リスキルラボ 新入社員フォローアップ研修の目的とは?6つの目的と生かし方

新入社員フォローアップ研修
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配属から数か月が経った新入社員に対して、どのようなフォローを行っているでしょうか。OJTや面談だけでは、配属先によって育成に差が出たり、新入社員が悩みを打ち明けられなかったりすることもあります。こうした部分を補い、1年目の成長と職場への定着を支える手段の一つが、新入社員フォローアップ研修です。ただし、何のために実施するのかが定まっていないと、研修の効果は現場に表れにくくなります。

この記事では、新入社員フォローアップ研修を実施する6つの目的を整理します。あわせて、目的を研修内容に落とし込む手順も見ていきます。

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新入社員フォローアップ研修を配属後に行う理由

新入社員フォローアップ研修は、配属先で一定期間実務を経験した新入社員が、仕事や課題を振り返り、今後の成長につなげるための研修です。「フォロー研修」「新人フォローアップ研修」とも呼ばれます。

入社時の研修は業務を経験する前に行うため、身に付けた基本はまだ「知っている」段階にとどまります。実務を経験した後だからこそ、自分の仕事ぶりを基本と照らし合わせて振り返ることができます。ただし配属直後は覚えることが多く、新入社員が自分で振り返る余裕を持つのは簡単ではありません。フォローアップ研修は、その振り返りの時間を職場の外に意図的につくる場です。

また、1年目は離職が最も多い時期です。厚生労働省の調査では、令和4年3月に大学を卒業して就職した人の1年目の離職率は12.1%で、3年間のうち最も高くなっています。研修で新入社員の不安やつまずきを早めにつかめれば配属先と連携して手を打てるため、早期離職を防ぐ取り組みの一つにもなります。

(出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」)

新入社員フォローアップ研修を実施する6つの目的

新入社員フォローアップ研修を実施する目的は、次の6つに整理できます。6つの目的は独立したものではなく、振り返りから始まり行動の変化で終わる一連の流れになっています。

1

実務経験の振り返り

できたこととできなかったことを事実で整理する

2

課題の整理

本人が変えられる課題と職場の課題を切り分ける

3

スキルの定着

入社時に身に付けた基本を現場で続けられる状態にする

4

進め方の見直し

基本の型と職場のルールを区別して自己流を正す

5

不安や悩みの整理

漠然とした不安を言葉にし対処できる形に分ける

6

主体的な行動の促進

明日から取れる行動目標にまで落とし込む

目的1:入社後の実務経験の振り返り

1つ目の目的は、配属後の数か月間にどのような仕事をし、何ができて何ができなかったのかを振り返ることです。振り返りはほかの目的の出発点で、振り返りが不十分だと課題の整理も目標設定も思い込みに基づいたものになります。

振り返りで見落とされやすいのが、うまくいった経験も振り返りの対象にすることです。失敗ばかり取り上げると、研修が反省会になってしまいます。新入社員は、うまくいった場面の工夫を言葉にすることで、ほかの場面でも再現できる自分の強みに気付けます。

振り返りの観点 考えること 例
事実 何が起きたか 上司に報告したのが締め切りの前日だった
解釈 なぜそうなったか 途中経過は伝えなくてよいと思っていた
次の行動 次はどうするか 作業が半分終わった時点で一度報告する

新入社員が振り返りの型を身に付ければ、研修後も一人で振り返れるようになります。一度きりの振り返りで終わらせず、自分で振り返る習慣をつくることも、この目的に含まれます。

男性イメージ

自分の振り返りが久しぶりにできて、やる気に繋がった。

目的2:現場で生じた課題の整理

2つ目の目的は、配属後に直面した課題を整理し、解決の方向性を考えることです。新入社員は、うまくいかない原因を自分で切り分けられず、努力の方向が定まらないことがよくあります。課題を整理するときは、本人の力で変えられる課題と、職場の環境や関係に左右される課題を分けると見通しがよくなります。

