中堅社員研修の企画・進め方|目的設定から実施・振り返りまで

中堅社員研修は、リーダーシップや後輩育成、課題解決、フォロワーシップなど、扱うテーマの幅が広い研修です。中堅社員に期待される役割は共通していても、特に伸ばしてほしい力は企業によって異なるためです。候補が多い分、テーマから選び始めると、自社の課題と研修内容がかみ合わないこともあるでしょう。

本記事では、自社が中堅社員に求める役割と現在の課題を起点に、研修を企画する方法を7つのステップで紹介します。テーマの決め方やよくある失敗、効果を高めるポイントもあわせて整理しました。

作成者
株式会社リスキル

東証グロース上場(291A)・研修実績 年間3,900社以上

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中堅社員研修を企画する前に確認したいこと

具体的な企画に入る前に、何のために中堅社員研修を行うのかを確認しておきましょう。

中堅社員に求める役割を整理する

中堅社員には、大きく次の3つの役割が求められます。

1

仕事のメインプレイヤー

担当業務で成果を出し、チームの業務を支える

2

上司をサポートするフォロワー

上司の方針を理解し、必要なサポートや提案を行う

3

後輩を支えるリーダー

後輩を指導し、周囲に働きかけながら仕事を進める

この3つの役割は、どれか1つを選ぶものではなく、基本的にはすべて中堅社員に期待されるものです。企画の際に整理したいのは、役割を果たすうえで特にどの力を伸ばしてほしいかです。

たとえば、役割ごとに次のような期待が考えられます。

  • メインプレイヤー:担当業務の進め方を見直し、業務改善や生産性向上を進めてほしい
  • フォロワー:上司の方針を踏まえて現場の問題を見つけ、改善策を提案してほしい
  • リーダー:後輩の指導を任せて、管理職に集中している育成の負担を分担したい

伸ばしてほしい力が複数ある場合は、現状とのギャップが大きいものから優先順位をつけておきましょう。

3つの役割を前提に、自社が中堅社員に特に伸ばしてほしい力を言葉にしておくことが、企画全体の起点になります。

現在抱えている課題を把握する

中堅社員に期待する役割を整理したら、組織として今どのような課題を抱えているかも確認しておきましょう。たとえば、次のような課題が考えられます。

  • 若手の離職が続き、育成の担い手が求められている
  • 管理職候補が不足し、次の世代が育っていない
  • 業務が特定の人に偏り、ノウハウが共有されていない

こうした課題と中堅社員の役割を結びつけておくと、「なぜ今、中堅社員研修を行うのか」を社内に説明しやすくなります。

研修で解決できる課題かを見極める

課題の中には、研修では解決しにくいものもあります。たとえば後輩指導が進まない原因が業務量の多さなら、指導方法を伝えても実践する時間を確保できません。

ポイント

研修で解決しやすいのは、知識やスキル、考え方の不足が原因となっている課題です。業務量・評価制度・配置などが原因の場合は、研修と並行して制度や業務の見直しも検討しましょう。

中堅社員研修を企画する7つのステップ

企画前の確認ができたら、具体的な企画に進みます。確認した課題をもとに対象者を決め、対象者の行動レベルで現状と期待する状態を具体化します。そこから目的・スキル・テーマを順に決め、最後に研修時間・実施形式と研修後のフォローを設計する流れです。

1. 研修の対象者を明確にする

中堅社員研修の対象者は、「入社5年目以上」のように年次で区切られることがよくあります。しかし、年次だけで決めると解決したい課題と関係の薄い社員まで対象に含まれてしまいます。対象者は、「自社が抱える課題を解決するために、誰に行動を変えてほしいか」という視点で決めましょう。

たとえば「若手の離職が続き、育成の担い手が求められている」という課題なら、後輩指導を担う社員が対象になります。これから後輩指導を任せる予定の社員を含めてもよいでしょう。

そのうえで、年次・役職・経験の条件を加えます。「入社5〜8年目の非管理職で、後輩指導を担っている社員」のように定義すると、研修内容を考えやすくなります。

同じ年次でも担う役割の差が大きい場合は、対象者を分けて実施する方法もあります。

2. 対象者の「現在の状態」と「期待する状態」を具体化する

「若手の離職が続いている」「管理職候補が不足している」といった課題は、組織全体から見たものです。このステップでは対象者に絞り、日々の行動のレベルで「現在どうなっているか」と「どうなってほしいか」を書き出します。上司・現場へのヒアリングや人事評価、本人へのアンケートなどが情報源になります。

