BtoBマーケティング研修で何が身に付く?【内容と選び方】

BtoBマーケティング研修は、戦略立案から見込み顧客の獲得・育成、営業との連携までを一連の流れで扱う研修だ。扱う範囲が広いため、全体を一通り扱うか、特定の段階を深めるかを、自社の課題に合わせて選ぶことが大切になる。

この記事では、研修を実施する意味、研修で身に付くこと、自社に必要な内容の見極め方を整理した。BtoBマーケティングの強化に向けて、研修の導入を検討する際の参考にしてほしい。

作成者
株式会社リスキル

東証グロース上場(291A)・研修実績 年間3,900社以上

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監修者
堀家 沙紀 (Webマーケティング担当/SEO・運用型広告)

広告代理店にて7年半、SEO・運用型広告を中心にWebマーケティングに従事。当時Googleプレミアパートナー(各国の参加代理店の上位3%)認定の同社でプレミアパートナー・アワード授賞式の参加メンバーに選出。業界歴10年以上の経験を活かし、マーケティング分野の研修を監修。

更新日:

BtoBマーケティング研修とは|目的と一般的なマーケティング研修との違い

BtoBマーケティング研修の目的

BtoBマーケティング研修の目的は、戦略立案から営業連携までの流れを、自社に合わせて設計できる人材を育てることだ。

BtoBでは、最終的な意思決定の場面で営業の役割が大きい。一般的なマーケティング研修は、市場の分析から施策の立案までが中心だ。BtoBマーケティング研修はそれに加えて、見込み顧客を営業にどう繋ぐかまでを扱う。

BtoBの購買特性が研修内容を変える

BtoBの購買がBtoC(消費者向けの取引)と異なるのはご存知のとおりだ。大きくは4つの特性がある。

1

意思決定者が複数いる

担当者・上司・経営層など、複数の関係者の合意が必要になる

2

検討期間が長い

情報収集から導入まで、数か月以上かかることもある

3

購買の頻度が低い

導入や見直しの機会が数年に一度ということもある

4

対象企業が限られる

見込み顧客の母数が少なく、マス広告が合いにくい

BtoCでは、広告で商品を知った消費者がその場で購入を決めることも珍しくない。一方、BtoBは検討に時間がかかり、関わる人も多い。そのため、関心を持った企業と関係を保ち、検討が進んだタイミングで営業に繋ぐ仕組みが欠かせない。

マーケティング研修全体の分野については、以下にまとめている。

BtoBマーケティング研修を実施する意味

BtoBでは、長く営業力が成果を左右してきた。しかし近年は、購買担当者がWebや資料で情報を集め、営業に会う前に候補を絞るケースが増えている。

こうしてマーケティングの重要性が高まる一方で、BtoBマーケティングは扱う範囲が広い。日々の業務の中だけで、体系的に身に付けるのは難しい。研修を実施する意味は、主に次の4つにある。

BtoBマーケティングの全体像を体系的に押さえられる

OJTでは目の前の施策に必要な知識から身に付けるため、担当施策の知識に偏りがちだ。例えば、Web広告の運用には詳しくても、獲得したリード(見込み顧客)がどう商談につながるかは知らない、といった状態だ。

研修なら、BtoBの購買特性を前提に、戦略立案から営業連携までを順を追って押さえられる。担当外の段階も含めて全体を知ることで、自分の施策が成果にどうつながるかを考えやすくなる。

施策の担当者どうしで共通の前提を持てる

展示会は営業企画、Webサイトは広報、メール配信は営業アシスタントというように、施策ごとに担当が分かれている企業もある。担当者がそれぞれの施策だけを見ていると、施策どうしがつながらず、単発で終わりやすい。

関係者が一緒に研修を受ければ、「この施策はどの段階の、何のためか」を同じ前提で話しやすくなる。

施策の成果を数字で振り返れるようになる

BtoBは成果が売上に表れるまで時間がかかり、「展示会に出たが、効果があったのか分からない」状態になりやすい。

研修で認知から受注までの流れを押さえれば、リード数や商談化率など、段階ごとの数字で成果を捉えられる。数字が落ちている段階が分かれば、次の打ち手も見えてくる。

自社に当てはめて考える時間を確保できる

日々の施策に追われていると、戦略やプロセス全体を見直す時間は取りにくい。研修なら業務から離れ、扱った内容を自社の商材やターゲットに当てはめながら、次の打ち手まで具体化できる。

