ロジカルシンキング研修と一口に言っても、基礎固めを目的にしたものから、問題解決力やコミュニケーション力の強化に特化したものまで内容はさまざまです。研修担当者としては「自社の課題に合うのはどのタイプか」を見極めることが、研修効果を左右する大きなポイントになります。
この記事では、目的別におすすめのロジカルシンキング研修のパターンを紹介しながら、それぞれのカリキュラム例も具体的に見ていきます。研修選びで迷ったときの判断材料として、ぜひ参考にしてください。
目次
ロジカルシンキング研修とは、物事を筋道立てて考え、相手に納得感のある形で伝える力を身につけるための研修です。ビジネスの現場では、問題の原因を分析したり、上司や顧客に提案を通したりする場面が日常的に発生します。その際に「なんとなく」で判断してしまうと、対応がその場しのぎになりがちです。ロジカルシンキングを身につけることで、根拠に基づいた判断や、相手に伝わりやすい説明ができるようになります。
業務が複雑化するほど、感覚だけで物事を進めるのは難しくなります。論理的に考える力があれば、問題の本質を素早く見極め、周囲を巻き込みながら解決策を実行できるようになります。また、報告や提案の場面でも、論理の飛躍がない説明は相手の納得感を高め、意思決定のスピードを上げることにもつながります。
研修を選ぶ前に、まずは次のような点を整理しておくと選定がスムーズになります。
研修選定前に確認しておきたいこと

上でも簡単に確認しましたが、論理的思考能力系の研修を選ぶ際は、次の3つの軸で考えると自社に合った研修を見つけやすくなります。
新入社員や若手社員には、演繹法や帰納法といった基礎から丁寧に扱う研修が向いています。一方、中堅社員以上には、戦略的思考や仮説思考など、より実務に直結したテーマを扱う研修がおすすめです。
半日で基礎を固めたいのか、1日かけてじっくり実践まで行いたいのかによって、選ぶべき研修は変わります。短時間で要点を押さえたい場合と、ワークを重ねて定着させたい場合とでは、適した研修のボリュームが異なる点も意識しておきましょう。
ロジカルシンキング単体を扱う研修もあれば、クリティカルシンキングやラテラルシンキングと組み合わせて扱う研修、コミュニケーションや戦略思考まで範囲を広げた研修もあります。研修の目的に応じて範囲を選ぶことになります。
それでは、ここからは実際のロジカルシンキングのパターンを確認していきましょう。
ロジカルシンキングを初めて学ぶ層に対しては、必要性の理解から実践までを一通り扱う研修が適しています。
ロジカルシンキング研修 全体像理解編は、ロジカルシンキングの必要性の理解から、論理展開の方法、問題の分割、説得力のある伝え方まで、一通りの流れを体系的に扱う研修です。若手社員から中堅社員まで、基礎をしっかり固めたい場合に向いています。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | ロジカルシンキングの必要性 | ロジカルシンキングとは何か、使い道(問題解決や仕事の円滑化)、ロジカルシンキングができていない例、論理的思考力をつけるための姿勢について扱います |
| 2 | 論理的に展開する | 帰納法と演繹法の使い方とビジネスでの活用方法、それぞれをビジネスで使う際の注意点(軽率な一般化や論理の飛躍など)を見ていきます |
| 3 | 論理的に分割する | 問題を分割する重要性、MECEの考え方、ロジックツリーの活用、フレームワークの基礎(3C、As is・To be)を確認します |
| 4 | 論理的に説得する | 主張を強化するための理由づけ、ピラミッドストラクチャーによる構造化とその図示を扱います |
| 5 | 論理的に伝える | 結論から話す、理由を話すといった伝わりやすい話し方、CRF・PREP・SDSの型、So What?とWhy So?の考え方を身に付けます |
| 6 | ロジカルシンキング実践 | ロジックツリー作成とピラミッドストラクチャー作成のワークを通して、学んだ内容を実践します |
リスキルでも全体像を理解してもらうための研修を提供しています。
研修時間を確保しづらい場合は、要点を絞った短時間の研修を選ぶという方法もあります。
