本記事では、論理的思考(ロジカルシンキング)ができない人によくある発言を具体例とともに紹介します。
論理的思考が苦手な人には共通する発言の傾向があり、その背景には考え方や情報の整理の仕方が関係しています。本記事ではその傾向とあわせて、苦手になる原因や職場で起こる問題についても解説します。
目次
論理的に考えることが苦手な人は、考え方や情報の整理の仕方に共通した傾向があります。ここでは、よく見られる特徴を具体例とともに紹介します。
まず挙げられるのが、一部の情報だけで結論を出してしまう傾向です。その情報の出どころや前提条件、例外を考えず、「記事で読んだから」「紹介されていたから」「どこかで聞いたから」とそのまま受け入れてしまいます。

「コーヒーは健康に悪い」という情報自体が誤りとは限りません。問題なのは、「どんな研究に基づく話なのか」「どのくらいの量を飲んだ場合なのか」といった前提を確認しないことです。前提を飛ばして、結論だけを受け取ってしまうのです。
論理的に考えられる人は、情報に接したときに「なぜそう言えるのか」と一度立ち止まります。そのうえで根拠や条件を確かめて判断します。この一手間があるかどうかが、両者の大きな違いです。
次に多いのが、判断の根拠が「誰が言ったか」になってしまうケースです。上司や専門家、最近ではAIの回答など、信頼できそうな相手の言葉をそのまま結論にしてしまい、内容そのものを検討しないまま話を進めてしまいます。

専門家や上司、AIの意見は有力な参考情報ですが、それ自体が「正しさ」の根拠にはなりません。コンサルタントの提案が優れていても、自社の課題や状況に合うかどうかは別の問題だからです。「〇〇さんが言っていたから」で止まってしまう人と、「その提案は自社に当てはまるか」まで確認する人とでは、同じ情報源を使っていても判断の質が変わります。
論理的に考えるうえで大切なのは発言者の肩書きではなく、内容と自社の状況を照らし合わせて妥当性を確かめることです。
判断の理由を尋ねられたときに、「なんとなく」「話題になっているから」としか答えられないことがあります。これも、論理的思考が苦手な人によく見られる特徴です。本人の中では妥当な判断をしているつもりでも、その根拠を言葉にできていません。

この例では、どちらも「ハラスメント研修を実施する」という同じ結論にたどり着いています。違うのは根拠の示し方です。「最近よく話題になっているから」では、なぜ自社で・今年・その研修なのかが説明できず聞き手も妥当性を判断できません。一方、「相談件数が増えているから」という事実に基づけば、優先順位の理由が明確になり周囲の納得も得やすくなります。
似たパターンとして、「この企画は時間をかけて作ったので採用しよう」「頑張っていたから」「かわいそうだから」といった発言があります。これらは、感情や努力を根拠にした判断だといえます。気持ちとしては理解できますが、かけた時間や労力は企画がビジネスとして妥当かどうかとは別の問題です。
なお、感覚や直感による判断がすべて悪いわけではありません。経験に裏打ちされた直感が的を射ていることもあります。重要なのは、「なぜそう考えたのか」を後からでも言語化し、相手が検証できる形で示すことです。
論理的に考えることが苦手な人は、目的から逆算するのではなく、目の前にあるタスクや情報をひとつずつ積み重ねながら進めがちです。この進め方は「積み上げ思考」と呼ばれ、論理的思考が苦手な人になりやすい傾向があります。

この例の非ロジカルな進め方は、一見すると行動的で問題がないように見えます。しかし、「何のために調査するのか」というゴールが定まっていないため、集めた情報が本当に必要だったのか判断できず、時間をかけたわりに方向性が定まらないという事態に陥りがちです。一方、ロジカルな進め方では先に目的を明確にします。そうすることで、集めるべき情報とそうでない情報を最初から絞り込めます。
積み上げ思考そのものが悪いわけではありません。ゴールから逆算する「逆算思考」とはそれぞれに向き不向きがあり、状況によって使い分けるものです。ただ、論理的に考えることが苦手な人は逆算思考への切り替えができず、常に積み上げ型で進めてしまいがちです。「タスクをこなすこと」自体が目的化したり、作業を終えてから最終的な方向性のずれに気付いたりしやすくなります。
質問に対して状況や経緯を延々と説明するものの、肝心の結論がなかなか出てきません。これも、論理的思考が苦手な人に典型的なパターンです。話が長いわりに、聞き手には「結局どうしたいのか」が伝わりません。