課題の種類 例 主な対応
知識・スキルの不足 資料作成に時間がかかる 本人が身に付ける
やり方・習慣の問題 口頭の依頼をメモせず抜け漏れが起きる 本人が進め方を変える
環境・関係の問題 上司が不在がちで相談する時間がない 配属先と人事が調整する

「環境・関係の問題」は新入社員だけでは解決できません。人事が研修で出た課題を集約し、個人が特定されない形で配属先へ返すと、配属先がOJTを見直すきっかけになります。フォローアップ研修は、新入社員の課題と同時に、受け入れる職場側の課題も見えてくる場です。

目的3:入社時に身に付けた知識・スキルの実務への定着

3つ目の目的は、入社時の研修で身に付けたビジネスマナーや報連相などの基本を、実務で使い続けられる状態にすることです。新入社員は入社時に基本を理解していても、配属後の忙しさや相手の違いの中で少しずつ型を崩していきます。本人はそのことに気付きにくいものです。

スキルの定着は、次の3つの段階で捉えると整理しやすくなります。フォローアップ研修が目指すのは、「知っている」「できる」の先にある「続けている」段階まで引き上げることです。

段階 状態 報連相の例
知っている 基本の型を説明できる 仕事の途中で経過を報告すべきだと説明できる
できる 意識すれば実行できる 余裕のあるときは途中経過を報告できる
続けている 忙しい場面でも自然に実行している 締め切り前の忙しい時期でも上司に聞かれる前に途中経過を伝えている

「続けている」かどうかは、実務を経験した後でなければ確かめられません。例えば相談なら、状況を伝えるだけでなく「自分はこうしたい」という案を持っていくところまでが基本の型です。研修では、実際の仕事の場面を題材に、受講者がどこで型を崩したのかを確認し、整え直します。報連相やロジカルシンキングなど、基本を総合的に確認したい場合は次の研修が参考になります。

目的4:仕事の進め方やコミュニケーションの見直し

4つ目の目的は、仕事の進め方や周囲とのコミュニケーションを見直すことです。配属から数か月がたつと、新入社員は職場に合わせた工夫と自己流の両方を身に付けています。

見直しで大切なのは、自己流をすべて否定するのではなく、基本の型と職場のルールを区別することです。例えば、チャットでの短い報告はその職場のルールとして適切な場合もありますが、結論が後回しの報告はどの職場でも伝わりにくくなります。研修では、何を残し何を直すかを受講者自身が判断できるようにします。

見直しの軸になるのが「作業」と「仕事」の違いです。作業は言われたとおりに手を動かすこと、仕事は目的を踏まえて成果につなげることです。新入社員が上司から資料作成を頼まれた場面を例に、「作業」から「仕事」への変化を比べると次のようになります。

Before

期限だけ確認して作り始める

→

After

期限に加えて「何に使うのか」を確認し、用途に合わせて資料を組み立てる

時間の使い方も見直しの対象です。優先順位に迷ったらToDoリストを上司に見せて確認する、納期の前に完成度60点の段階で一度見せて方向性をそろえるといった進め方を新入社員が身に付けておくと、2年目以降に仕事量が増えても対応しやすくなります。仕事への向き合い方や時間の使い方を見直したい場合は、次のような研修がおすすめです。

目的5:新入社員が抱えている不安や悩みの整理

5つ目の目的は、新入社員が抱えている不安や悩みを整理することです。期待していた仕事と現実との差に戸惑う状態は「リアリティショック」と呼ばれ、新入社員が配属後に直面しやすいものの一つです。

用語

リアリティショックとは

新しい組織や職場、役割に移ったとき、事前に抱いていた期待やイメージと実際の現実との差に衝撃を受け、戸惑いや意欲の低下を感じる状態のこと。。

企業側から見たこの目的の意味は、悩みを聞いて安心させることだけではありません。漠然とした不安を言葉にし、対処できる形に分けることが重要です。書き出してみると、不安は性質の異なるものに分かれます。

不安の種類 例 対処の方向
確認すれば解消する 自分の仕事の範囲がわからない 上司に確認する
経験を積めば慣れる 電話応対でいつも緊張する 場数を踏む
職場への働きかけが必要 気軽に相談できる相手がいない 人事や配属先と調整する

