ロジカルシンキング研修を自社で実施しようとすると、理論より例題づくりで苦労するはずです。この記事では、ロジカルシンキング研修で実際に使われる例題を手法別に、具体的な内容まで踏み込んで紹介していきます。自社の研修企画にそのまま活用できる内容としてまとめていますので、ご参考ください。
目次
ロジカルシンキング研修の例題は、論理的な思考プロセスを実際に手を動かしながら体験するための演習問題です。理論を聞くだけでなく、自分の頭で考え、答えを導き出す過程を経験することで、思考の癖として定着させていきます。
改めてロジカルシンキングとは
物事を筋道立てて整理し、根拠に基づいて結論を導き出す思考法のことです。ビジネスの現場では、問題解決や説明力の向上に役立つ考え方として広く取り入れられています。研修としてのロジカルシンキング研修は人気です。
例題には、大きく分けて次のようなタイプがあります。
| 例題のタイプ | 主な目的 |
|---|---|
| 基礎理解 | 基本を理解させるベーシックな例題 |
| ケーススタディ | 汎用的な状況を想定し、その場での考え方を練習する |
| 自社の課題 | 自社の課題について考えさせる |
これらの例題は、それぞれ後述するMECEやロジックツリーといったフレームワークの座学とセットで実施し、体得するための役割を担います。

ロジカルシンキング研修が多くの企業で導入される背景には、次のような課題があります。
説明が伝わらない
話の筋道が整理されておらず、相手に納得してもらえない
問題解決が場当たり的
原因を特定せずに対策を打ち、根本解決に至らない
資料や提案の質が低い
結論と根拠のつながりが弱く、説得力に欠ける
こうした課題は、特定の部署だけでなく新入社員から管理職まで幅広い層で見られるものです。ロジカルシンキング研修では、こうした状態を放置せず、例題演習を通じて考え方の型を身につけてもらうことを目指します。
よくある受講者の声:研修内容は話を聞くだけでなく、自分で考える時間もたくさんあったので、すごくいい体験になりました。
ここからは、ロジカルシンキング研修で実際に使われることが多い例題を、フレームワークごとに紹介します。実務に近いテーマを設定することで、受講者が自分ごととして取り組みやすくなるため、自社で簡易的なワークを企画する際の参考にもなります。
| フレームワーク | 例題で鍛えられる力 |
|---|---|
| MECE | 情報をモレなく、ダブりなく整理する力 |
| ロジックツリー | 問題を階層的に分解し、根本原因を特定する力 |
| ピラミッドストラクチャー | 結論と根拠を整理し、説得力を持って伝える力 |
| 帰納法・演繹法 | 事実やルールから筋道立てて結論を導く力 |
| So What?/Why So? | 情報の意味を掘り下げ、論理の飛躍を防ぐ力 |
| 3C分析・SWOT分析 | 状況を多角的な切り口から整理し分析する力 |
| ケーススタディ・フェルミ推定 | 限られた情報から仮説を立てて考え抜く力 |
MECEとは「モレなく、ダブりなく」情報を整理する考え方です。例えば次のような例題がよく使われます。
「自社の売上が前年より落ちている原因を、MECEの考え方で分類してください」というお題に対し、受講者は「顧客数」「客単価」「購入頻度」といった軸で要素を分解していきます。この過程で、感覚的に思いついた原因を並べるのではなく、抜け漏れなく整理する力が鍛えられます。
もう一つの定番として、「新入社員の離職理由を、入社前・入社後の各段階に分けて洗い出してください」という例題もよく使われます。時系列という切り口でMECEを実践することで、原因が見えやすくなるという体験ができます。
誤ったMECEを見抜く例
顧客の分類: 「新規顧客」「リピート顧客」「優良顧客」
社員の分類: 「20代社員」「30代社員」「管理職」
売上の分類: 「国内売上」「海外売上」
MECEの例題ポイント
ロジックツリーは、問題を階層的に分解しながら原因や解決策を洗い出す手法です。「残業時間が多い原因をロジックツリーで分解してください」といった例題が定番として使われます。
受講者はまず大きな括りで原因を分け、そこからさらに細かい要素へと掘り下げていきます。この作業を通じて、表面的な原因で満足せず、根本原因まで思考を深める習慣が身についていきます。
応用編としては、「新商品の売上を伸ばすための施策をロジックツリーで洗い出してください」という原因分析型ではなく解決策を広げていく型の例題も使われます。原因追求型と施策展開型の両方を経験させることで、目的に応じたロジックツリーの使い分けが身についていきます。
ピラミッドストラクチャーは、結論を頂点に置き、その下に根拠や具体例を積み上げていく構成技法です。「新しい勤務制度の導入を経営陣に提案する文章を、結論から先に書いてください」というような例題を通じて、相手に伝わる文章構成を練習します。
