「アンガーマネジメント研修を導入したいが、実際に受けた人はどう感じるのだろう」。アンガーマネジメントのような研修は効果を数字だけで判断するのは難しく、参考として受講者の生の声を知りたいという人事担当者は多いはずです。
この記事では、実際に研修を受けた方へのアンケートをもとに、良かった点と改善してほしい点の両方の感想を紹介していきます。このような研修では、満足の声だけでなく戸惑いの声も含まれており、その両方を知ることが自社に合った研修選びの近道になります。
目次
アンガーマネジメント研修とは、怒りという感情の仕組みを理解し、上手にコントロールする方法を身に付ける研修です。怒りを我慢したりなくしたりするのではなく、状況に応じて適切に抑えたり、伝える力を養うことが目的です。
アンガーマネジメントとは
怒りの感情と上手に向き合い、状況に応じて適切にコントロールしたり表現したりするための考え方や技術のこと。感情を抑え込むことではなく、扱い方を学ぶことが本質です。
アンガーマネジメントの詳細は下記の記事で詳しく解説しました。
感想を見ていく前に、まずは研修の全体像を簡単に確認しておきましょう。
一般的なアンガーマネジメント研修では、次のようなテーマを扱います。
アンガーマネジメント研修で扱う主なテーマ
内容の詳細や、バリエーションを知りたい方はこちらも参考にしてください。
これらのテーマは知識として知るだけでなく、ワークを通じて体感することで身に付きやすくなります。実際のアンケートでも、ワーク中心の進め方に関する感想が多く寄せられていました。
アンガーマネジメント研修は、主に中堅社員や管理職を対象に実施されることが多い研修です。部下を持つ立場になると、指導の場面で感情が先に出てしまい、後から後悔するというケースが少なくありません。研修の目的は、そうした場面での自分の反応パターンを知り、感情に振り回されずに伝えるための引き出しを増やすことにあります。
対象者
新人〜管理職
所要時間
2〜6時間程度(内容により変動)
ここからは、実際のアンケートに寄せられた感想を紹介します。まずはポジティブな感想から見ていきます。アンガーマネジメント研修 感想のアンケートを集計すると、研修内容に満足したという回答が全体の8割以上を占めていました。
本記事で紹介するアンケートのコメントは、実際に研修を受講した方の回答を基にしていますが、個人が特定できないよう文言や属性情報を加工しています。特定の企業や個人を示すものではありませんので、あらかじめご了承ください。
もっとも多かったのは、怒りという感情そのものへの気づきに関する感想です。自分では意識していなかった思考のクセに気付いたという声が目立ちました。
怒りの原因は「当たり前」だと知ったとき、思い当たることがいくつもありました。当たり前や普通という考え方を手放す必要があると感じました。
怒りの感情は自分の中にある「〜すべき」という思い込みから生まれると知り、今後の仕事にもプライベートにも活かせると感じました。
このほかにも、「10年で何度か似た研修を受けたが、毎回新しい気付きがある」という感想や、「自分の怒りの傾向を客観的に見つめ直す良い機会になった」という声も複数寄せられていました。
次に多かったのが、部下や同僚との関わり方に対する感想です。特に管理職からは、指導の場面を振り返る声が目立ちました。
怒ると叱るを区別して認識できるようになり、部下の行動が良くなるよう感謝とねぎらいの言葉を大事にしながらチームを強化していきたいと思います。
感謝の気持ちを言葉にすることの大切さへの言及も多く、「できて当たり前ではなく、感謝の言葉を忘れずに指導していきたい」といった感想が複数見られました。また、「相手の立場やタイプに合わせて伝え方を変えることで、より良い指導ができそうだ」という、具体的な行動につながる感想も目立ちました。
研修で扱う具体的なテクニックに対する感想も多数寄せられています。特によく挙がったのが、怒りを感じてから6秒待つという手法と、Iメッセージと呼ばれる伝え方です。
Iメッセージとは
「あなたは〜だ」ではなく「私は〜と感じた」という主語を自分に置いた伝え方のこと。相手を責める印象を与えにくく、感情を素直に伝えられる手法として研修でよく紹介されます。
Iメッセージという伝え方は、これから積極的に使っていきたいと思います。相手の考え方だけでなく、自分の感情を知ることも大切だと気付きました。
「第一次感情と第二次感情の違いを整理できた」「深呼吸と6秒待つことを組み合わせて実践したい」といった感想も多く、研修内で紹介される具体的な手法が、そのまま実務に持ち帰りやすいと感じている受講者が多いことがうかがえます。
