営業研修には、新人向けから管理職向け、ヒアリングやテレアポに特化したものまで多くの種類があります。研修担当の方は、どの研修を選ぶべきか迷うことも多いでしょう。研修選びで大切なのは、知名度ではなく「誰の」「どんな悩み」を解決したいかをはっきりさせることです。
この記事では、対象者や目的別に5つのおすすめ営業研修をカリキュラム付きで紹介します。研修の選び方と、候補を比較するときのポイントもあわせて紹介します。
目次
営業研修は、対象者と悩みの組み合わせで選ぶと候補を絞りやすくなります。まずは5つのパターンと向いている研修を一覧で確認しましょう。
| 対象者 | よくある悩み | おすすめ研修 |
|---|---|---|
| 新人 | 営業の基本動作が身に付いていない / 商談の進め方がわからない | 営業基礎研修 |
| 若手社員 | 自己流の営業で伸び悩んでいる / 原因を言葉にできない | 法人ビジネス向け 営業力強化研修 |
| 中堅社員 | 御用聞きの営業から抜け出せない / 商談を自分から主導できない | 商談主導型 営業研修 |
| 営業管理職 | チームの成績が一部のメンバーに偏っている / 部下育成が属人的になっている | 売れる営業チーム作り研修 |
| 特定スキル | 商品の説明ばかりで提案ができない / 潜在ニーズを引き出せない | 営業向け ヒアリング&提案力強化研修 |
階層だけでなく「今どんな悩みがあるか」まで合わせて見ると、研修のミスマッチを防げます。
新人の段階で必要なのは、高度なテクニックよりも営業の土台です。心構えや話し方などの基本が身に付いていないと、テクニックを覚えても商談で生かしきれません。そこで向いているのが、営業の流れを基礎から押さえる営業基礎研修です。
研修では、アポイントの獲得からアイスブレイク、ヒアリング、提案、クロージングまでを一通り確認します。最後の実践トレーニングでは自分の改善点を洗い出します。
対象者
新入社員 / 若手営業職
想定研修時間
約6時間
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | 営業の心構え | 営業とは何か / 成績の良い営業パーソンの心構え / 値引きが利益に与える影響 / 自社商品と自分を理解して自信を持つ / 【ワーク】自社商品の魅力確認 |
| 2 | 外見と相手からの印象 | 営業にふさわしい外見と清潔感 / 第一印象を良くする笑顔とあいさつ / 【ワーク】マナーチェック |
| 3 | 話し方 | 相手が聞きたいことを話す / 視線や身振り手振りと姿勢 / メモやうなずきなど好感を持たれる聞き方 / 対面営業と電話営業の注意点 |
| 4 | アポイントメント獲得 | 架電リストと話す内容の準備 / 受付を通過するポイント / アポイントのための資料作成 / 【ワーク】実践アポイントメント獲得 |
| 5 | 営業の基本的な流れ | アイスブレイクによる関係構築 / 仮説を立てたヒアリングの準備 / 状況質問と問題質問 / 提案からクロージングまでの流れ |
| 6 | 営業実践トレーニング | 準備から実践までの営業ロールプレイ / アクションプランの作成 |
状況によっては、次の研修も候補です。
| こんな場合 | 候補となる研修 |
|---|---|
| 目標達成への意欲が低く行動量が少ない | 営業マインド向上研修 |
| 商談から入金までの業務の流れを理解できていない | 法人営業の流れ理解研修 |
| 営業未経験の社員を営業職に迎える | 営業職スキルチェンジ研修 |
若手社員は自分なりのやり方が固まり始めると感覚に頼った営業になりやすく、伸び悩んだときに原因を言葉にしにくくなります。
そこでおすすめなのが法人ビジネス向け 営業力強化研修です。検討型商談の基礎を押さえたうえで、仮説立て、質問の使い分け、提案、クロージングを順に確認します。商談を分解して見直すことで、どの場面でつまずいているかを自分で特定できるようになります。
対象者
入社1〜5年目の営業パーソン / 法人営業に携わる方
想定研修時間
約6時間