BtoBマーケティング研修で扱う内容と身に付くこと

BtoBマーケティング研修の内容は、5つの段階に分けられることが多い。戦略立案、認知獲得、リードジェネレーション、リードナーチャリング、営業支援の5つだ。

これらは戦略立案を土台に、見込み顧客が商談に近づく流れに沿って並んでいる。実務では各段階を並行して進めることが多く、効果検証もそれぞれの段階の中で行う。

全体を通して身に付くのは、誰に売るかを決め、見込み顧客を集めて育て、営業に繋ぐまでを設計する力だ。段階ごとのテーマと身に付くことは、次のとおり整理できる。

段階 主に扱うテーマ 身に付くこと
戦略立案 セグメンテーション / ターゲティング / ポジショニング 注力する市場と自社の強みを決める
認知獲得 展示会 / 業界メディア / オウンドメディア / Web広告 対象企業に届く施策を選ぶ
リードジェネレーション 獲得経路 / オファー・フォームの設計 / CVRの改善 リード獲得の課題を見つけ、改善策を考える
リードナーチャリング 興味段階の整理 / スコアリング / シナリオ設計 検討段階に合わせた情報提供を設計する
営業支援(セールスイネーブルメント) 引き渡し基準 / 営業支援資料 / MA・CRMの連携 リードを引き渡し、営業が成果を出しやすい仕組みを考える

戦略立案|誰に何を売るかを決める

最初に扱うのは戦略づくりだ。どの市場に注力し、何を強みとして打ち出すかを決める。戦略が曖昧なままだと、メッセージが誰にも刺さらず、限られた予算も分散してしまう。施策の前に「誰に」「何を」を決めることが、以降の段階すべての土台になる。

用語

STPとは

市場を分けるセグメンテーション、狙う市場を選ぶターゲティング、立ち位置を決めるポジショニングの頭文字を取った言葉だ。戦略づくりの基本になる考え方として知られている。

身に付くこと

  • 企業規模や業種、導入目的などの軸で市場を分け、注力するターゲットを選ぶ
  • 競合と比べた自社の位置づけを決め、強みを簡潔な言葉にまとめる

認知獲得|限られた対象企業に知ってもらう

BtoBの認知獲得は、BtoCより難しいといわれている。対象企業が少ないため、テレビCMのように広く告知する手法は費用に見合いにくい。近年は、生成AIの回答に自社の情報が引用されるよう整える「LLMO」に触れる研修もある。

身に付くこと

  • 業界や領域を絞り、ターゲット企業が集まる場への露出を考える
  • 展示会やオウンドメディア(自社サイトやブログ)、Web広告などから、費用対効果を踏まえて施策を選ぶ

リードジェネレーション|見込み顧客の情報を獲得する

リードジェネレーションは、関心を持った企業の担当者の連絡先を得る活動だ。Webの場合、リード数は「アクセス数×CVR(資料請求などの行動を起こした訪問者の割合)」で決まる。

そのため研修では、アクセスを集める手段に加え、オファーやフォームの設計も取り上げる。オファーとは、資料ダウンロードなど訪問者に提供する情報のことだ。

身に付くこと

  • 自社のリード獲得経路を整理し、改善すべき経路を見つける
  • 経路ごとにアクセス数とCVRを測り、リードを増やす施策を考える

Webでのリード獲得をさらに深めたい場合は、Webマーケティングに特化した研修も選択肢になる。

リードナーチャリング|購買意欲を育てる

リードナーチャリングは、獲得したリードに継続して情報を届け、購買意欲を高める活動だ。検討期間が長いBtoBでは、関係が途切れるとリードを失いかねない。

基本は、最初から売り込まないことだ。検討初期の相手は、まだ製品を比べる段階にないからだ。課題への気づき、解決策の比較、導入の具体化の順に情報を届けていく。

用語

MAとは

マーケティングオートメーションの略で、リード管理やメール配信、スコアリングなどを自動化するツールを指す。

MAは便利だが、導入は必須ではない。メール配信ツールと営業のフォローで回している企業もある。

身に付くこと

  • リードの興味段階を定義し、段階ごとに届ける情報を設計する
  • 相手の行動に応じて自動でメールを送る「シナリオ」を設計し、開封率などを見て改善する
  • 行動に点数を付ける「スコアリング」で、購買意欲が高まったリードを見極める

