メンタルヘルス研修の導入や見直しを考えるとき、実際に受講した人がどのような感想を持ったのか気になる研修担当者もいるでしょう。心の健康は目に見えにくいテーマのため、研修の手応えをつかみにくい分野でもあります。
この記事では、メンタルヘルス研修を受講した方の感想を紹介しています。好意的な声に加えて率直な意見とその対策、研修の選び方や進め方もあわせて見ていきます。
目次
メンタルヘルス研修とは、職場のストレスへの対処や部下へのケアを通して、従業員のメンタルヘルス不調を予防するための研修です。
目的や対象者に応じたさまざまなテーマがあります。まずは主な種類を整理したうえで、受講者の感想に共通する傾向を見ていきます。
メンタルヘルス研修の代表的な種類は次のとおりです。
| 研修の種類 | 主な内容 |
|---|---|
| セルフケア研修 | 自身のストレス反応への気づき / ストレスへの対処法 |
| ラインケア研修 | 部下の変化の早期発見 / 不調時の対応 / 職場復帰の支援 |
| レジリエンス強化研修 | 逆境や失敗から立ち直る考え方 / 行動習慣 |
| マインドフルネス研修 | マインドフルネスの手法の体験と習慣化 |
| ストレスマネジメント研修 | 自身のストレスへの気づき / コントロール |
| 健康経営研修 | 組織としての健康管理 / ストレスチェックの活用 |
| 相談窓口担当向け研修 | 相談の受け方 / 専門機関との連携 |
いずれも、従業員のメンタルヘルス不調を予防し、働きやすい職場をつくることを目指す研修です。
アンケートを通して見ると、テーマにかかわらず多かったのが普段は意識しない自分の状態や関わり方を振り返るきっかけになったという声です。
この記事で紹介している感想は、実際のアンケートのコメントを元に、個人が特定できないよう加工しています。
仕事をしていてこうした研修を受ける機会がなかったので、自分の気持ちを知るよい時間になりました。
メンタルヘルスは人から教わる機会がほとんどないテーマなので、受講できてよかったと思います。
研修の中で自己チェックのワークなどを行ったことが、自分と向き合うきっかけになったと考えられます。
まずは、受講者が良かったと感じた点を見ていきます。自分自身の心と向き合う研修で特に多かったのは、「知らないうちに自分に厳しくなっていた」「ストレスを溜めていた」という声です。
もっとも反響が大きかったのが、他人に向ける思いやりを自分にも向けるという考え方です。
自分に厳しくすることが成長につながると信じていましたが、行きすぎると心を追い詰めてしまうと気づきました。これからは適度に自分をいたわろうと思います。
ポジティブになろうと頑張りすぎて疲れていました。ネガティブなときはその自分を受け入れて、肩の力を抜いて過ごそうと思います。
こうした感想が出た背景には、考え方を聞くだけでなく、ワークで自分の気持ちを書き出す時間があったことが挙げられます。「言葉だけでは分からなかったが、ワークを通して理解できた」という声もあり、体験を通して自分ごととして受け止められたようです。
白か黒かで判断してしまう、何でも自分のせいだと考えてしまうといった考え方のクセを知り、気持ちが軽くなったという声もありました。
自分のネガティブな思考は性格のせいだけではないのかもしれない、という気づきは新鮮でした。
自分と関係の薄い問題でも無理に反省してしまう傾向がありました。適度に振り返りつつ、どこかで線を引くことを意識したいです。
前向きな受け止めにつながったのは、考え方のクセが誰にでも起こる反応として理解できたからです。「自分だけではない」とわかることで、自分を責めずに客観的に見られるようになる傾向があります。
呼吸法やストレッチなど、その場で試せる対処法は「すぐに実践できる」と好評でした。
緊張しやすいので、打ち合わせの前に呼吸法を取り入れてみたいと思いました。
失敗のあとはどうしても自分を責めてしまいます。せめて仕事が終わって少し経ったら、仕事から心の距離を置くことを意識したいです。
使う場面をイメージしやすかったため、打ち合わせ前や終業後など、自分なりの活用場面まで考えられたようです。
管理職向けの研修でも、良かったという声が多く寄せられます。特に目立ったのは、「部下のことは分かっているつもりだったが、自分の関わり方を見直すきっかけになった」という声です。
部下の不調は、周りが気づく段階ではすでに進んでいることも少なくありません。ラインケアでは、職場の対策を次の3段階で整理します。
一次予防
自己管理と職場環境の改善で不調を防ぐ
二次予防
部下の変化に早く気づき、対応する
三次予防
休職者の職場復帰を支援する
部下の「いつもと違う」にいち早く気づくために、日頃のコミュニケーションをもっと増やしたいと思いました。
声のかけ方や観察するポイントなど、日常の中で変化に気づくための着眼点が参考になりました。
「気をつけよう」という意識が「何を見て、どう声をかけるか」という行動のイメージに変わったことが、実践への意欲につながっています。
傾聴や質問のワークを通して、自分が思っていたほど相手の話を聴けていなかったと気づく方が多くいます。
分かっていながら、相手の話を遮って自分の意見を言ってしまうことがありました。最後まで聴くことを習慣にしたいです。
不調を抱える人と話すときは、間や沈黙も大事だという点が印象に残りました。
自由に答えてもらう質問が思った以上に難しく、自分ができていないことを実感しました。対話の中で意識して練習したいです。
名前を呼んで挨拶をする、小さなことでも言葉にして認めるといった、基本的な関わりの大切さに気づいたという声もありました。
メンバーと話すときに、まずは名前を呼ぶことを習慣にしたいと思います。
すべてを実行するのは難しいですが、小さく褒めることを積み重ねるところから始めたいです。