現在の状態 期待する状態
後輩の質問に、その場の判断で答えている 後輩が自分で考えて動けるよう、段階的に指導できる
担当業務を1人で抱え込んでいる 周囲と分担しながら、チームで成果を出せる

上司と本人で捉え方が食い違うこともあるため、複数の情報源を照らし合わせることが大切です。

3. 研修の目的を設定する

目的は「何を教えるか」ではなく、「研修後にどのような状態になってほしいか」で設定します。

Before

後輩に聞かれたことはすべてその場で教える

→

After

後輩が自分で考えて動けるよう、段階的に指導できる状態になる

研修後の状態を目的にしておけば、成果を現場の行動で確かめられます。設定した目的が、ステップ2で整理した「期待する状態」とつながっているかも確認しておきます。

4. 身に付けてほしいスキルを決める

目的から逆算して、必要なスキルを洗い出します。ステップ3の例であれば、相手の理解度に合わせた教え方や、話を聴いて考えを引き出す傾聴が挙げられます。仕事を任せる範囲を判断する力も必要になるでしょう。

すでに身に付いているものや、OJT(職場で実務を通じて行う指導)で補えるものを除き、研修で扱うスキルを絞り込みます。

5. 研修内容・テーマを決める

身に付けてほしいスキルを、研修のプログラムに落とし込みます。テーマとあわせて、講義・演習・振り返りをどう組み合わせるかも考えておきます。

身に付けてほしいスキルが複数ある場合は、テーマ同士のつながりも意識します。たとえば「仕事の進め方」と「後輩指導」の2つを扱うとします。自分の業務を効率化し、生まれた時間を後輩指導にあてるという流れにすると、2つのテーマを無理なく結びつけられます。

このとき、目的・スキル・テーマが一本の線でつながっているかを確認してください。目的との関係を説明できないテーマは、今回の研修からは外す判断も必要です。テーマの選び方は、次の「中堅社員研修のテーマを決めるときの考え方」で紹介します。

6. 研修時間・実施形式を決める

研修の時間と形式は、目的と内容に合わせて選びます。

項目 選択肢 向いているケース
時間 半日 特定のスキルに絞って集中的に取り組む
時間 1日 講義と演習を組み合わせ、考え方からスキルまで扱う
回数 複数回 研修と実践を繰り返し、行動の定着まで見届ける
形式 対面 受講者同士の議論や関係づくりを重視する
形式 オンライン 拠点が分散している/短時間の研修を複数回行う

複数のテーマを扱う場合は、1日に詰め込むよりも、テーマごとに回を分けて実施する方法もあります。

7. 研修後の振り返り・フォローを設計する

研修で得た気づきを実務で活かせるよう、研修後の流れも企画段階で設計しておきます。

1

行動目標の設定

研修の最後に、職場で取り組む行動を受講者が決める

2

上司との共有

上司と部下の定期的な1対1の面談(1on1)などで、行動目標を共有する

3

実践後の振り返り

1〜3か月後に、実践できたことと難しかったことを確認する

振り返りの時期を事前に決めておくと、ステップ3で設定した目的が達成できたかどうかも判断しやすくなります。

中堅社員研修のテーマを決めるときの考え方

研修テーマは、自社が抱える課題に合わせて選ぶのが基本です。課題の例とテーマの方向性を対応させると、次のようになります。

課題の例 テーマの方向性 関連する研修の例
自分に期待されていることを理解していない 役割を理解する 中堅社員向け組織貢献力研修
指示を待つ傾向があり、業務が滞りやすい 主体的に仕事を進める 中堅社員モチベーションアップ研修
部署間の連携や上司を支える動きが弱い 周囲を巻き込む 周囲を巻き込む力研修
若手の育成が個人任せになっている 後輩・部下を育成する 中堅社員向け部下育成研修
改善の提案が出ず、問題が先送りされる 課題を発見し解決する 中堅社員向け課題解決研修