営業支援(セールスイネーブルメント)|商談の成果を後押しする

営業支援の出発点は、リードを営業に引き渡す基準を決めることだ。獲得したリードをすぐ渡すか、育ててから渡すかを分ける目安になる。BtoBはリードの母数が少ないため、厳しくしすぎず、素早く対応する運用とあわせて事前に営業と決めておきたい。

引き渡したあとも、マーケティングの役割は終わらない。営業が成果を出しやすいよう、資料・ツール・情報を整える取り組みをセールスイネーブルメントと呼ぶ。

身に付くこと

  • リードの引き渡し基準と、引き渡したあとの運用ルールを営業と決める
  • 提案資料や導入事例など、営業が商談で使う資料を整理する
  • MAとCRM(顧客や商談の情報を管理するシステム)を連携させ、引き渡したリードを受注まで追って施策を改善する

自社に必要な研修内容の見極め方

自社に合う研修内容は、今の課題がどの段階にあるかで変わる。よくある課題と、優先したい研修テーマの対応は次のとおりだ。

よくある課題 つまずいている段階 優先したい研修テーマ
施策が場当たり的で、注力先が決まらない 戦略立案 セグメンテーション / ターゲティング / ポジショニング
展示会や広告に予算を使っても、リードが集まらない 認知獲得 / リードジェネレーション 業界を絞った施策 / CVRの改善
リードはあるのに、商談につながらない リードナーチャリング 興味段階の整理 / シナリオ設計
営業がリードに対応しない、リードの質に不満が出ている 営業支援(セールスイネーブルメント) 引き渡し基準 / 営業との運用ルール
商談はあるが、受注につながりにくい 営業支援(セールスイネーブルメント) 営業支援資料 / 商談の進捗管理

課題が1つの段階に集中しているなら、その段階を深める研修やカスタマイズが向いている。一方、初めて取り組む場合や、課題が複数の段階にまたがる場合は、全体を一通り扱う研修から始めるとよいだろう。

BtoBマーケティング研修のカリキュラム例

研修の流れを具体的にイメージできるよう、リスキルの「BtoBマーケティング研修」のカリキュラムを例に紹介する。

章 主な内容 主なワーク
1. マーケティングの基本とBtoBの特徴 BtoCとの違い / BtoBマーケティングの全体像 自社のマーケティング課題の整理
2. 戦略立案 セグメンテーション / ターゲティング / ポジショニング 自社のSTP戦略の検討
3. 認知を広げる オフライン施策 / オンライン施策 / LLMO 自社の認知獲得施策の棚卸し
4. リードジェネレーション 獲得経路 / アクセス数とCVRの向上 / MQL 自社のリード獲得経路の可視化
5. リードナーチャリング MAの基本 / スコアリング / シナリオ設計 自社のナーチャリングフローの設計
6. セールスイネーブルメント 営業支援資料の体系化 / MA・CRMの連携 営業支援施策の検討

まずはBtoBの特徴を確認したあと、5つの段階を順に扱う構成だ。各章のワークで、扱った内容を自社に当てはめて考える。重点を置く章は、自社の課題に合わせて調整できる。

まとめ

BtoBマーケティング研修は、戦略立案から営業支援までを一連の流れで捉える研修だ。複数の関係者が時間をかけて購買を決めるBtoBでは、各段階を繋ぐ仕組みづくりが成果を左右する。

研修を検討する際は、まず自社がどの段階でつまずいているかを整理したい。そのうえで、自社に当てはめて考えられる内容を選べば、研修の成果を実務に生かしやすくなる。

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