アンガーマネジメント研修の導入を検討するとき、「実際にどのような内容を、どのくらいの時間で学ぶのが良さそうか」という点を考えるはずです。
この記事では、6時間パターンと3時間パターンのカリキュラム例を挙げながら、アンガーマネジメント研修の内容と、研修を組む際のポイントを紹介します。読み終える頃には、自社の目的や対象者に合わせてどのようなカリキュラムで実施すればいいか、時間配分ごとに何が変わるのか、研修効果を高めるためにどんな工夫が必要かがわかるはずです。
目次
アンガーマネジメント研修は、怒りという感情の仕組みを理解し、適切にコントロールしながら伝える力を身に付ける研修です。怒りをなくすことや我慢することも大切ですが、状況に応じて怒りを適切な形で表現できるようになることが本来のゴールになります。
近年この研修への関心が高まっている背景には、ハラスメント防止や心理的安全性への意識の高まりがあります。以前は多少感情的な指導でも受け入れられていましたが、現在は指導の仕方そのものが厳しく問われるようになっているためです。
| 観点 | 従来 | 近年 |
|---|---|---|
| 指導のあり方 | 感情的な指導も受け入れられやすかった | ハラスメントに配慮した指導が求められる |
| コミュニケーション | 上下関係を重視した伝え方 | 相互理解や心理的安全性を重視 |
| 職場の価値観 | 同じ価値観の社員が多かった | 多様な価値観への配慮が必要 |
また、部下や後輩への指導、顧客対応、社内の人間関係など、怒りのコントロールが求められる場面は職種を問わず幅広く存在します。そのため、新入社員から管理職まで、幅広い階層に向けて実施されている研修です。

アンガーマネジメント研修の内容は企業や研修会社によって多少異なりますが、共通して扱われる基本要素は大きく4つに整理できます。まずこの全体像をつかんでおくと、後述するカリキュラム例もわかりやすいでしょう。
重要性理解
怒りコントロールの重要性を理解する
自己傾向の把握
自分がどんな場面で怒りやすいかを知る
衝動のコントロール
怒りのピークをやり過ごす方法を学ぶ
適切な伝え方
怒りを責めずに相手へ伝える方法を学ぶ
怒りは、不安や悲しみといった一次感情が許容範囲を超えたときにあふれ出る二次感情だといわれます。「怒り」を「良くないもの」と捉え、怒ることに罪悪感を抱いてしまいますが、怒りの感情は「嬉しい」「悲しい」「楽しい」と同様、自然なものです。
しかし、エネルギーが強いため、他の感情に比べて周囲への影響力が大きく、注意が必要です。怒りの特徴やそれによる影響を理解するのがファーストステップになります。
怒りやすい状況や相手、言動には個人差があります。研修では自身の怒りの強さや頻度を振り返るワークを通じて、怒りの背景にある「べき」という価値観に気付いていきます。この「べき」は人によって基準が異なるため、価値観の違いを理解することが、怒りを予防する第一歩になります。
怒りにはピークがあり、その瞬間に反応しないことが重要だとされています。代表的な手法が6秒ルールで、怒りを感じてから6秒間その場をやり過ごすことで、衝動的な発言や行動を防ぎやすくなります。深呼吸をする、その場を離れる、数を数えるといった具体的な対処法もあわせて紹介するのが良いでしょう。
6秒ルールとは
怒りを感じた瞬間から6秒程度待つことで、感情のピークをやり過ごし、衝動的な発言や行動を防ぐための考え方のこと。怒り自体をなくす方法ではない。
怒ることと怒鳴ることは別物です。研修では、事実と自分の解釈を分けて伝えること、相手を責めずに自分の要求を伝えることなど、アサーティブなコミュニケーションの基本を学びます。「私は」を主語にした伝え方も、よく紹介される手法のひとつです。
ここからは、実際の研修設計をイメージしやすいように、1章あたり1時間程度を想定したカリキュラム例を紹介します。まず6時間パターンです。1日かけてじっくり学ぶ形式のため、基礎理解から実践まで体系立てて習得したい場合に向いています。
全社員を対象に、アンガーマネジメントの基礎から実践までを一通り学ぶ構成です。
