リスキルラボ 「部下に仕事を任せられない」悩みを解決するポイント【上司の問題?部下の能力不足?】

部下育成・後輩指導研修
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近年、多くの経営者やリーダーが共通して直面する問題が「部下に仕事を任せられない」というものだ。この問題は、部下のスキル不足だけではなく、上司の姿勢や組織文化にも起因することが多い。

根本的な原因や解決策を知ることで、組織の生産性や働きやすさを向上させることが可能だ。この記事では、部下に仕事を任せる際のヒントや考え方を具体的に解説する。

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なぜ「任せられない」のか?原因を知る

部下に仕事を任せられないと感じるリーダーは多い。しかし、その背後には多くの原因が存在していることを知っているだろうか?

部下の能力不足

新入社員や未経験者を指導する場面で、彼らが求められるスキルや知識を持っていないことが明らかな場合、任せられないと感じるのは当然である。例えば、新しいプロジェクトのリーダーとして指名された部下が、必要なソフトウェアの操作方法を知らない場合、その任務を果たすのは難しいだろう。

上司自身の姿勢

完璧主義の上司は、部下の手を経ずに自ら仕事をこなしてしまうことが多い。具体例として、報告書の書式やデザインにこだわるあまり、部下が作成したものを大幅に修正するような行動が挙げられる。

部下との信頼関係の不足

部下が納期を守れなかった経験や、過去の失敗が頭に浮かぶと、再びその部下に同じ仕事を任せることに躊躇するのは自然な反応である。

組織文化

上からの指示が強い組織や、失敗を許容しない組織文化の中では、リーダーは部下にリスクを取らせることを避けがちだ。例として、新製品の開発において、過去の失敗が繰り返されることを恐れて、経験豊富なメンバーだけに仕事を任せる傾向がある。

  • これらの原因を知り、自身の立場や組織の状況を冷静に分析することで、部下に仕事を任せるための第一歩を踏み出すことができるだろう。

  • 部下に原因がある可能性もあるが、まずは自分自身の姿勢や行動で改善が見込めないかを考えて、取り組んでみよう。

信頼を築くためのコミュニケーション

部下に仕事を任せられない原因の一つに、「信頼の欠如」があるが、その信頼をどのように築いていくのだろうか?答えは、日常のコミュニケーションにある。

信頼は一朝一夕で築くものではない。長い時間をかけて、一つひとつの行動や交流を通じて形成される。ここでは、信頼を築くための3つのコミュニケーション手法を紹介する。

リーダー自身が透明性を持つこと

リーダーが自分の考えや感情をオープンにすることで、部下も自由に意見を共有しやすくなる。たとえば、新しいプロジェクトの目標を設定する際、リーダーが自分の考えを率直に話すことで、部下も自身の見解を述べやすくなるだろう。

定期的なミーティング

日々の業務に追われると、コミュニケーションがおろそかになりがちだ。しかし、定期的な1対1のミーティングを設けることで、部下の課題や思いをきちんと把握することができる。例えば、月に一度、各部下とのミーティングを設け、業務に関する問題点やアイデアを共有する時間を作ると良い。

フィードバックの重視

フィードバックは信頼関係を築くための重要な手段だ。部下の良い行動を評価し、改善が必要な点を適切に伝えることで、部下はリーダーに対する信頼感を強める。フィードバックは次で詳しく触れる。

以上の3つの手法を活用することで、リーダーは部下との信頼を徐々に築いていくことができるだろう。

タスクの明確化と期待値の共有

仕事を部下に任せる際、最も重要なのは、その仕事の内容や期待値を明確に伝えることだ。部下が持つ不安や疑問を取り除くためには、リーダーとして具体的な指示と期待をしっかり伝える必要がある。

タスクの具体性

部下に「報告書を作成してほしい」と頼むだけでは、部下は何をどのように報告すれば良いのか、具体的には分からない。この場合、「〇〇のプロジェクトに関する売上データと分析結果を含めた報告書を作成してほしい」と具体的に伝えることで、部下の作業がスムーズに進むだろう。