同期と悩みを共有することも、不安を和らげます。ただし研修では、共有で終わらせず、立て直し方まで扱うことが大切です。例えば、新入社員が充実度の浮き沈みを曲線で描くライフラインチャートで、落ち込んだ後に何がきっかけで持ち直したかを振り返ると、自分なりの立て直し方が見えてきます。立ち直る力に焦点を当てたい場合は、次の研修が参考になります。

目的6:今後の成長に向けた主体的な行動の促進

6つ目の目的は、ここまでの振り返りや課題の整理を、今後の成長と主体的な行動につなげることです。1年目の後半からは、自分で考えて動くことが求められるようになります。

目標を立てるときは、「成長したい」という意欲にとどめず、研修後すぐに取れる行動にまで落とし込むことがポイントです。

目標の書き方 業務改善をテーマにした例
意欲にとどまる目標 業務の改善に積極的に取り組む
行動まで落とし込んだ目標 毎週金曜日に担当業務の改善点を1つ上司に提案する

数字の目標を立てにくい職種なら、業務上の問題の改善を目標にする方法もあります。研修の最後に、気付きを3つ挙げて明日からの行動に変換するワークも効果的です。研修で立てた目標を配属先と共有する前提で設計することで、研修の成果が職場での行動として表れます。自ら動く力を高めたい場合は、次の研修が合います。

6つの目的は経験学習の流れでつながっている

6つの目的のつながりは、人が経験を通じて成長する過程を示した「経験学習モデル」で整理できます。経験学習モデルは、新入社員に限らず、年次や職種を問わず当てはまる考え方です。

用語

経験学習モデルとは

アメリカの教育理論家デービッド・コルブが提唱した、人が経験を通じて成長する過程を示したモデル。「具体的経験」「内省的観察(振り返り)」「抽象的概念化(教訓を引き出す)」「能動的実験(新しい場面で試す)」の4段階を繰り返すことで、経験が次の行動に生かされるとされる。

出典:デービッド・コルブ『Experiential Learning:Experience as the Source of Learning and Development』(1984年)

新入社員は、配属後の業務で「具体的経験」は日々積んでいます。6つの目的は、その後の3つの段階に次のように対応します。

経験学習の段階 配属後の新入社員の状況 対応する研修の目的
振り返り 忙しく立ち止まる時間を取りにくい 実務経験の振り返り
不安や悩みの整理
教訓を引き出す 原因を自分だけでつかみにくい 課題の整理
進め方の見直し
新しい場面で試す 何を変えればよいか決まっていない スキルの定着
主体的な行動の促進

振り返りで事実と気持ちを整理し、教訓を引き出し、職場での新しい行動に移すという流れを1回の研修の中でたどれるように設計すると、研修が職場での行動につながりやすくなります。

目的があいまいなままフォロー研修を実施すると起きること

1回の研修で6つの目的を同じ重みで扱うことはできません。どこに重点を置くかを決めずに実施した研修は、当日の満足度が高くても、職場での行動の変化にはつながりにくくなります。起きやすい問題を3つ見ていきます。

問題1:新入社員研修の繰り返しになる

目的が「基本の再確認」だけだと、入社時の研修と同じ内容の繰り返しになりがちです。受講者は「一度聞いた話」と受け止め、自分の経験と結び付けて考えなくなります。研修担当者は、実務経験を題材にすることを目的の段階で決めておく必要があります。

問題2:受講者が「やらされている」と感じる

実施する理由が伝わっていないと、受講者は業務の合間に呼び出されたと感じます。課題のありそうな人だけを集めると「できていない人の研修」と受け止められ、本音も出にくくなります。研修担当者が目的を事前に伝え、全員が対象である理由を説明しておくことが欠かせません。

問題3:研修後の職場で何も変わらない

研修後にどのような状態になっていればよいかが決まっていないと、効果を確かめる手段がありません。アンケートの満足度が高くても、行動が変わったかは別の問題です。配属先の上司が研修の中身を知らなければ、新入社員の目標を後押しすることもできません。

