離れた拠点で働く社員や在宅勤務の社員にも、プレゼンテーション研修を受けてもらいたい。そのため、オンラインでの実施を検討している研修担当者もいるのではないでしょうか。
プレゼンテーション研修は、オンラインでも実施できます。ただし、対面研修の内容をそのままオンラインに置き換えると、発表やグループワーク、フィードバックがうまく機能しないことがあります。
この記事では、オンラインでプレゼンテーション研修を実施するための準備から、当日の進め方、演習の工夫、注意点までを見ていきます。
目次
プレゼンテーションの力は、講義を聞くだけでなく、実際に発表してフィードバックを受けることで伸びていきます。そのため、オンラインで演習を行えるのか不安に感じる担当者もいるでしょう。
画面共有での発表やブレイクアウトルームでのグループワークを組み合わせれば、演習中心の研修もオンラインで実施できます。知識の習得だけであればeラーニングでも可能です。一方、発表してフィードバックを受ける練習には、講師と受講者がリアルタイムで参加できるLIVE型が適しています。
ただし、対面研修の内容をそのままオンラインに移すだけでは、双方向のやり取りが生まれにくくなります。発表や資料共有、フィードバックの場面をどう確保するかが、オンライン研修を設計するうえで重要です。
研修のテーマや対象者がまだ固まっていない場合は、先に全体の企画を整理しておきましょう。
オンライン研修のメリットとしては、次のような点が挙げられます。
プレゼンテーション研修ならではの利点もあります。商談や社内会議をオンラインで行う企業では、オンライン会議での発表が日常業務の一部になっています。本番と同じ環境で練習できるため、研修で身に付けたことを現場で生かしやすくなります。
一方で、会場の空気を感じながら発表する練習は、対面のほうが行いやすい面もあります。休憩中の何気ない会話から交流が生まれやすいのも、対面ならではです。オンラインが常に優れているわけではなく、研修の目的に合わせて実施形式を選ぶことが前提です。
まず確認したいのは、受講者一人ひとりの受講環境です。主に次の項目が整っているかを確認します。
スマートフォンで参加できる場合もあります。ただし、プレゼンテーション研修では、資料を見ながら話したり、画面共有したりする場面が多くなります。小さな画面では操作しにくいため、PCでの受講を基本にするとよいでしょう。
自宅から参加する受講者がいる場合は、周囲の音が入りにくい場所を確保できるかも確認しておきます。
次に、使用するオンライン会議システム(Zoomなど)の機能と、研修での使い方を確認します。主な機能と研修での使い方は、次のとおりです。
| 機能 | 研修での主な使い方 |
|---|---|
| 画面共有 | 受講者が自分の資料を映しながら発表する |
| ブレイクアウトルーム | 少人数に分かれて発表練習や意見交換を行う |
| チャット | 質問や感想、コメントを文字で送る |
| リアクション | 発表への反応や理解度を手軽に示す |
| 録画 | 発表を記録し、後から本人が見返す |
ブレイクアウトルームとは
オンライン会議システム上で参加者を少人数のグループに分け、それぞれの部屋で話し合える機能のこと。
これらの機能をすべて使う必要はありません。たとえば録画には、受講者が自分の話し方を客観的に見返せる利点があります。一方で、録画されることで緊張が増す受講者もいます。研修の目的に照らして必要な機能を選びましょう。
録画する場合は、社内ルールに沿って事前に受講者へ伝えておくことも欠かせません。
プレゼンテーション研修では発表演習が中心になるため、接続できるだけでは十分とはいえません。研修前に、次のような点を決め、確認しておきます。
画面共有は、会社のPCのセキュリティ設定によって制限されていることがあります。当日に「共有できない」とわかると、演習が止まってしまいます。可能であれば、事前の接続テストで画面共有まで試しておくと安心です。
準備のゴールは「接続できる」状態ではありません。受講者が自分の資料を共有して発表し、意見を交わせる状態まで整えておきましょう。
オンラインでは、講師の説明だけが長く続くと、受講者は画面を眺めるだけの受け身の状態になりがちです。対面と違って周囲の目がなく、集中が途切れても講師が気づきにくいためです。
そこで、受講者が作業したり発言したりする場面を、短い間隔で組み込みます。基本となるのは、次のようなサイクルです。
たとえば「結論から話す構成」を扱う場合、まず10〜15分ほど要点を説明します。その後すぐに、受講者が自分の業務テーマで構成を考えるワークに移ります。適切な演習量は、研修目的や対象者によって異なります。