この例では、非ロジカルな答え方も嘘を言っているわけではなく、挙げている情報も無関係ではありません。しかし、市場の状況やアンケート結果を並べるだけで自分の判断を示していないため、聞き手は「つまり、販売すべきだと考えているのか?」と改めて確認しなければなりません。
一方、ロジカルな答え方は「販売した方がいい」という結論を最初に示し、その根拠として市場規模とアンケート結果を添えています。使っている情報はほぼ同じでも、伝わり方はまったく違います。
ビジネスコミュニケーションの基本は、結論を先に述べて根拠を後から補足することです。結論を後回しにする話し方は、聞き手の時間を奪うだけでなく「考えがまとまっていない」「自分の判断に自信がない」という印象まで与えてしまいます。
聞かれたことに対して、ずれた答えを返してしまうのも、論理的思考が苦手な人によく見られる傾向です。理由を尋ねられているのに感想を返したり、はい・いいえで答えられる質問に別の話を始めたりと、質問の意図を捉えないまま答えてしまいます。

この例では、「どうして?」と理由を聞かれているのに、非ロジカルな答え方は「だってそうですよね」と同意を求めるだけで、質問には何も答えていません。本人に答えをはぐらかすつもりはなくても、聞き手からすれば会話が前に進まず、同じ質問を繰り返すことになります。ロジカルな答え方のように、「それは〇〇だからです」と質問の形に対応した答えを返すことが基本です。
この傾向は、「5. 結論がはっきりしない」と根っこが共通しています。どちらも、相手が何を知りたがっているのかを捉えず、自分の頭に浮かんだことをそのまま口にしてしまうことから起こります。違いは、5が「答えはあるのに結論を後回しにする」のに対し、6は「そもそも聞かれたことに対応する答えを返していない」という点です。
質問に答える際は、まず「相手は何を聞いているのか(理由か、事実か、判断か)」を確認する癖をつけることが改善の第一歩になります。
論理的に物事を考えたり伝えたりすることそのものよりも、「ロジカル」という言葉に対して偏ったイメージを持っていることが、苦手意識の入り口になっているケースもあります。こうした人からは、大きく2種類の発言がよく聞かれます。
ネガティブなイメージから、次のような発言をします。
「ロジカルな人って、熱意・感情が希薄そう」
「ロジカルな人って、正論で詰めてくる感じがして苦手」
「理屈っぽく話すと、場の空気が悪くなりそう」
「私は感覚派なので、論理より気持ちを大事にしたい」
しかし、論理的に考えることと、相手に冷たく接することはまったく別の話です。むしろ、考えを整理して分かりやすく伝えることは、相手への配慮でもあります。
自分には縁がないものと捉えて、次のような発言をします。
「ロジカルシンキングは、頭が良い人ができるもの」
「私は文系なので、ロジカルとは程遠い」
「自分には向いていないから、学んでも無駄」
「地頭の問題だから、今さら変えられない」
ロジカルシンキングは生まれつきの才能ではなく、方法を学び実践すれば誰でも身に付けられるスキルです。実際、リスキルのロジカルシンキング研修の受講者アンケートでも、「普段意識していなかった」「考え方に型があることを初めて知った」といった感想はよく見られます。こうした偏ったイメージを持ったままだと、学ぶ機会を自ら遠ざけてしまうことになります。
ここまで、論理的思考が苦手な人によくある発言を紹介してきました。では、なぜこうした状態になるのでしょうか。原因は大きく3つ挙げられます。誤解によって学ぶ意欲が持てない、そもそも学ぶ機会がない、学んでも実践する習慣がない——この3段階のどこかでつまずいているケースが多いです。
前章で紹介したように、「論理的=冷たい」「頭が良い人だけのもの」といった偏ったイメージを持っていると、ロジカルシンキングを「自分とは関係のないもの」「身に付けたくないもの」と捉えてしまいます。スキルそのものに触れる前に心理的な距離ができてしまうため、学ぶ意欲が生まれず、苦手なまま固定されてしまいます。