ロジカルシンキング研修 半日編は、演繹法・帰納法といった基本の考え方から、MECEやロジックツリー、論理的な伝え方までを半日でコンパクトに扱う研修です。新入社員や若手社員向けの入門編として活用しやすい内容になっています。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | ロジカルシンキングの必要性 | ロジカルシンキングとは何か、ビジネスにおける活用方法(問題解決、わかりやすく伝えること)、本研修で扱う内容の説明を行います |
| 2 | 基本の考え方を理解する | 帰納法と演繹法の意味、それぞれのビジネスでの活用方法と注意点を扱います |
| 3 | 問題解決に活用できるロジカルシンキング | 問題解決の全体像、MECE、ロジックツリーの作成ポイント(目的の明確化、切り口の設定など)をワークを通じて理解します |
| 4 | 論理的に伝える | 論理的な話し方の基礎、ピラミッドストラクチャーによる構造化、So What?とWhy So?の考え方をワークで実践します |
リスキルでも半日で基礎を固めるための研修を提供しています。
問題の本質を掴む力や、状況を正しく分析する力を重点的に鍛えたい場合は、分割や切り口の設定にフォーカスした研修が向いています。
状況把握に強いロジカルシンキング研修は、MECEやロジックツリーによる分割に加えて、切り口の見つけ方やフレームワークの活用まで扱う研修です。現状把握や課題の可視化に課題を感じている層におすすめです。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | ロジカルシンキングの基本 | ロジカルではない状態の確認、本質を掴むこと・納得感のある発信を行うことの2つの活用方法、分割の必要性を扱います |
| 2 | 論理的に分割する | 分割の具体例、MECE、ロジックツリー、マトリクスによる分割の方法をワークを通じて身に付けます |
| 3 | 切り口 | 良い切り口とは何か、切り口の見つけ方、仮説をつくって切り口を考える方法をワークで理解します |
| 4 | フレームワークの活用 | 3C、ファイブフォース、SWOT分析、アイゼンハワー・マトリックスなど、日常業務で活用しやすいフレームワークを見ていきます |
| 5 | 現状把握実践 | 自身の業務の問題を掘り下げるワークを通して、現状把握のプロセスを実践します |
分解は論理的思考の本質のひとつでしょう。全体像をおおよそ理解するより、これを理解する方が使えるという声も多いです。弊社でも分解に
論理的思考だけでなく、相手にどう伝わるかまで含めて鍛えたい場合には、伝達を重視した研修が適しています。
ロジカルコミュニケーション研修は、演繹法・帰納法やMECEといった論理的思考の基本に加えて、主張と根拠の構造化、相手に応じた伝え方まで扱う研修です。提案や報告の機会が多い層に向いています。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | ロジカルコミュニケーションの基本確認 | ロジカルコミュニケーションの定義とビジネスにおける必要性、演繹法・帰納法、主張・根拠・事実のピラミッド構造、MECEの原則をケースワークで扱います |
| 2 | 演繹法と帰納法を活用する実践 | 演繹法・帰納法それぞれが有効な場面の見極めと、実際に説明してみるワークを行います |
| 3 | 主張と根拠を構造化する | ピラミッド構造の作り方をワークで練習し、構造の比較を通して理解を深めます |
| 4 | MECEと整理力の実践 | MECEで情報を整理する基本と、分類のワーク・改善を理解します |
| 5 | 相手に応じた表現の実践 | 相手によって変えるべき伝え方のポイントと、業務効率化ツール導入の説明を題材にしたケースワークを実施します |
| 6 | 総合演習 | ここまでの内容を踏まえた総合演習と、研修の振り返りを行います |
リスキルでもロジカルなコミュニケーション力を高めるための研修を提供しています。
ロジカルシンキングだけでなく、クリティカルシンキングやラテラルシンキングまで幅広く扱いたい場合は、複数の思考法をまとめて扱う研修が効率的です。
ビジネス思考法研修は、ロジカルシンキングを軸に、クリティカルシンキングやラテラルシンキングまで一度に扱う研修です。思考のバリエーションを広げたい中堅層におすすめです。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | ビジネスで有効な思考方法 | 論理的思考(思考を収束させる)と発想思考(思考を拡散する)という、仕事で求められる2つの思考法の違いを見ていきます |