オンラインならではの演習として取り入れたいのが、受講者自身が資料を画面共有しながら発表する方法です。実際のオンライン会議に近い状態で練習できます。
発表を見る側は、次のような点に注目すると改善点を見つけやすくなります。
画面越しでは、文字が小さい資料や情報を詰め込んだ資料は特に読みにくくなります。資料づくりから見直したい場合は、資料作成と発表をあわせて扱う研修も選択肢の一つです。
プレゼンテーションの構成や進め方の基本は、こちらの記事で紹介しています。
ブレイクアウトルームを使えば、3〜5人程度の少人数に分かれて演習できます。グループ内では、次のような活動が考えられます。
少人数であれば、全体の場では発言しにくい受講者も話しやすくなります。ワーク後は全体に戻り、各グループで出た気づきを代表者が共有すると、受講者全員が他のグループの視点にも触れられます。
ルームに分かれる前に進行役やタイムキーパーを決め、ワークの目的と制限時間も伝えておくと、話し合いが止まりにくくなります。
オンラインでは複数人が同時に話すと音声が重なるため、発言は一人ずつになりがちです。全員の発言を待っていると、時間が足りなくなることもあります。また、マイクで話すことに抵抗を感じる受講者もいます。
そこで、発言以外の参加方法も用意しておきます。
大切なのは、発言できる人だけが参加している状態を避けることです。参加の手段が複数あれば、受講者一人ひとりが研修に関わり続けやすくなります。
全員が全体の場で発表すると、多くの時間がかかります。たとえば20人が5分ずつ発表するだけで100分です。オンラインでは、発表者が替わるたびに画面共有の切り替えも発生します。
そこで、次のような方法を組み合わせます。
発表時間を短くする
1人あたりの発表時間を調整し、限られた時間でも発表人数を確保する
グループで発表する
少人数で発表し、全体では代表者が発表する
発表形式を使い分ける
演習の目的に応じて全体発表とグループ発表を使い分ける
発表回数を調整する
研修の目的に応じて1人あたりの発表回数を決める
たとえば、内容を固める段階ではグループ内で短い発表を繰り返し、最後に代表者が全体で発表する流れが考えられます。「全員が同じ形式で発表する」ことにこだわらず、限られた時間で練習量を確保できる形を選びましょう。
プレゼンテーション研修では、発表して終わりにせず、フィードバックを通じて改善点に気づいてもらうことが重要です。オンラインでは、次のような方法が考えられます。
フィードバックの方法
オンラインでは表情や声のトーンが伝わりにくく、あいまいな感想は意図どおりに受け取られないことがあります。そのため、「何を見て評価するか」を事前にそろえておくことが特に大切です。観点の例は「結論が冒頭で伝わったか」「資料と話の内容が対応していたか」などです。観点がそろっていれば、受講者同士でも具体的な意見を交わせます。
チャットでのコメントは、発表者があとから読み返せる点でも便利です。ただし、文字だけの指摘は強く受け取られる場合もあります。良かった点とあわせて伝えるなど、コメントのルールも決めておくとよいでしょう。
商談や社内報告をオンライン会議で行う企業では、演習を実際の業務環境に近づけると効果的です。たとえば、次のような練習が考えられます。
オンライン会議では、資料の切り替えに手間取ったり、質問の音声が途切れたりと、対面にはないトラブルが起こりがちです。こうした状況を研修中に一度経験しておけば、本番でも落ち着いて対応しやすくなるでしょう。
目指したいのは、対面研修を単にオンラインに置き換えるのではなく、オンラインで行う実務そのものを演習に取り入れることです。
発表とフィードバックを繰り返し、実践力を高める研修は以下から確認できます。
対面研修の時間割や内容をそのままオンラインに移すと、受講者の負担が大きくなりがちです。長時間、画面を見続けることになるためです。
Before
対面研修の内容や時間割を、そのままオンラインに移す
After
説明・演習・発表・休憩を、オンライン向けに組み直す
調整する主な観点を、対面での進め方の例と比べると次のようになります。
| 観点 | 対面での進め方の例 | オンライン向けに調整する例 |
|---|---|---|
| 講義 | まとまった時間で説明する | 短い説明とワークを交互に入れる |
| 演習 | 会場全体で一斉に行う | ブレイクアウトルームで少人数に分ける |
| 発表 | 会場の前方に立って発表する | 自分の資料を画面共有して発表する |
| 交流 | 休憩中などに自然と会話が生まれる | チャットやグループワークで交流の場をつくる |