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | 企業向けの商談 基礎理解 | 即決型商談と検討型商談の違い / 商談相手が決裁者かどうか / お客様が求める営業の資質と必要なスキル |
| 2 | 商談前のリサーチ | お客様を知る必要性 / 訪問前にしておくべき準備 / 仮説作りのための情報 / 【ワーク】実際のお客様を想定した仮説立案 |
| 3 | ヒアリング | 雑談で相手との共通点を探る / 顕在ニーズと潜在ニーズ / 状況質問と問題質問 / 【ワーク】自社商材での質問づくり |
| 4 | 問題を共有し最適な提案へつなげる | 問題を浮き彫りにする示唆質問 / 解決質問 / 決裁者情報と予算の確認 / 【ワーク】ロールプレイング |
| 5 | 提案とクロージング | B-FABを使ったプレゼンテーション / 価格の提示 / 反論されたときの対応 / 検討型商談を進展させるクロージング / 継続的な働きかけ |
| 6 | 実践演習 | 実際の顧客を想定した営業フローの再確認 / 【ワーク】ロールプレイング |
状況によっては、次の研修も候補です。
| こんな場合 | 候補となる研修 |
|---|---|
| 個人のお客様向けの営業が中心 | 個人営業向け 営業力強化研修 提案営業編 |
| どの場面でつまずいているのか特定できていない | 実践型 営業力強化研修 |
中堅社員は基本が身に付いている分、課題が商談の主導や取引拡大、価格交渉といった応用的な内容に移ります。なかでも多いのが、顧客の要望に応えるだけの御用聞きの営業から抜け出せない悩みです。
そこでおすすめなのが商談主導型 営業研修です。顧客が気付いていない課題や新しい視点を示し、商談を自分から主導する営業スタイルを目指します。
対象者
BtoB営業の担当者
想定研修時間
約6時間
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | 商談主導型営業モデルの全体像 | 商談主導型営業の本質と優位性 / 営業タイプ診断 |
| 2 | 商談主導の中核「教育」 | 顧客に新しい視点を提供する意味 / 商品中心のアプローチとの違い |
| 3 | 新しい視点の伝え方 | 理解・再構築・根拠・喚起・行動・解決の6ステップ |
| 4 | 顧客を動かす「調整」 | 業界・役職・関心軸に応じたメッセージの設計 |
| 5 | 関係を壊さず踏み込む「主導」 | 価格交渉や決断の先延ばしが起きる理由と対応 |
| 6 | 営業ロールプレイ | 実務で適用するための実践演習 |
課題によっては、次の研修も候補です。
| 中堅社員の課題 | 候補となる研修 |
|---|---|
| 特定の部署・担当者との取引で頭打ちになる | 取引拡大のための法人営業研修 |
| 値引き要求に押し切られやすい | 法人営業向け 価格交渉力強化研修 |
| 数字へのコミットが弱い | 中堅・管理職向け 営業の数字コミットメント強化研修 |
営業管理職になると、役割は「自分が売る」から「チームで売れる状態をつくる」へ変わります。ところが、プレイヤーとして成果を出してきた人ほど、指導が自分のやり方を伝えるだけになり、育成が属人的になりがちです。
こうした課題に合うのが売れる営業チーム作り研修です。研修では、売れる営業チームの条件を確認した後、目標設定から営業プロセスと部下育成の仕組みづくりへと進みます。
対象者
リーダー / マネージャー / 管理職
想定研修時間
約6時間
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | 売れる営業チームとは | 【オープニングワーク】現在の課題確認 / 売れる営業チームの3つの条件 / 営業リーダーの役割 |
| 2 | ビジョンをもとに方向性を設定する | 目的と目標の違い / SMARTな目標設定 / 現状とあるべき姿の差から目標を考える / 【ワーク】現状とあるべき姿の整理 / 理由も含めたビジョンの共有 |
| 3 | チーム営業の仕組みを作る | 結果ではなくプロセスを見る / 【ワーク】顧客のセグメンテーション / 営業プロセスの見える化 / 受注確度と同行タイミングの仕組み化 |