良い感想が多い一方で、研修に対して改善を求める声も一定数ありました。ここでは代表的な感想と、そうした声が出やすい場面でどのような工夫をすると良いかをあわせて紹介します。
管理職経験が長い受講者からは、研修内容に目新しさを感じにくいという感想が見られました。
研修内容自体は、日頃のマネジメント業務で意識している内容と重なる部分が多く、特別な目新しさは感じませんでした。ただ、あらためて自分の関わり方を振り返る機会にはなったと思います。
こうした感想は、経験豊富な管理職層に基礎的な内容だけを実施した場合に出やすい傾向があります。対象者の役職や経験年数によって内容の難易度を調整し、管理職向けにはリーダーシップやチームビルディングの要素を厚くするなど、階層に応じたカリキュラムを組むことで防ぎやすくなります。
普段あまり感情的にならないタイプの受講者からは、内容がピンとこなかったという声もありました。
私自身、普段はあまり怒るということがないため、怒りに焦点を当てられても実感がわきにくい部分がありました。ただ、いざそうした場面になったときの対処法を知れたのは良かったです。
このような感想が出そうなときは、怒りをテーマにするだけでなく、ストレス対処や対人コミュニケーション全般につながるものとして研修を位置づけることを考えると良さそうです。自分が怒る場面だけでなく、周囲の怒りにどう対応するかという視点を盛り込むことで、より多くの受講者が自分事として捉えやすくなります。
グループワークやディスカッションの時間配分に関する感想も見られました。
ケース事例を使ったディスカッションの時間をもう少し長くしてほしかったです。また、人数が多い分、講師の方が複数いるとより深く議論できたのではないかと思います。
短めの時間で実施したときに見られる感想であるため、時間に余裕があれば1日(5,6時間)の研修にしてしまったほうが良いでしょう。
アンケートの感想を見ていくと、研修の前後で受講者の意識がどう変化したかも見えてきます。特に多かった変化を、Before/Afterの形で整理しました。
Before
怒りをできるだけ抑え込もう、感じないようにしようとしていた
After
怒りは感じてもよいものとして受け止め、コントロールに意識を起き、伝え方を工夫するようになった
Before
部下のミスに対してとっさに感情的な言葉が出てしまっていた
After
6秒待ってからIメッセージで伝えることを意識するようになった
Before
「これくらい当たり前」という基準で相手を評価していた
After
相手への期待値は人それぞれ異なることを前提に接するようになった
アンケートの評価項目を見ても、この変化を裏付ける結果が出ています。研修内容についての評価は、5段階中「4」以上と回答した受講者が全体の9割以上を占めており、実務への活用可能性についても同様に高い評価が集まっていました。
| 評価項目 | 評価4〜5の割合の傾向 |
|---|---|
| 研修内容の満足度 | 9割前後 |
| 実務への活用可能性 | 9割前後 |
| 目新しさを感じにくいという声 | 少数だが継続的に発生 |
数値としては高評価が中心である一方、やはり「知っている」という声は根強いものです。「知っているか」ではなく、「できているか」の視点で自身を評価するように受講者に伝えることはやはり重要でしょう。
ここまでの感想を踏まえると、アンガーマネジメント研修を成功させるためには、いくつか共通したポイントがあることがわかります。
感想から見えた研修成功のポイント
前述の通り、感想の中には「内容に目新しさを感じなかった」というものもありました。こうした声を減らすには、階層別・目的別に研修を使い分けることが有効です。たとえば、管理職には部下指導の要素を含む研修を、若手社員には基礎的な感情理解を中心とした研修を選ぶといった工夫が考えられます。
下記研修一覧も参考にしてみてください。
管理職向けにしっかりと時間をかけて実施したい場合は、部下への指導方法まで含めたカリキュラムを検討するのがおすすめです。
限られた時間の中でまずは基礎を押さえたいという場合には、半日で完結する形式も用意されています。
また、ハラスメント防止の観点を強めたい企業に向けては、パワーハラスメントの理解とあわせて学べる研修も用意されています。
アンガーマネジメント研修の感想をアンケートから見てきました。怒りの仕組みへの気付き、部下との接し方の変化、Iメッセージなどの実践的な技術への評価など、多くの受講者が前向きな感想を寄せている一方で、内容の深さやディスカッション時間についての改善要望も一定数存在します。
自社に合ったアンガーマネジメント研修を実施する際は、今回紹介したポイントを参考にしてみてください。
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