「会議の生産性が・・・」「長過ぎる・意味がない、という不満が・・・」このような声が従業員から聞こえるようになると、ファシリテーション研修の導入を検討する人事担当者の方も多いでしょう。しかし、研修は全体的にそうですが、ファシリテーション研修も効果があるかどうかは、導入するまで未知数になりがちです。
そのため、実際に受講した人がどのような感想は有益でしょう。効果が本当にあるのか、現場で使えるスキルなのか、事前に知っておきたい場合、役立つ情報になります。
この記事では、実際に研修後のアンケートに寄せられた感想をもとに、研修を実施して良かったという声と気になったという声を両面で紹介します。ネガティブな感想については、研修設計や運営面での工夫でカバーできる部分もあるため、あわせて解決策を見ていきます。
目次
ファシリテーションとは、端的には「会議の生産性を高める促し」です。もう少し、固めに定義すると次のようになるでしょうか。
ファシリテーションとは
会議や話し合いの場で、参加者の意見を引き出しながら目的に向かって進行を支援する働きかけのこと。単なる司会進行とは異なり、中立的な立場で議論を整理し、合意形成を促す役割を指します。
ファシリテーターはそんな会議を進行できる人を指します。ファシリテーション研修は、良いファシリテーターになるための研修です。良いファシリテーターになるためには、目的やゴールの設定方法、意見の引き出し方、対立が起きたときの対応など、様々なスキルが求められます。それらを総合的に身に付けていきます。
ファシリテーションの考え方そのものについては、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
ファシリテーション研修の一般的な内容や、特化型のカリキュラム例は下記でご紹介しています。
感想については見ていきますが、研修後のアンケートに寄せられた感想は、総じて前向きなものが多いという結果になっています。特に「会議の目的や終了条件を決めることの大切さに気づけた」「実践形式で理解が深まった」といった声が目立ちます。
他の研修よりもポジティブな声が多いのが特徴です。これはシンプルに「あまり学んだことがないテーマについて」「わかりやすくスキルが身につく」からだと考えられます。
一方で、「ワークの時間が少なかった」「内容が盛りだくさんで消化しきれなかった」といった気になる感想も一定数見られました。こうした声は進め方や時間配分のヒントとして捉えられます。その辺りもまとめて見ていきます。

以降では、実際のアンケートに寄せられた感想を、良かった点・気になった点の両方から具体的に紹介していきます。
本記事で紹介するアンケートのコメントは、実際に研修を受講した方の回答を基にしていますが、個人が特定できないよう文言や属性情報を加工しています。特定の企業や個人を示すものではありませんので、あらかじめご了承ください。
まずは、良かったという感想から見ていきます。多くの受講者が挙げていたのは、次の4つのポイントです。
もっとも多く挙がっていたのが、会議の目的とゴール(終了条件)を明確にすることの重要性への気づきです。これまで何となく始めていた会議を、目的から逆算して設計する視点が身についたという感想が多く見られました。
これまでは、ゴールを決めないまま時間が来て終わる会議が多くありました。参加者とファシリテーターそれぞれの役割の重要さを実感できました。
これまでの自分の会議の進め方は、内容を決めていても終了条件を一切定めていなかったことに気づかされました。
座学だけでなく、実際に会議の進行役を体験するロールプレイやグループワークがあったことを評価する感想も多く見られました。
実際に会議の場面を想定した演習が多く、頭で理解しているつもりでも、いざやってみると難しさを実感しました。
書籍やテキストを読むだけでは実感を持てなかった部分について、ワークを通して理解が深まったという声もありました。知識としてのインプットと、実際に手を動かすアウトプットの両方があることが、理解度を高めるうえで効果的だったようです。
会議当日の進行スキルだけでなく、事前準備の大切さに気づいたという感想も目立ちました。
話すのが得意ではないので進行役の会議が憂うつでしたが、当日の話し方以上に事前準備が会議の成否を左右すると気づきました。
準備シートやアジェンダのテンプレートを使うことで、進行に不安がある方でも取り組みやすくなるという声が複数見られ、事前準備の型を知ることが自信につながっている様子がうかがえます。
すでに感覚的に実践していたことを、あらためて言葉として整理できたことを評価する感想もありました。
上司や先輩の姿を見て感覚的に身に付けていた部分が、研修を通して言葉として確認でき、できていた点とできていなかった点の両方に気づけました。
こうした感想からは、ファシリテーションを我流で身に付けてきた方にとっても、体系的に整理し直す機会として研修が機能していることがわかります。