| 4 | 部下育成の仕組みを作る | 属人化を減らす部下育成の重要性 / 営業プロセスモデルの作成 / 【ワーク】チェックリストの作成 / 副担当制の導入 |
| 5 | 営業リーダーとしての指導 | 仕組みに沿っていない行動の指導 / チェックリストを活用した指導 / 対策を部下に考えさせる / 【ワーク】報告しやすい仕組みを考える |
課題によっては、次の研修も候補です。
| こんな場合 | 候補となる研修 |
|---|---|
| チームの目標達成に向けたPDCAが回っていない | 営業リーダーシップ研修 |
| 部下への教え方や育て方がわからない | 営業指導者研修 |
| 案件の進捗や着地見込みを把握できていない | 営業リーダーシップ研修 案件管理力強化編 |
「顧客の課題を深く聞き出せない」「商品の説明ばかりになってしまう」など、商談の特定の場面に課題があるケースもあります。この場合は、その場面に絞った研修の方が効果を実感しやすくなります。
ヒアリングと提案の両方に課題があるなら、営業向け ヒアリング&提案力強化研修がおすすめです。提案の質は、ヒアリングで顧客の本質的なニーズを捉えられるかで決まります。そのため研修では、訪問前の情報収集と仮説づくりから始めます。質問を段階的に深めて潜在ニーズを引き出し、提案とクロージングにつなげます。
対象者
若手社員 / 中堅社員(営業経験者推奨)
想定研修時間
約6時間
| 章 | 学習テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | 仮説生成に必要な情報収集 | 即決型商談と検討型商談の違い / 訪問前にしておくべき準備 / 仮説作りのための情報 / 【ワーク】実際のお客様を想定して仮説を立てる |
| 2 | ヒアリング | 顕在ニーズと潜在ニーズ / 状況に関する質問 / 潜在ニーズを探る問題に関する質問 / 示唆質問による課題の共有 / 決裁情報と予算の確認 / 【ワーク】ロールプレイング |
| 3 | プレゼンテーション(提案) | 解決質問を使った課題の再確認 / 【ワーク】自社商材の特徴を利点に変換する / B-FABを使ったプレゼンテーション / 価格の提示 / 反論への対応 |
| 4 | クロージングと継続的なフォロー | 検討型商談を進展させるクロージング / 【ワーク】自社商材で使いやすいクロージングを考える / クロージング時の注意点 / 継続的な働きかけ / 【ワーク】ロールプレイング |
課題によっては、次の研修も候補です。
| こんな場合 | 候補となる研修 |
|---|---|
| 顧客の課題を深く聞き出せない | ヒアリング強化研修 応用編 / 意図把握力研修 |
| 顧客が気付いていない課題まで踏み込めない | ソリューション提案力強化研修 |
| 提案資料がわかりにくい | 提案資料作成力強化研修 |
迷ったときは、ゴールから順に次の4つを整理すると絞り込めます。
ゴールを決める
研修後に変わってほしい現場の行動を書き出す
対象者を決める
受講者の階層を明確にする
悩みを具体化する
現場の困りごとを一文で書き出す
課題の場面を特定する
営業プロセスのどこでつまずくかを確認する
「ゴール→対象者→悩み→課題の場面」の順に整理したら、その結果に合わせて研修の方向性を選びます。
対象者や課題がはっきりしている場合は、次の方向性で選びます。
| 状況 | 選ぶ研修の方向性 | 理由 |
|---|---|---|
| 新人が多い / やり方が人によってバラバラ | 基礎研修で共通の型をつくる | OJTや上司の指導も同じ言葉で進められる |
| 若手社員の成果が頭打ち | 商談全体を通しで見直す研修 | 原因が複数の場面にまたがっていることがある |
| 中堅社員の課題が特定のテーマに絞られる | 課題に直結する応用スキルの研修 | 基本は身に付いている |
| 一部のメンバーだけが数字をつくっている | 管理職向けのマネジメント系研修 | 仕組みを整えない限りスキルのばらつきが残る |
課題の場面がはっきりしているなら、その場面に絞った研修が効率的です。営業の5ステップごとに、よくある課題と候補となる研修を整理しました。