ロジカルシンキングは、意識して学ばなければ自然に身に付くものではありません。しかし、学校教育の中で論理的思考を体系的に学ぶ機会は限られており、社会人になってからも業務に追われて「考え方そのもの」を学ぶ時間を取れない人が多いのが実情です。また、日々の業務がルーティン中心で自分の頭で考えて判断する場面が少ない環境では、思考力を鍛える機会そのものが不足します。
ロジカルシンキングは知識として理解するだけでは身に付きません。「なぜそう言えるのか」「根拠は何か」と日常的に問い直す習慣があって、はじめて実際の業務で使えるようになります。研修や書籍で一度学んでも、日々の会議や報告の場で実践しなければ元の思考パターンに戻ってしまいます。スポーツと同じで、繰り返し使うことでしか定着しないスキルだといえます。
このように、ロジカルシンキングが苦手になる原因は本人の資質や地頭の問題ではなく、「誤解」「機会」「習慣」の問題です。つまり、適切な学びの機会を用意し実践を促す仕組みをつくれば、育成によって改善できるということです。逆に、これを放置すると職場にはさまざまな問題が生じます。
論理的思考が不足すると、本人だけでなくチームや組織全体にも影響が及びます。コミュニケーションや意思決定の質が下がり、業務効率や生産性にも影響を与えることがあります。
例えば、次のようなことが起こりやすくなります。
| 起こりやすいこと | 職場で起こる具体例 |
|---|---|
| コミュニケーションの質が低下しやすくなる | 「そんなつもりで伝えたわけではなかった」と、手戻りや認識違いが発生する |
| 意思決定が遅れやすくなる | 会議が長引いても結論がまとまらず、判断が先送りになる |
| 問題解決の精度が下がりやすくなる | 場当たり的な対策を繰り返し、同じトラブルが何度も発生する |
| 提案や報告が伝わりにくくなる | 良いアイデアでも承認されず、顧客への提案でも納得を得られない |
| 組織全体の連携が取りづらくなる | 部署ごとに認識や判断基準が異なり、連携や引き継ぎがスムーズに進まない |
このように、論理的思考の不足は個人の問題にとどまらず、会議の生産性や意思決定のスピード、チーム内の信頼関係にまで影響を及ぼします。裏を返せば、社員一人ひとりが論理的に考え伝える力を身に付けることで、組織全体のコミュニケーションの質は大きく改善するということです。
本記事では、論理的思考ができない人によくある発言7選と、その背景にある原因、職場で起こる問題について解説しました。
「〇〇さんが言っていたから」「なんとなく」といった発言は、本人に悪気があるわけではありません。多くの場合、論理的に考える方法を学ぶ機会や習慣がなかったことに起因します。そのため、本人の資質の問題として片付けるのではなく、育成によって改善できる課題として捉えることが重要です。
ロジカルシンキングは、一部の頭が良い人だけのものではなく、正しい方法を学び繰り返し実践することで誰でも身に付けられるスキルです。まずは本記事で紹介した7つの発言を、自社の会議や報告の場面に照らし合わせ、育成上の課題がないかを確認するところから始めてみてください。
とはいえ、思考の癖は本人任せではなかなか改善されず、OJTだけでの習得には限界もあります。組織的にロジカルシンキングを強化するには、研修などを通じて体系的に学び実践する機会をつくることが効果的です。リスキルのロジカルシンキング研修もぜひご活用ください。
リスキル事務局が記事の執筆・監修をしています。人材育成にまつわるお役立ち情報を分かりやすく解説します。
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■プロフィール
会社名:株式会社リスキル
(「リスキル」は株式会社リスキルの登録商標です。)
設立:2022年5月2日
上場市場:東京証券取引所グロース市場
■研修実績
・利用社数は年間3900社以上
・年間受講者数 前年比157%
・プロフェッショナルの講師陣300名以上在籍