。研修の内容が業務に直結しているほど、身に付けた知識やスキルを実践でき、自分の力が着実に上がっていると感じやすくなります。
その結果、自己重要感が高まり長期的なキャリアビジョンが描きやすくなるため、会社への帰属意識も育ちます。離職率の低減に大きく寄与するほか、従業員満足度の向上にもつながります。
階層別研修をこれから導入する、もしくは現状の研修形態を変えたいという方は「研修体系図」を作成することがおすすめです。研修体系図とは、「あなたに求められる役割は何で、その役割を果たすために受けてほしい研修一覧はこれです」というものが、わかりやすく図になったものです。人事や研修担当の方は、これを作成した後に研修の手配を行います。
なお、より詳しい作成方法は【5分でわかる】研修体系図とは何か?その作り方とポイントを解説にも記載されています。ぜひご覧ください。
ここからは、階層別に研修を実施する際におすすめの研修内容です。
新入社員研修は、入社直後から社会人への意識転換を促し、組織の基盤を作る上で重要です。
特に、ビジネスマナーやビジネスメール・電話応対方法を早期に習得することで、職場配属後スムーズに業務を遂行できるようになります。新入社員研修は長期的な人材育成の基盤として考え、段階的な学習計画を立てるのが効果的です。
代表的な研修は、 新入社員研修・新人研修です。また、入社後3ヶ月~1年以内に新入社員フォローアップ研修を実施することで、入社当時に学んだことが身に付いているか確認することもできます。その他におすすめの研修は以下の通りです。
研修テーマ | 詳細内容 |
---|---|
新入社員ビジネスマナー研修 | マナーの五原則を中心に、社会人としての土台を作り上げます。 |
新入社員 社会人基礎研修 | 学生から社会人へのマインドセット、心構えを学ぶ内容です。 |
新入社員向けコンプライアンス研修 | 法令遵守の重要性を学びます。 |
新入社員ビジネス文書研修・ビジネスメール研修 | メールの書き方や構成、メール上での敬語の使い方、わかりやすいメールの書き方を学びます。 |
新入社員ホウレンソウ研修 | 相手に上手く伝える方法やタイミングについても学びます。 |
新入社員電話応対研修 | 電話への苦手意識を払拭し適切な対応方法を学びます。 |
新入社員向け Excel(エクセル)研修 | Excelツールをビジネスで活用できる基礎レベルまで引き上げます。現場での育成が難しい部分でもあるため、研修で網羅的に扱うことをおすすめします。 |
若手・中堅のステージでは、会社の中核を担う人材としての役割が徐々に大きくなっていきます。これに合わせて、コミュニケーション力やリーダーシップ、論理的思考など多面的なスキルを育む研修が求められます。企業としても、若手から中堅へのステップアップを円滑に支援することで、人材の定着と成長意欲の向上を狙えます。
若手社員研修や中堅社員研修としておすすめの研修内容は以下の通りです。なお、研修内のケースワークやロールプレイなどのワークは、自身の職場に置き換えやすいものを実施すると自身の課題に気づくことが多いため良いでしょう。
研修 | 説明 |
---|---|
若手社員主体性発揮研修 | 若手・中堅層には、自分で考え行動する力と周囲と協同する力の両面が必要です。チームのために主体的に動くとはどのようなことかを理解してもらい、職場で活躍できるスキルを身に付けます。 |
フォロワーシップ研修 | チームを支えるメンバーとして、上司をサポートし部下を育成する役割が求められます。良いフォロワーになるための考え方やスキルを学ぶことができます。 |
ロジカルシンキング研修 | 論理的思考力は、若手・中堅層が役割を果たすために必要なスキルです。チーム内や取引先との間で発生した問題について、原因を分析し対応策を考える力を強化します。 |
キャリアデザイン研修 | 若手から中堅になるタイミングで、自分のキャリアを主体的に考える習慣を身につけることは極めて大切です。キャリアデザイン研修では、自分の得意分野や今後の目標を整理し、組織内での貢献方法を具体的にイメージさせます。 |
リーダーシップ研修 | これからリーダーとなる階層として、「リーダーとは何か」を理解し、必要な準備や身に付けておきたいスキルを確認します。 |
管理職研修は、組織運営の要としての役割を担う人材に向けて行われます。部下の育成や評価の正確さ、チームビジョンの共有など、多岐にわたるスキルが求められます。ここでは、部下のパフォーマンスを引き出す評価の方法や、組織をリードするための戦略的思考を身につける研修ポイントを紹介します。
研修テーマ | おすすめの研修内容 | 説明 |
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マネジメント研修 | - 管理職向けマネジメント研修 基礎編 |
人・業務・目標のマネジメントのポイントを学ぶことができます |
部下育成・後輩指導研修 | - 管理職向け 部下育成研修 - 部下育成のための指示方法研修 - 褒め方・叱り方研修 - コーチング研修 |
部下を育成しチーム力を上げることも管理職の重要な役割です。どのように部下を育成すれば良いか、指示の出し方やコミュニケーション、フィードバック方法を振り返り、強化すべき点を洗い出すことができる内容です。 |
経営視点を持つ | - 管理職向け 経営視点強化研修 - 管理職向け 経営力強化トータル研修 - 管理職向け 数字分析・思考力強化研修 |
経営視点に基づいた自社の課題を認識し、マネジメントする力を強化することができます。視座を高くもってほしいベテラン層の管理職などにおすすめの内容です。 |
職場環境作り | - 管理職向け 風通しのよい職場づくり研修 - 管理職向け ダイバーシティマネジメント研修 |
誰もが働きやすい職場は生産性が高まり成果を上げやすくなります。管理職としてどのように職場をつくり、管理していけばよいのかを学ぶことができます。多様性の時代において必要なスキルです。 |
評価者研修 | - 評価者基本研修 - 管理職向け 目標管理研修 |
公平で適正な評価をどのように意思決定していくか、部下の目標管理をどのようにしていくかを学ぶ内容です。属人化しやすいスキルのため、企業として研修を実施し考え方や方向性をすり合わせることが推奨されます。 |
階層別研修は、新入社員から管理職まで、各階層の特性や役割に合わせた教育を行うことで、組織の総合力を高める手法です。企業の目標やビジョンに合わせて研修体系を定期的に見直すことで、市場や技術の変化にも柔軟に対応できます。
特に、研修内容を実務に直結させる工夫や、定期的なフォローアップ・評価制度の構築が成功の鍵を握ります。学んだ知識やスキルを実際の現場で発揮できるようにすることが、研修投資を最大限に活かすポイントです。
また、社員一人ひとりのキャリア意識やモチベーションを高める意味でも、階層別研修は有効な取り組みとなります。自社の成長エンジンとして、継続的な改善と運用を行い、強固な人材育成基盤を築いていきましょう。
リスキル事務局が記事の執筆・監修をしています。人材育成にまつわるお役立ち情報を分かりやすく解説します。
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設立:2022年5月2日
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