| 営業のステップ | よくある課題 | 候補となる研修 |
|---|---|---|
| アポイントメント | アポイントの獲得率が低い / 電話で断られやすい | テレアポ研修 / インサイドセールス研修 |
| アイスブレイク | 商談の冒頭で場が和まない | 雑談力強化研修 |
| ヒアリング | 表面的な要望しか聞き出せない | ヒアリング力強化研修 基本編 / ヒアリング強化研修 応用編 |
| 提案 | 提案が顧客の課題に刺さらない / 資料がわかりにくい | ソリューション提案力強化研修 / 提案資料作成力強化研修 / 営業向け 説明力強化研修 |
| クロージング | 検討中のまま商談が止まる / 契約につなげる進め方がわからない | 法人ビジネス向け 営業力強化研修 |
研修の方向性が決まって候補がいくつか挙がったら、具体的な研修を比較します。大切なのは、評判や知名度ではなく、自社の課題や状況に合っているかで比べることです。比較するときは、次の4つのポイントを確認しましょう。
営業研修を比べるときの4つのポイント
候補の研修が、自社の課題となっている内容をどの程度扱っているかを確認します。たとえばヒアリングに課題があるのに、アポイント獲得の比重が大きい研修を選ぶと効果は薄くなります。
判断に迷うときは、それぞれの研修の「目的」や「身に付くスキル」を確認します。研修後に現場で変わってほしい行動とつながっていれば、課題に合った研修です。カリキュラムの組み立て方は、次の記事で紹介しています。
同じ提案力でも、営業スタイルによって必要な中身は変わります。法人営業では決裁者を見据えた検討型商談の進め方が、個人営業では信頼を得るアプローチや決断の後押しが重要です。研修名や対象者の欄で、自社の営業スタイルを前提にした内容かを確認しておきましょう。
営業スキルは、知識として理解するだけでは現場で使えません。実際に話してフィードバックを受けることで身に付きます。そのため、ロールプレイングやワークの量と、講師のフィードバックの有無を確認します。研修の最後にアクションプランを立てる構成なら、受講後に上司が同行や面談で実践状況を確認しやすくなります。
同じ研修でも、受講人数や拠点の数によって適した実施形式は変わります。
| 実施形式 | 向いているケース | 特徴 |
|---|---|---|
| 一社研修 | 受講者が多い / 自社の事例を扱いたい | 内容や時間を自社向けに調整しやすい |
| 公開講座 | 受講者が少人数 / 他社の受講者と交流させたい | 他社の受講者と決まった日程で参加する |
| eラーニング | 基礎知識を事前に揃えたい / 拠点が分散している | 好きなタイミングで視聴できる |
eラーニングで基礎を揃えてから一社研修で実践するなど、形式を組み合わせる方法もあります。費用の目安は次の記事が参考になります。
営業研修は、研修後に現場で何が変わってほしいかを決め、対象者と悩みを整理すると選びやすくなります。新人は営業の土台づくり、若手社員は商談全体の見直しが軸です。中堅社員は応用スキルの強化、管理職はチームの仕組みづくりを軸に選びます。課題の場面が明確なら、スキル特化型を選びます。
比較では、変化と定着の流れを先に決め、そこにつながる内容や進め方、形式を選びましょう。まずは、研修後の現場でどうなっていてほしいかを一文で書き出してみてください。
リスキル事務局が記事の執筆・監修をしています。人材育成にまつわるお役立ち情報を分かりやすく解説します。
■社員研修のリスキルとは?
社員研修のリスキルは、一人でも多くの人に人材育成を届けるために、利便性の高い研修サービスを提供しています。検索をすれば、一社で実施する研修、日程が決まっている参加型公開講座、eラーニング動画講座などをすぐに見つけ、簡単に申込みや見積書を作成することができます。
■プロフィール
会社名:株式会社リスキル
(「リスキル」は株式会社リスキルの登録商標です。)
設立:2022年5月2日
上場市場:東京証券取引所グロース市場
■研修実績
・利用社数は年間3900社以上
・年間受講者数 前年比157%
・プロフェッショナルの講師陣300名以上在籍