タスクの目的

この仕事を行う最終的な意図や目的を明らかにする。
例文: 「この報告書は、次回の取締役会で新製品の提案を行うための資料として使用します。」

タスクの詳細

仕事の手順や内容を具体的に説明する。
例文: 「まず、過去3ヶ月分の売上データを集計し、その後、主要な販売チャネルごとの分析を行ってください。」

期待する結果

どのようなアウトプットを期待しているのかを伝える。
例文: 「最終的には、販売チャネルごとの売上推移と、今後の販売戦略の提案を含んだ報告書を作成してほしい。」

使用するツールや資料

仕事を行う際に必要なツールや資料を明示する。
例文: 「売上データは社内システムの〇〇から取得できます。分析には△△ソフトを使用してください。」

相談先やリソース

タスク実行中に困った際の相談窓口や参考となる資料、過去の例などを伝える。
例文: 「過去の報告書は共有フォルダーにありますので、参考にしてください。分からないことがあれば、〇〇部長に直接聞いても大丈夫です。」

これらのポイントをクリアに伝えることで、部下はタスクの内容や期待値を正確に把握し、迷いなく仕事に取り組むことができるだろう。

期限の設定

期限を明確にすることで、部下は仕事の優先順位をつけやすくなる。例えば、複数のタスクがある場合、どれを先に取り組むべきかの判断材料として期限が役立つ。

期待値の共有

部下にどのような成果を期待しているのか、明確に伝えることで、部下は方向性を持って仕事に取り組むことができる。たとえば、新製品の提案書を作成する際、リーダーが「この製品の強みや市場での差別化ポイントを強調してほしい」と期待値を伝えることで、部下はその視点を中心に提案書を作成することができる。

  • 「そんなに細かく指示をすべきなら自分でやったほうが早い」と思うかも知れないが、このようなタスクの依頼を重ねていくことで、多くの部下は自走できるようになっていくだろう。

  • これらのステップを踏むことで、部下は仕事の内容やリーダーの期待を明確に理解することができる。そして、その結果として、仕事の質や効率が向上するだろう。

フィードバックの正しい方法

部下に仕事を任せる際、その成果に対して適切なフィードバックを行うことは極めて重要だ。フィードバックは、部下の成長を促す手段であると同時に、上司と部下との信頼関係を強固にするツールとしても機能する。しかし、どのようにフィードバックを行うかによって、その効果は大きく変わる。ここでは、フィードバックの正しい方法について考察する。

具体的であること

フィードバックは抽象的ではなく、具体的な事例や状況に基づいて行うべきだ。
例: 「先週のプレゼンテーションで、データの解説が非常にわかりやすかった。」

ポジティブな要素を強調

部下の良い点や成功体験を前面に出し、その上で改善点を指摘する。
例: 「売上データのまとめ方が素晴らしかった。ただ、次回はより具体的なアクションプランも併せて提示してほしい。」

感情を取り除く

フィードバックは客観的な事実に基づいて行い、感情的な言葉遣いは避ける。
例: 「報告書にはいくつかの誤りが見られた。」といった具体的な指摘を行うのが適切。

双方向のコミュニケーションを重視

フィードバックは一方的なものではなく、部下の意見や感じたこともしっかりと聞く。
例: 「このプロジェクトで特に難しかった点や改善点は感じられたか?」

継続的に行うこと

フィードバックは定期的に行い、部下の成長を常にサポートする姿勢を示すことが重要だ。

  • これらのポイントを意識し、適切なフィードバックを行うことで、部下は自身の成果をより高めるモチベーションを得ることができる。

  • また、上司としても部下の能力や思考をより深く理解することができるだろう。

研修を通して、正しいフィードバック方法を習得させる

上記のスキルについて、褒め方研修・叱り方研修を受けさせることで、スキルの強化を行うことも推奨される。頭ではわかっていても、いざ部下を目の前にすると悪い点ばかり目についてしまい、プラスのフィードバック(褒めるなど)ができない方も多い。研修を通して学び、褒め方や叱り方のポイントを理解することで「仕事を任せると、部下が成長しモチベーションが上がる」「そのことが、チーム全体の成果に繋がる」という面を実感してもらうことも期待できる。