目的をフォローアップ研修の内容に落とし込む3つのステップ

6つの目的はどれもフォローアップ研修に欠かせないものですが、半日〜1日の研修ですべてを同じ深さで扱うことはできません。そこで、自社の新入社員の状況に合わせて、今回の研修でどの目的に特に時間をかけるか、つまり重点を決めます。現状を集め、重点を置く目的を決め、研修後の状態を決めるという3つのステップで進めると整理しやすくなります。

ステップ1:配属先と新入社員から現状を集める

まずは配属先の上司と新入社員の双方に、同じ質問をして現状を集めます。上司が「報連相ができていない」と感じる一方、新入社員は「報告のタイミングがわからない」と感じていることがあります。両者の見方のずれこそ、研修で扱うべき課題を示しています。

上司と新入社員の双方に聞いておきたいこと

  • 新入社員が配属後にうまくできていること
  • 新入社員が配属後につまずいている場面
  • 新入社員が困ったときに相談できる環境があるか
  • 1年目の終わりに目指す新入社員の姿

ステップ2:実施時期に合わせて重点を置く目的を決める

集めた現状をもとに、6つの目的のうち今回の研修で特に時間をかけるものを決めます。例えば、報連相のつまずきが多ければ目的3に、配属先で孤立しがちな声が多ければ目的5に時間を割きます。判断のもう一つの目安になるのが実施時期です。4月入社の場合、フォローアップ研修は業務に慣れてきた入社2〜3か月後か、1年目の終わりに実施するのがおすすめです。

実施時期 新入社員の状況 重点を置きやすい目的
入社2〜3か月後 業務に慣れ始め自己流が出てくる スキルの定着
進め方の見直し
不安や悩みの整理
1年目の終わり 1年間の経験がありまもなく後輩を迎える 実務経験の振り返り
主体的な行動の促進

両方の時期に実施するなら、前半で基本を整え、1年目の終わりに2年目の目標を立てる分担も考えられます。

ステップ3:研修後に「何ができていればよいか」を先に決める

最後に、ステップ2で重点を置くと決めた目的ごとに、研修後に新入社員がどのような行動を取れていればよいかと、その確かめ方を決めます。次の表は、入社2〜3か月後に実施し、目的3・4・5に重点を置いた場合の例です。上司への報告や相談に課題があるケースを想定しています。

重点を置く目的 研修後に目指す状態の例 確かめ方の例
目的3:スキルの定着 忙しい時期でも上司に聞かれる前に途中経過を報告している 1か月後に上司へ聞き取る
目的4:進め方の見直し 仕事を受けたら期限と用途を確認し報告のタイミングを決めてから着手している 本人の週次の振り返りで確認する
目的5:不安や悩みの整理 ミスや遅れを一人で抱え込まず早めに上司へ相談している 上司との面談で確認する

リスキルの一社研修では、自社で実際にあった事例をケースワークに使う、グループワークを多めに取り入れる、研修時間を調整するといった依頼も可能です。

まとめ|目的を明確にしたフォローアップ研修で1年目の成長を支える

新入社員フォローアップ研修は、入社時の研修で身に付けた基本を、実務での経験と結び付け、次の行動に変えるための研修です。研修を実施する目的は、次の6つに整理できます。

  1. 入社後の実務経験の振り返り
  2. 現場で生じた課題の整理
  3. 入社時に身に付けた知識・スキルの実務への定着
  4. 仕事の進め方やコミュニケーションの見直し
  5. 新入社員が抱えている不安や悩みの整理
  6. 今後の成長に向けた主体的な行動の促進

6つの目的をすべて同じ深さで扱う必要はありません。自社の状況と実施時期から重点を置く目的を決め、研修後に目指す状態まで決めておくことで、研修が職場での行動の変化につながります。フォローアップ研修を単発の催しではなく、入社時の研修から2年目までをつなぐ育成の一部として位置づけることが、1年目の成長を支える土台になります。

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この記事の監修者
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