| 章 | テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | アンガーマネジメントの基礎理解 | アンガーマネジメントとは何か/怒りが生まれる仕組み/怒りの役割と必要性/問題となる怒りとならない怒り/ワーク 自分が最近怒った場面を振り返る |
| 2 | 自分の怒りの傾向を知る | 怒りやすい状況・相手・言動/怒りの強さと頻度の把握/怒りの背景にある価値観/「べき」という思考と怒りの関係/ワーク 自分の「べき」を洗い出す |
| 3 | 衝動的な怒りをコントロールする | 怒りのピークと衝動的な反応/6秒ルールとその活用/その場を離れる・深呼吸する・数を数える/ケーススタディ 職場でイラッとした瞬間への対応 |
| 4 | 怒りを生む考え方を変える | 出来事・解釈・感情の関係/許容できる範囲を広げる/変えられること変えられないことを区別する/ワーク 怒りを生んだ考え方を捉え直す |
| 5 | 怒りを適切に伝える | 怒ることと怒鳴ることの違い/相手を責めずに要求を伝える/事実と解釈を分けて伝える/ロールプレイ 部下・同僚への伝え方 |
| 6 | 職場でアンガーマネジメントを実践する | 上司・部下・同僚との怒りへの対処/叱るときのポイント/怒りをため込まない職場づくり/総合ワーク 行動計画の作成 |
管理職やリーダー層に特化した内容です。部下への指導やハラスメント防止の観点を重視した構成になっています。
| 章 | テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | 管理職に必要なアンガーマネジメント | 怒りが部下の心理や行動に与える影響/指導・叱責とハラスメントの違い/怒ってはいけないのではなく怒り方を選ぶ/ワーク 自分のマネジメントを振り返る |
| 2 | 自分の怒りを理解する | 管理職が怒りやすい典型的な場面/期待と現実のギャップ/「部下はこうあるべき」という価値観/ワーク 部下に対する「べき」を整理する |
| 3 | 感情に任せた言動を防ぐ | 6秒ルールとタイムアウト/怒っている状態で判断しない/メールやチャットで感情的に反応しない/ケーススタディ 部下のミスが繰り返された場合 |
| 4 | 怒りに振り回されない思考法 | 事実と自分の解釈を分ける/部下との価値観・経験の違いを理解する/許容範囲と指導基準を明確にする/ワーク 別の視点で捉え直す |
| 5 | 適切な叱り方・伝え方 | 「怒る」と「叱る」の違い/人格ではなく行動に焦点を当てる/人前で叱らない・過去を持ち出さない/ロールプレイ 部下への改善指導 |
| 6 | 怒りを生みにくい職場をつくる | 部下が相談しやすい関係づくり/心理的安全性とアンガーマネジメント/チーム内の対立への介入/総合ワーク 行動計画の作成 |
Before
感情的な指導になり、部下との関係がぎくしゃくする
After
事実と行動に焦点を当てた、伝わる指導ができる
6時間パターンは、知識のインプットとワークをバランスよく組み込めるため、研修効果の定着を重視したい場合に使いやすい形式です。特に、初めてアンガーマネジメントを学ぶ社員が多い企業や、行動計画の作成まで研修内で完結させたい企業に向いています。
6時間パターンが向いているケース
半日で実施できる3時間パターンは、業務への影響を抑えながら実施したい場合に選ばれています。6時間パターンの内容を凝縮し、要点を絞って学ぶ形式です。
全社員向けに、基礎理解からコントロール方法、伝え方までを半日で学ぶ構成です。
| 章 | テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | アンガーマネジメントの基礎理解 | アンガーマネジメントとは何か/怒りが生まれる仕組み/怒りの背景にある「べき」という価値観/ワーク 自分が怒りを感じる場面を振り返る |
| 2 | 怒りをコントロールする | 怒りのピークと6秒ルール/その場を離れる・深呼吸するなどの対処法/出来事・解釈・感情の関係/ワーク 怒りを生んだ考え方を捉え直す |
| 3 | 怒りを適切に伝える | 怒ることと怒鳴ることの違い/感情ではなく事実・行動について伝える/「私は」を主語にした伝え方/ケーススタディ 職場での怒りへの対応 |