ボトムアップでピラミッドを組み立てる例
バラバラな事実:
A社の新製品の価格は自社より15%安い
自社サイトのアクセス数は前年比横ばい
B社がSNS広告を強化し始めた
自社の商品レビュー評価は星3.2(競合平均は星4.1)
カスタマーサポートの対応満足度は年々低下している
主力商品の在庫回転率は改善傾向
「取引先からのクレームが多くなっていると仮定し、ピラミッドストラクチャーを用いて説明してください」などもわかりやすい例題としてよく扱われます。
帰納法は複数の事実から共通点を見つけて結論を導く方法、演繹法は一般的なルールに当てはめて結論を導く方法です。論理的な思考の基本とも言えます。
「複数の顧客アンケートの回答から、共通する傾向を導き出してください」という例題は帰納法の練習に、「一般的な市場のルールをもとに、自社商品の価格戦略を考えてください」という例題は演繹法の練習になります。
もう少し実務に寄せた例題としては、「過去三年のデータから共通する傾向を挙げてください」という帰納法の例題や、「働き方改革関連の法改正を踏まえて、自社の勤怠ルールに必要な見直しを考えてください」という演繹法の例題もよく使われます。
So What?(だから何なのか)とWhy So?(なぜそう言えるのか)は、主張と根拠のつながりを確認するための問いかけです。「売上データから見えることを一言でまとめてください、その上でなぜそう言えるのか根拠を三つ挙げてください」という例題を通じて、事実の羅列で終わらせず、意味のある結論に落とし込む練習を行います。
この例題は単独で扱われることもあれば、ピラミッドストラクチャーの例題と組み合わせて、根拠と結論のつながりを検証する形で使われることも多くあります。
3C分析やSWOT分析といったビジネスフレームワークも、ロジカルシンキング研修の例題として活用されます。「自社の主力商品について、3C(顧客・競合・自社)の切り口で現状を整理してください」という例題では、思いつきではなく決まった型に沿って状況を整理する感覚をつかむことができます。
フレームワークとは
物事を整理し考えるための、あらかじめ用意された型のこと。ゼロから考える手間を省き、抜け漏れのない分析を行いやすくする効果があります。
限られた情報から仮説を立てて考える力を鍛えるために、ケーススタディやフェルミ推定形式の例題が使われることもあります。「日本全国のコンビニエンスストアの数を、根拠を示しながら推定してください」というフェルミ推定の例題は、正確な答えを求めるのではなく、考え方の筋道を評価する例題として定番です。
また、「架空の企業の売上不振について、限られたデータから原因と対策を提案してください」というケーススタディ形式の例題は、これまで紹介したMECEやロジックツリー、ピラミッドストラクチャーを組み合わせて使う総合演習として位置づけられることが多くなっています。
例題演習を効果的なものにするためには、いくつか気をつけたい点があります。
効果が出やすい進め方
陥りやすい落とし穴
例題は「解けたかどうか」よりも「どう考えたか」を振り返ることが大切です。答え合わせだけで終えてしまうと、フレームワークの形だけをなぞる研修になりがちなので注意が必要です。
研修担当者が外部研修を選ぶ際には、例題の質だけでなく、次のような観点も確認しておくと安心です。
研修選びで確認したいポイント
自社で設計、研修を行うのも良いでしょう。受講者が少人数だった場合、以下のような公開型の研修は効率的になりえます。
ゼロからカリキュラムを組み立てるのが手間である場合は、以下の研修から選んで、ご相談いただければリスキルで研修を組み立て、提供させていただきます。
また、ロジカルシンキングを土台としながら、それを相手にどう伝えるかという点まで扱いたい場合は、ロジカルコミュニケーション研修 実践編【論理的な伝え方を実践で習得する】のように、論理的な思考と伝え方をセットで学べる研修を検討するのも一つの方法です。
ロジカルシンキング研修の例題は、研修においてなくてはならないものです。例題を解くこと自体が目的ではなく、考え方の過程を振り返り、思考の癖として定着させることが本来の目的になります。
研修担当者としては、自社の課題に近い例題が用意できそうか、などの観点を重視し、研修カリキュラムを構築してみてください。
リスキル事務局が記事の執筆・監修をしています。人材育成にまつわるお役立ち情報を分かりやすく解説します。
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■プロフィール
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設立:2022年5月2日
上場市場:東京証券取引所グロース市場
■研修実績
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