| フィードバック | 口頭でのやり取りが中心 | 口頭に加え、チャットやチェック項目も使う |
対面の進め方が劣っているわけではありません。環境が変わる以上、研修の進め方もオンラインに合わせて組み直す必要があるということです。画面を見続けることによる疲れを考慮し、対面より短い間隔で休憩を入れることも検討しましょう。
オンライン研修では、次のようなトラブルが起こることがあります。
オンライン研修で想定しておきたいトラブル
特にプレゼンテーション研修では、発表直前のトラブルが進行に影響します。準備が整うまで次の人が先に発表するなど、順番を入れ替えられるようにしておけば、進行が止まりにくくなります。
あわせて、トラブル時の連絡手段(チャット、電話、メールなど)と対応担当者も事前に決めておきましょう。講師とは別にサポート役を置くと、トラブルが起きても研修を止めずに進めやすくなります。
オンラインでは、講師が受講者の表情やうなずきといった反応を、対面ほど把握できない場合があります。理解が追いついていない受講者がいても、気づかないまま進めてしまうこともあるでしょう。
そこで、講師から受講者の状態を確認する工夫を取り入れます。
受講者の反応を確かめながら進めることで、理解が追いついていない受講者を減らせます。
研修前
目的や受講環境、演習内容を準備する
当日
接続確認から発表、フィードバックまで進行する
研修後
実務での活用状況や変化を確認する
研修前には、主に次の準備を進めます。
特に、プレゼンテーション研修では、受講者が実際に発表できる状態を整えておくことが重要です。単に会議システムへ接続できるかだけでなく、資料の画面共有やマイク、カメラなども確認しておきましょう。
当日の流れは、たとえば次のように進めます。
冒頭の接続確認やオリエンテーションで、画面共有やチャットの使い方を全員で試しておくと、その後の演習がスムーズに進みます。
ただし、すべての研修をこの順番で進める必要はありません。目的や時間に合わせて、講義と演習を何度か繰り返すなどの調整を加えましょう。
研修で身に付けたことは、実務で使われてはじめて成果につながります。研修後には、たとえば次の点を確認します。
たとえば、研修の1〜3か月後にアンケートを実施したり、上司との面談で取り上げてもらったりする方法があります。研修中の発表を録画していれば、その後の発表と見比べることで、受講者自身も変化を確かめられます。
研修後の実務で活用できているかまで確認することで、研修内容が実際の行動につながっているかを把握できます。
オンラインでプレゼンテーション研修を実施する前に確認したい項目をまとめました。社内での準備状況の確認や、研修会社との打ち合わせに活用してください。
オンラインでのプレゼンテーション研修 実施前チェックリスト
外部の研修を利用する場合は、実施形式ごとの費用の目安もあわせて確認しておくと、社内での検討を進めやすくなります。
プレゼンテーション研修は、オンラインでも実施できます。ただし、対面研修の内容をそのまま移すのではなく、オンラインの環境に合わせて設計し直すことが大切です。
受講者が発表できる環境を整え、画面共有での発表演習とフィードバックの場を確保しましょう。実施前には、チェックリストで準備状況を確認しておくと安心です。
また、オンライン研修では、対面研修とは異なるトラブルや受講者の負担も考慮する必要があります。講義と演習を組み合わせ、受講者の反応を確認しながら進めることで、オンラインでも実践的な研修を行いやすくなります。
リスキルでは、講師と受講者がリアルタイムで参加するプレゼンテーション研修を、一社研修と公開講座で実施しています。一社研修は対面・オンライン・ハイブリッド、公開講座はオンラインに対応しています。各研修の内容は、以下の一覧から確認できます。
リスキル事務局が記事の執筆・監修をしています。人材育成にまつわるお役立ち情報を分かりやすく解説します。
■社員研修のリスキルとは?
社員研修のリスキルは、一人でも多くの人に人材育成を届けるために、利便性の高い研修サービスを提供しています。検索をすれば、一社で実施する研修、日程が決まっている参加型公開講座、eラーニング動画講座などをすぐに見つけ、簡単に申込みや見積書を作成することができます。
■プロフィール
会社名:株式会社リスキル
(「リスキル」は株式会社リスキルの登録商標です。)
設立:2022年5月2日
上場市場:東京証券取引所グロース市場
■研修実績
・利用社数は年間3900社以上
・年間受講者数 前年比157%
・プロフェッショナルの講師陣300名以上在籍