3時間の中で、管理職に求められる指導のあり方まで踏み込む構成です。
| 章 | テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | 管理職に必要なアンガーマネジメント | 怒りが部下・チームに与える影響/「怒る」と「叱る」の違い/指導・叱責とハラスメントの違い/ワーク 部下に怒りを感じる場面を振り返る |
| 2 | 感情に任せた言動を防ぐ | 怒りが生まれる仕組み/怒りのピークと6秒ルール/事実と自分の解釈を分ける/ケーススタディ 部下のミスが繰り返された場合 |
| 3 | 部下を適切に指導する | 人格ではなく行動に焦点を当てる/事実・影響・期待する行動を具体的に伝える/人前で叱らない・過去を持ち出さない/ロールプレイ 部下への改善指導 |
3時間パターンは、半日で実施できるため業務への影響を抑えやすい点が特徴です。要点を絞っている分、内容の深掘りよりも「まず基本を知ってもらう」ことを目的とした導入研修に向いています。
メリット
デメリット
アンガーマネジメント研修 カリキュラムを設計するときは、時間配分だけでなく、対象者や目的に応じて内容の重心を変えることが重要です。
特に管理職向けの研修では、怒りのコントロールに加えて「怒る」と「叱る」の違いや、部下への伝え方まで扱うことで、指導力の向上とハラスメント防止を同時に狙うことができます。また、褒め方研修・叱り方研修のように、フィードバックの技術を扱う研修と組み合わせることで、学びをより実践的なものにできます。
怒りの感情は自分の中の「べき」から起きているという原理を知れたので、今後の仕事にも活かしていけると思いました。
研修受講者の声より
社員研修のリスキルも様々なアンガーマネジメント研修を提供しています。
特に人気なのは次の2つです。
アンガーマネジメント全体像理解研修は、怒りの基礎理解から始まり、怒りのセルフコントロール、アサーティブな伝え方、最後にケースワークを用いた実践ワークまでを1日かけて学ぶ構成です。新規獲得後の対応が雑になる部下や、指導を避けがちな部下など、実際の職場でよくある場面を扱いながら、学んだ内容をその場で使える形に落とし込みます。
アンガーマネジメント研修 半日編は、怒りの基礎理解、怒りのセルフコントロール、アサーティブに感情を伝える、という3つの要素に絞って半日で学ぶ構成です。全社員への展開や、業務時間への影響を抑えたい場合に選ばれています。
ここで紹介したカリキュラムは目安であり、対象者や課題感に応じて章立てや時間配分を変更できるケースが一般的です。導入を検討する際は、自社の課題を伝えたうえで研修企業へ相談してみることをおすすめします。
アンガーマネジメント研修 内容は、怒りのメカニズムを理解する基礎パートと、コントロール方法や伝え方を学ぶ実践パートの組み合わせで構成されています。6時間パターンでは体系的に、3時間パターンでは要点を絞って学べるため、対象者や実施できる時間に応じて選ぶことが大切です。
また、全社員向けと管理職向けでは扱う内容の重心が異なるため、誰に向けた研修なのかを明確にしたうえでカリキュラムを組むことが、研修効果を高める近道になります。カリキュラムの詳細や自社に合わせたカスタマイズについては、研修会社に相談しながら検討してみてください。
リスキル事務局が記事の執筆・監修をしています。人材育成にまつわるお役立ち情報を分かりやすく解説します。
■社員研修のリスキルとは?
社員研修のリスキルは、一人でも多くの人に人材育成を届けるために、利便性の高い研修サービスを提供しています。検索をすれば、一社で実施する研修、日程が決まっている参加型公開講座、eラーニング動画講座などをすぐに見つけ、簡単に申込みや見積書を作成することができます。
■プロフィール
会社名:株式会社リスキル
(「リスキル」は株式会社リスキルの登録商標です。)
設立:2022年5月2日
上場市場:東京証券取引所グロース市場
■研修実績
・利用社数は年間3900社以上
・年間受講者数 前年比157%
・プロフェッショナルの講師陣300名以上在籍