信頼の構築と維持

部下に仕事を任せるためには、上司と部下の間に信頼が築かれていることが不可欠だ。信頼はコミュニケーションの土台となり、円滑な業務遂行の鍵となる。信頼の構築とその維持の方法について考える。

公平な評価を行う

上司として、部下の業績や努力を正確に評価し、公平に扱うことが重要だ。先入観や偏見を持たず、事実に基づいて評価を行う。
例: 「各メンバーの業績を明確な指標で評価し、それに基づきフィードバックを行う。」

開かれたコミュニケーションを心がける

部下の意見や考えを尊重し、常に双方向のコミュニケーションを保つ。
例: 「月に1度の個別ミーティングを設定し、部下の意見や悩みをしっかりと聞く時間を作る。」

約束を守る

上司として約束や取り決めを守ることで、部下からの信頼を得ることができる。
例: 「前回のミーティングで提案された改善点を次回までに実装する」と明言した場合、その期限を守る。

部下の成功を称賛する

部下が良い成果を上げた時、その努力や成功を公然と称賛することで、モチベーションを高めると同時に信頼関係を強化する。
例: 「チームミーティングで、特定のメンバーの成果をハイライトし、その努力を称賛する。」

誠実さを持つ

何か問題やミスが発生した際、それを隠蔽するのではなく、率直に認め、改善のための対策を講じる。部下にもその過程を透明に共有する。

  • これらのポイントを実践することで、部下からの信頼を獲得し、維持することができるだろう。

  • 信頼のもとでのコミュニケーションは、チーム全体の生産性や士気の向上に繋がり、より高い成果を生む土壌となる。

まとめ

多くのリーダーが直面する「部下に仕事を任せられない」問題。これを乗り越えるための鍵は、コミュニケーションの質の向上と、信頼関係の構築にある。

まず、自身の役割の明確化は必要不可欠だ。リーダーは方向性を示し、部下に適切なタスクを割り当てる役割を果たす。タスクの具体性をしっかり伝えることで、部下はその目的と期待される結果を正確に理解し、迷いなく取り組むことができる。

次に、部下の成果に対して適切なフィードバックを行うことが重要。これは部下の成長を促すだけでなく、上司と部下の間の信頼関係を深めるための手段ともなる。具体的で、感情を取り除いた客観的なフィードバックを心がけることで、部下は自身の課題と成果をより明確に捉えることができる。

最後に、部下との信頼関係の構築と維持が不可欠だ。公平な評価を心がけ、部下の意見や考えを尊重することで、信頼の土台を築くことができる。また、約束を守り、部下の成功を公然と称賛することで、信頼関係を維持し、深化させることができる。

結論として、部下に仕事を任せるためのスキルやマインドセットは、日々のコミュニケーションの中で培われる。上記のポイントを実践し、部下との信頼関係を深めることで、チーム全体の生産性や士気の向上を実現することができるだろう。

上司として必要なこれらのスキルについては、部下育成研修部下育成・後輩指導研修でも扱っている。ぜひ参考にご覧いただきたい。

この記事の監修者
リスキル事務局
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Q&A
  • 部下に任せられない理由は信頼不足やコミュニケーション不足などが挙げられます。
  • 目標を明確に伝え、フィードバックを行いながら段階的に任せると良いです。
  • 部下の強みを理解し、適切な役割に配置することが重要です。
  • 自ら考えて問題を解決させ、成果を評価し認めることで責任感を醸成します。
  • メンタリングやトレーニングなどを通じて、部下の成長をサポートしましょう。
  • 生産性向上やチームの信頼構築、自己成長の機会を生み出すことができます。
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