| 2 | ロジカルシンキング | MECE、ロジックツリー、ピラミッドストラクチャーによる構造化と図示をワークで扱います |
| 3 | クリティカルシンキングの基礎理解 | 考える目的の明確化、帰納法・演繹法で陥りがちな誤ったものの見方、前提を疑う視点、イシューの設定と仮説検証をケースワークを通して身に付けます |
| 4 | ラテラルシンキング | 見方・視点を変える方法、抽象化、偶然の発見を見逃さない姿勢、アイデアの組み合わせ方をワークで実施います |
| 5 | 思考法の活用 | 事業や商品・サービスの課題、新商品の企画を題材に、学んだ思考法を組み合わせて活用します |
リスキルでも複数の思考法をまとめて習得できる研修を提供しています。
情報がすべて揃うのを待たずに、素早く仮の答えを立てて動く力を鍛えたい場合は、仮説思考に特化した研修が適しています。
仮説思考研修は、仮説の立て方から検証・修正までの一連の流れを扱う研修です。意思決定のスピードを上げたい管理職候補や中堅社員におすすめです。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | 仮説思考とは | 仮説思考の定義、網羅思考との違い、課題仮説と打ち手仮説、仮説思考のメリットと手順を扱います |
| 2 | 仮説思考のための状況分析 | 時間をかけずに状況を分析する方法、1次情報への接し方を扱います |
| 3 | 仮説の立案 | 良い仮説の条件、深く掘る・広げる・視点を変えるといった仮説の立て方、立てた仮説への予測をワークで扱います |
| 4 | 仮説の検証と修正 | 分析による検証、フェルミ推定による検証、実験による検証、仮説の修正の考え方を扱います |
| 5 | 仮説思考の実践 | 自社の問題について、状況分析から仮説立案、検証方法の検討までを一連の流れで実践します |
リスキルでも仮説思考を鍛えるための研修を提供しています。
現状把握から問題解決、業務改善まで、場面ごとに使えるフレームワークを幅広く押さえたい場合は、フレームワークに特化した研修がおすすめです。
フレームワーク研修は、As-Is・To-Be分析やSWOT分析といった現状把握のフレームワークから、ロジックツリーやフィッシュボーン図といった問題解決のフレームワーク、ECRSやKPIツリーまで、目的別に多数のフレームワークを扱う研修です。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | フレームワーク活用の意義 | フレームワークの定義と論理的思考との関係を理解し、活用によるメリットや目的に応じた選び方を学びます |
| 2 | 現状把握のフレームワーク | As-Is・To-Be分析、バリューチェーン分析、SWOT分析について、ワークを通じて理解を深めます |
| 3 | 問題解決のフレームワーク | ロジックツリー、フィッシュボーン図(特性要因図)、5Why分析をワーク形式で習得します |
| 4 | 業務改善・優先順位のフレームワーク | ECRSによる業務改善の考え方、アイゼンハワーマトリクスやインパクト×実現可能性マトリクスによる優先度決定の手法を身につけます |
| 5 | 実行と伝達のフレームワーク | KPIツリーによる成果管理の方法や、ピラミッドストラクチャーを用いた効果的な報告・提案のスキルを習得します |
| 6 | 総合ワーク | 自社の新卒採用数を増やすといったテーマを題材に、学んだフレームワークを統合的に活用し、行動計画へと落とし込みます |
リスキルでもフレームワークの実践活用力を高めるための研修を提供しています。
問題の所在の特定から解決策の実行まで、問題解決のプロセス全体を扱いたい場合は、問題解決に特化した研修が適しています。
問題解決研修 基本編は、問題の所在の特定、原因分析、解決案の立案、実行までの一連のプロセスを扱う研修です。日々の業務改善に直結する内容になっています。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | 問題解決とは | 問題解決とは何か、問題と課題の違い、解決案から考えてしまう失敗パターン、問題解決の3ステップを学びます |