部下を支える立場の研修でありながら、管理職自身の心の健康に目を向けた声もありました。
部下のメンタルヘルスも重要ですが、管理職自身のケアも必要だと感じました。自分のケアも忘れずに実施したいです。
部下の変化に気づくには、支える側に心の余裕が欠かせません。部下へのケアを考える中で、自分自身のケアとのつながりに気づけたことがこの感想の背景にあります。
満足度の高い声が多い一方で、率直な声も寄せられています。その多くは、受講者に合ったレベルか、時間配分や進め方が目的に合っているかといった研修設計に関わるものです。設計の段階で押さえておけば防ぎやすいため、4つの声と対策を見ていきます。
以前に似た研修を受けた方や、普段からセルフケアを意識している方からは、内容が基礎的に感じられたという声がありました。
以前にも同じテーマの研修を受けていたので、聞いたことがある内容が多かったです。
基礎の確認としてはよかったのですが、自分の経験に合わせてもう一歩踏み込んだ内容もあるとよかったです。
受講者の経験と研修のレベル設定がずれていることが原因です。事前に理解度を把握し、受講者に合わせて応用的なテーマを組み合わせるとよいでしょう。
一方で「再確認できてよかった」という声もよく見られるため、定期的な受講には一定の意味があります。その場合には「再確認が目的である」ということを研修前に提示することが大切です。
考え方は理解できたものの、自分の職場でどう使うかまではイメージしきれなかったという声です。
考え方は理解できたので、自分の職場ではどう使うかを考える時間もあるとよかったです。
実際に使う場面を想定した練習がもう少しあると、応用のイメージまで持てたと思います。
これは、講義と演習の配分が受講者の期待と合っていないときに出やすい声です。一方的に話を聞くだけではなく、自社の職場に近いケーススタディやロールプレイを含めた設計を検討しましょう。
扱う内容に対して時間が短く、意見交換や理解が追いつかなかったという声もありました。
ディスカッションの時間がもう少し長いと、他の方の困りごとや対応方法をもっと聞けたと思います。
扱う内容が多かったので、短い時間ですべてを理解するのは難しかったです。
知識の確認が中心なら短時間でも対応できますが、対話の練習や意見交換を重視するなら、半日以上を確保するか内容を絞る設計が向いています。
| 研修時間の目安 | 内容の例 |
|---|---|
| 1.5時間程度 | セミナー形式で基本を押さえる |
| 3時間程度 | 基本の理解に加えて対処法やスキルを身に付ける |
| 6時間程度 | 予防から職場復帰支援、ケーススタディまで扱う |
ここまでの感想を踏まえると、研修の満足度は内容だけでなく誰に、何のために、どう続けるかという設計にも左右されることが見えてきます。最後に、研修担当者の方が押さえておきたいポイントを3つ見ていきます。
まずは、自社で何を解決したいのかをはっきりさせることが出発点です。目的ごとの選び方の例は以下のとおりです。
| 研修の目的 | 検討したい研修 |
|---|---|
| 従業員が自分のストレスに対処できるようにしたい | セルフケア研修 / マインドフルネス研修 |
| 失敗や困難から立ち直る力をつけてほしい | レジリエンス強化研修 |
| 管理職に部下の不調へ早く気づいてほしい | ラインケア研修 |
| 組織として健康づくりに取り組みたい | 健康経営研修 |
「なぜこの研修を受けるのか」が伝わっていないと、受講者は研修から何を持ち帰ればよいのか分からないまま参加することになります。事前に研修の概要と目的を案内しておくだけで、当日の受け止め方が変わってきます。
研修の目的や概要を事前に知っていれば、もっと心構えをして参加できたと思います。
目的や期待することを共有しておくと、受講者が研修の内容を自分の仕事に結びつけやすくなります。
受講直後は意欲が高くても、日々の業務に戻ると元の習慣に戻りがちです。研修後に振り返りの機会を設けることで、知識を行動に変えやすくなります。
こうした研修を受けるたびに、振り返りが大事なのだと気づかされます。
受講者自身も振り返りの大切さを感じています。次のような仕組みを用意しておくとよいでしょう。
なお、リスキルでは研修後のフォローアップアンケートも用意しています。受講後の実践状況を確認し、振り返りの材料として活用するのもひとつの方法です。
メンタルヘルス研修の感想からは、多くの受講者が自分の状態や周囲との関わり方を振り返るきっかけを得ていることが見えました。自分を責めすぎていたことへの気づきや、部下の話を最後まで聴くことの大切さなど、日々の行動につながる声が多く寄せられています。
一方で、「知っている内容が多い」「もっと実践的にしてほしい」「他の人の考えも知りたい」「時間が足りない」といった率直な声もありました。いずれも研修設計の段階で、理解度の把握、自社に近い題材の活用、任意の共有時間、目的に合った時間設計によって対応を考えられるものです。受講者の声を手がかりに、自社に合ったメンタルヘルス研修を企画してみてください。
リスキル事務局が記事の執筆・監修をしています。人材育成にまつわるお役立ち情報を分かりやすく解説します。
■社員研修のリスキルとは?
社員研修のリスキルは、一人でも多くの人に人材育成を届けるために、利便性の高い研修サービスを提供しています。検索をすれば、一社で実施する研修、日程が決まっている参加型公開講座、eラーニング動画講座などをすぐに見つけ、簡単に申込みや見積書を作成することができます。
■プロフィール
会社名:株式会社リスキル
(「リスキル」は株式会社リスキルの登録商標です。)
設立:2022年5月2日
上場市場:東京証券取引所グロース市場
■研修実績
・利用社数は年間3900社以上
・年間受講者数 前年比157%
・プロフェッショナルの講師陣300名以上在籍