続いて、気になったという声も紹介します。良い研修にしていくためには、ポジティブな感想だけでなくこうした声にも目を向けることが大切です。それぞれの感想に対して、研修設計上どのような工夫ができそうかもあわせて見ていきます。
もっとも多く見られたのが、講義の時間に対してワークの時間が少ないと感じたという感想です。
座学の時間が多めで、グループワークの時間が少なかったことに物足りなさを感じました。ワークの中で気づきを得ることが多いと感じているためです。
短時間の研修を実施するとでがちな声です。
こうした意見が出やすいことを見越して、時間は長めにしておいたほうが良いでしょう。6時間が推奨です。基礎編で概念を理解したうえで、実践演習に特化した研修を続けて受講してもらう流れにするというのも手です。消化不良になりにくくなります。
情報量が多く、どこが重要なポイントか掴みにくかったという感想も見られました。
自社の課題に結びつけたお話は良かったのですが、ポイントが多く、どこが重要なポイントなのかを捉えるのが少し難しく感じました。
研修内で扱う要素が多い場合、重要度に応じて優先順位をつけ、当日資料に「特に重要」といった目印をつけておくことが有効です。また研修後に要点をまとめた1枚のチェックリストを配布すると、現場での振り返りがしやすくなります。ファシリテーション研修では、目的と終了条件でしょう。
オンライン受講に関する感想もいくつか見られました。
研修内容自体には満足していますが、講義中心の時間が続くと、オンラインでは特に集中力を保つのに苦労しました。
オンライン開催の場合、1時間に1回程度の休憩や、こまめな質問への呼びかけなど、参加者が受け身になりすぎない工夫が効果を発揮します。可能であればチャット機能を使った意見出しなど、双方向のやり取りを増やす設計も検討したいところです。
また、実地のほうがファシリテーション研修は評価が高い傾向にありました。
ここまで紹介した感想を踏まえると、ファシリテーション研修を受けることで、参加者の会議への向き合い方に一定の変化が見られることがわかります。
Before
目的やゴールを決めないまま、なんとなく始めて時間切れで終わる会議
After
目的と終了条件を事前に共有し、決定事項とタスクを確認して終わる会議
多くの受講者が研修後の目標として、目的とゴールの明確化、事前準備の徹底、決定事項の確認を挙げていました。これらは、次の3点に整理できます。
アンケートから見えた行動変化のポイント
また、ファシリテーターとして進行役を担う人だけでなく、「参加者としてもファシリテーションに協力できる」という気づきを得た方が多いのも特徴です。会議は進行役だけでつくるものではなく、参加者一人ひとりの関わり方によっても質が変わる、という視点が広がっている様子がうかがえます。
アンケートを見ていくと、研修プログラムの種類によって感想の傾向にも違いが見られます。自社に合った研修を選ぶ際の参考にしてみてください。
| 研修タイプ | 主な感想の傾向 | 向いている対象者 |
|---|---|---|
| 基礎編 | 「初めて知ることが多かった」「体系的に整理できてよかった」という声が多い | ファシリテーション未経験の方 |
| 実践演習編 | 「ロールプレイで気づきが多かった」「難易度が上がって理解が深まった」という声が多い | 基礎を理解したうえでスキルを定着させたい方 |
| ロジカルファシリテーション型 | 「情報量が多く感じた」「フレームワークが実務に近くて役立った」という声が多い | 議論を論理的に整理する力を伸ばしたい方 |
基礎編は初めてファシリテーションに触れる方に向いている一方、すでに基礎知識がある方にとっては物足りなさを感じる場合もあるようです。段階を踏んで、基礎編から実践編、さらに応用的なロジカルファシリテーションへとステップアップしていく設計にすると、受講者の理解度に合わせやすくなります。
自社に合いそうな研修タイプを見極めたい方は、こちらの記事も参考になります。
ここまで、ファシリテーション研修を受けた方のアンケート結果をもとに、感想を紹介してきました。「目的とゴールを決める大切さに気づけた」「実践形式で理解が深まった」というポジティブな感想が多く見られる一方、「ワークの時間が少なかった」「情報量が多く感じた」という声も一定数ありました。
こうした気になる感想は、研修プログラムの選び方や時間配分の工夫によって、多くの場合カバーすることができます。基礎編から実践編へとステップを踏む設計にしたり、オンライン開催時の進め方を工夫したりすることで、受講者の満足度をさらに高めていくことができるはずです。
アンケートの声は、研修そのものの価値を測るだけでなく、次にどのような研修を企画すべきかのヒントにもなります。自社の会議の課題に合わせて、ファシリテーション研修の導入や見直しを検討してみてください。
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