実際には、複数の課題が重なっていることも多いはずです。その場合は優先度の高いテーマから選び、ステップ5で触れたように組み合わせ方を検討しましょう。

テーマの候補が決まったら、研修名だけで判断せず、カリキュラムの中身まで確認します。同じ「リーダーシップ」がテーマでも、研修によって扱う内容は異なります。チームをまとめる考え方が中心の研修もあれば、後輩への働きかけを演習で繰り返す研修もあります。

カリキュラムを確認するときは、ステップ2で書き出した「期待する状態」と照らし合わせると判断しやすくなります。後輩を段階的に指導できる状態を目指すなら、問いかけ方や任せ方を練習する演習があるかを確認しましょう。

期待する状態とのつながりが見えない内容が多い場合は、別の研修を検討するか、研修会社に内容の調整を相談します。

テーマごとの研修内容や、具体的な組み合わせ方は次の記事で紹介しています。

中堅社員研修の企画でよくある失敗

企画書がまとまった段階で、次の4つに当てはまらないか確認してみてください。

研修を実施すること自体が目的になっている

「毎年実施しているから」という理由で企画すると、研修後に何が変わったのかを説明しにくくなります。組織の課題と目的を結びつけて説明できるかを確認しましょう。

中堅社員に求める役割と研修内容が合っていない

たとえば、業務改善を進める力を伸ばしてほしいのに、研修では心構えや役割理解だけを扱っているケースです。受講者は、研修の内容と職場で求められることの違いに戸惑いやすくなります。

テーマを詰め込みすぎている

4つの中で、特に注意してほしいのがこの失敗です。これまで数多くの中堅社員研修を提供してきた経験から、研修の成果につなげるには、テーマの絞り込みが欠かせないと考えています。

中堅社員には3つの役割が期待されるため、あれもこれも伝えたくなるのは自然なことです。しかし、優先順位をつけないまま1回の研修に詰め込むと、どのテーマも表面的な紹介で終わってしまいます。受講者は「結局、職場で何をすればいいのか」がわからないまま研修を終えることになりかねません。

1回の研修で扱うテーマは絞り込み、優先度の高いものから順に扱う。これが、研修を職場の行動につなげるための最も重要なポイントです。扱いきれなかったテーマは、次回以降の研修に回しましょう。

研修後の実践・振り返りまで設計していない

当日の満足度が高くても、職場で実践する機会がなければ、研修の内容は徐々に忘れられてしまいます。行動目標の設定や振り返りの時期は、企画段階で決めておきたいところです。

中堅社員研修の効果を高めるポイント

研修の効果を高めるには、受講者と上司を巻き込みながら運用することが大切です。研修前・研修中・研修後の流れに沿って、4つの工夫を紹介します。

研修前に課題と目的を共有する

受講者本人と上司に、研修の目的を事前に伝えておきます。本人が研修を受ける理由を理解していると、当日の参加姿勢が変わります。研修前の上司との面談で業務上の困りごとを整理しておけば、研修中も自分の課題に引きつけて考えやすくなります。

実務に近いワークを取り入れる

一般的な事例より、自社で起こりそうな場面を題材にしたほうが取り組みやすくなります。たとえば後輩指導なら、「繁忙期に同じ質問を繰り返す後輩にどう対応するか」をグループワークで話し合う方法があります。

研修後に実践する機会をつくる

後輩指導の研修のあとに新人のOJT担当を任せるなど、研修内容を試せる業務を用意します。人事部門と現場で相談し、研修後の業務の割り振りを検討しておくと効果的です。

上司や現場と連携してフォローする

研修後も上司が行動目標を把握し、日常業務の中で声をかけることが望まれます。ただし、上司に任せきりにするのは避けたいところです。振り返り用シートの用意や上司への研修内容の共有など、人事部門でも環境を整えておきましょう。

中堅社員研修を企画するときは自社の課題から考える

中堅社員研修の企画では、一般的におすすめされているテーマをそのまま取り入れるよりも、自社の状況から考えることが重要です。

まず自社が中堅社員に求める役割と現在の課題を整理します。そのうえで、研修の目的、身に付けてほしいスキル、テーマ、内容を順に決めていきます。この流れを押さえ、研修後の振り返りまで含めて設計することで、研修の成果を職場の行動につなげやすくなります。

自社の課題に合う研修を検討する際は、リスキルの中堅社員研修の一覧も参考にしてみてください。

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