| 2 | 問題はどこにあるのか | MECEで問題の全体をとらえる方法、ロジックツリーや問題所在マトリックスによる絞り込み、論拠づけの方法をワークで習得します |
| 3 | 原因は何なのか | 因果分析(なぜなぜ分析)の進め方と実践、問題を掘り下げる際のポイントをワークを通じて身につけます |
| 4 | 解決案の立案 | 優れた解決案の3つの要件、ロジックツリーによる解決案の洗い出し、解決案の評価方法をワークで習得します |
| 5 | 解決策の実行 | ゴールと制約条件の明確化、KPIの設定とモニタリングの方法をワークで学びます |
| 6 | まとめ | 研修での気づきを整理し、行動計画として言語化します |
弊社では問題解決力を底上げするための研修を提供しています。
目先の問題解決にとどまらず、中長期的な視点で意思決定できる力を鍛えたい場合は、戦略的思考に踏み込んだ研修がおすすめです。
ストラテジックシンキング研修は、目的思考やゼロベース思考、未来志向、全体俯瞰、選択と集中、仮説構築と検証まで、戦略的に考えるための視点を幅広く扱う研修です。管理職や次期リーダー層におすすめです。
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | 目的思考とゼロベース思考 | ストラテジックシンキングの必要性、戦略的思考が「なぜ」から始まる理由、前提を疑うゼロベース思考をワークで学びます |
| 2 | 未来志向 | 未来志向思考のプロセス、あるべき姿の描き方、シナリオ思考をワークを通じて身につけます |
| 3 | 全体俯瞰 | 部分最適に陥る罠、時間軸・空間軸を広げるなど俯瞰的な視点の身につけ方、システム思考の基礎を学びます |
| 4 | 選択と集中 | 選択と集中の必要性と落とし穴、優先順位設定の手法、PPMをワークで習得します |
| 5 | 仮説構築と検証 | 効果的な仮説の条件、仮説思考の落とし穴、顧客満足度向上を題材にしたケーススタディにワークで取り組みます |
少し応用的な研修になりますが、こちらも論理的思考能力の研修と言えるでしょう。
複数の研修を比較してきましたが、どの研修を選ぶ場合でも共通して意識しておきたいポイントがあります。
研修のゴールを明確にする
受講後にどのような状態になってほしいかを事前に言語化しておく
ワーク中心の研修を選ぶ
座学だけでなく、自分で考え手を動かす時間があるプログラムを選ぶ
受講後のフォローアップを行う
研修で学んだ内容を実務で使う機会を、上司と連携して用意する
同じ「ロジカルシンキング研修」でも、扱う範囲や深さは研修によって大きく異なります。受講者に何を身につけてほしいのかを先に整理しておくことで、数ある研修の中から適切なものを選びやすくなります。
ロジカルシンキングは、知識として知っているだけでは実務で使いこなせません。ロジックツリーやピラミッドストラクチャーの作成など、実際に手を動かすワークが含まれている研修を選ぶことで、定着度を高められます。
研修だけで完結させず、受講後に実務で使う機会を意識的に作ることも重要です。上司が日々の報告や提案の場面で「MECEになっているか」「結論から話せているか」といった声かけをするだけでも、定着の助けになります。
ロジカルシンキング研修と一言でいっても、基礎の習得を目的にしたものから、コミュニケーション力や戦略的思考まで踏み込んだものまで、扱う範囲はさまざまです。受講対象者のレベルや、鍛えたいスキルの範囲、確保できる研修時間を整理したうえで、目的に合った研修を選ぶことが、研修効果を高める近道になります。今回紹介したパターンを参考に、自社の課題に合ったロジカルシンキング研修を検討してみてください。
リスキル事務局が記事の執筆・監修をしています。人材育成にまつわるお役立ち情報を分かりやすく解説します。
■社員研修のリスキルとは?
社員研修のリスキルは、一人でも多くの人に人材育成を届けるために、利便性の高い研修サービスを提供しています。検索をすれば、一社で実施する研修、日程が決まっている参加型公開講座、eラーニング動画講座などをすぐに見つけ、簡単に申込みや見積書を作成することができます。
■プロフィール
会社名:株式会社リスキル
(「リスキル」は株式会社リスキルの登録商標です。)
設立:2022年5月2日
上場市場:東京証券取引所グロース市場
■研修実績
・利用社数は年間3900社以上
・年間受講者数 前年比157%
・プロフェッショナルの講師陣300名以上在籍