リスキルラボ トップダウン型とボトムアップ型の違いとは|取り組むときのコツを紹介【組織運営の質を上げる】

チームビルディング研修
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意思決定のパターンは大きく2つに分かれる。1つが「トップダウン型」。もう1つが「ボトムアップ型」だ。組織運営がうまい企業は、両者を使い分けて社内の業務効率につなげている。両者の知識を身に着けても、使い方を間違えると意思決定に支障をきたす。

本記事では、トップダウン型とボトムアップ型の違いを解説しつつ、取り組む際のコツを紹介していく。

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トップダウン型・ボトムアップ型とは

トップダウン型とは、上層部で決めた意見を社員へ伝達することだ。社長が意見を決めて、その内容を部下に伝えて実行させる。上層部の一声でとるべき行動が決まるため「独裁的リーダーシップ」とも呼ばれる。

一方ボトムアップ型では、社員たちの意見を吸い上げて上層部が意思決定していく。意見の決定に多くの社員が関わるため、トップダウン型と比べると様々な方の意見が反映される。

トップダウン型のメリットとデメリット

トップダウン型のメリットは、意思決定までのスピードが速いことだ。意見を決めるときに関与する人数が少ない分、スピーディーに意見が決まる。したがって、行動に移すまでの時間も短縮できる。

一方、デメリットはワンマン体質になる恐れがあることだ。トップダウン型では部下の声が反映されづらい。特定の社員が会社を私物化する場合もあるため、気を付けるべきだ。

ボトムアップ型のメリットとデメリット

ボトムアップ型のメリットは、様々な視野から意見が集まることだ。多くの社員の声が反映されるため、意思決定者の独断と偏見で意見が決まることは少ない。

一方、デメリットは意思決定の速度が遅くなることだ。大勢の社員が関わっている分、意見がまとまるまでに時間がかかる。行動に移すまでの時間も遅くなり、業務のスピード感が失われてしまう。よって、スムーズに意見が決まっていく仕組みを作ることが大事だ。

トップダウン型・ボトムアップ型の適しているケース

トップダウン型とボトムアップ型は、適している場面が異なる。ここでは、どのような場面に適しているか解説していく。

トップダウン型の運営が適している場面

トップダウン型の運営が適している場面は以下の通りだ。

スピード感のある経営をしたい

上層部の一声で会社の方針が決まる場合もある。そのため、スピード感のある経営をしたい企業に最適だ。回答期限が差し迫っているものや、話し合いに時間をかけられないときに適している。上層部のみで決めても、会社に支障をきたさないものはトップダウン型でいいだろう。

スタートアップ企業や、ベンチャー企業

資金や人員が少ないスタートアップ企業やベンチャー企業では、スピード感が求められる。スピード感を失うと同業他社との競争に負けてしまい、ビジネスチャンスを失う恐れがある。その結果、会社の成長機会がなくなってしまう。それを防ぐのに必要なのが「トップダウン型」の運営だ。

社内にトップダウン型の運営が根付いていれば、ビジネスチャンスを見つけたときに、すぐ行動に移せる。その積み重ねが会社の成長につながっていく。したがって、スタートアップ企業やベンチャー企業にはトップダウン型の経営が向いていると言える。

ボトムアップ型の運営が適している場面

ボトムアップ型が適している場面は以下の通りだ。

自発的に考える社員を増やしたい

ボトムアップ型の経営では、社員からの意見を集める。この状態を作れば、社員に考える習慣が身につく。したがって自発的に考える社員を増やしたい企業は、ボトムアップ型の運営が良い。

社員たちのモチベーションを向上させたい

ボトムアップ型では、自分の考えを上層部に伝えられやすい。自身の意見が会社に認められると、社員は「上層部に認められた」という気持ちになる。それが、社員たちのモチベーションアップにつながる。

事業を多角化させている

事業を多角化させている企業の場合、様々な視点からの意見が必要だ。複数の事業を抱えている状態で生き残るには、広い視野で物事を考えなければならない。様々な価値観を持つ社員から意見を集めなければならないため、ボトムアップ型が向いている。

トップダウン型・ボトムアップ型の取り組みを成功させるコツ

最後にトップダウン型・ボトムアップ型の取り組みを成功させるコツを解説する。

トップダウン型の取り組みを成功させるコツ

トップダウン型の取り組みを成功させるコツは以下の通りだ。

パワハラにならないよう意識する

たとえば上層部から指示する際に、過剰なプレッシャーをかけるとパワハラ認定される場合がある。場合によっては訴訟されるため、パワハラを防ぐことが大事だ。以下の内容を実践すると、パワハラの回避につながる。

職権を乱用しない

自身の意見に反対する社員へ、左遷や降格というワードを使って脅すケースもパワハラに該当する。中立的な立場で意見を伝えることが大事だ。

強引に丸め込まない

有無を言わさず強引に丸め込むのも良くない。相手を説得させながら伝えることが大事だ。論理的に伝えると、相手は納得せざるを得ない。そのため、パワハラとして訴えられるリスクを抑えるのに役立つ。

パワハラを防止する研修を実施する

パワハラ研修を、指示する上司側に定期的に受けてもらうことも良いだろう。定期的に自身の発言や行動を振り返る機会があることで、「適切な指示や指導」と「パワハラ」を区別でき、部下と上司の関係も良好に維持したまま、仕事を進めることができる。

社員が理解できるように指示する

意見を伝える側が理解できても、相手に話の内容が伝わらないと実行には至らない。それを防ぐ意味で、社員が理解できるように指示すべきだ。

社員の理解度が上がれば行動までのスピードも速くなる。結果、業務もスピーディーに進む。なお社員に話を理解させるには、以下のことを意識すると良い。

必要なことのみ伝える

関係のない話題を振ると、社員は理解できなくなる。よって、必要なことのみ伝えた方がいい。必要なテーマのみ盛り込めば、話がシンプルになって分かりやすくなる。結果、社員の理解度アップにつながる。

抽象的な表現をしない

たとえば「仕事の効率を上げてほしい」と伝えても、どのくらい上げればいいか理解できない。しかし「Aの業務にかかる時間を1分縮めてほしい」と伝えれば、抽象度が高い分相手に伝わりやすい。話の解像度が上がるため、具体的に伝えるべきだ。

相手の反応を見ながら伝える

相手の反応を見ながら伝えることも大事だ。たとえば「理解できているか確認しながら伝える」「分からない表情をしていたら、別の言葉を用いる」ことを意識すれば、相手の理解度が分かる。自分のペースではなく、相手の立場に立って伝えるのがコツだ。

ボトムアップ型の取り組みを成功させるコツ

次にボトムアップ型の取り組みを成功させるコツを紹介していく。

社員たちが発言しやすい雰囲気を作る

社員たちの意見がないと、ボトムアップ型の取り組みはできない。よって、社員たちが発言できる雰囲気を作った方がいい。以下のことを意識すると、社員たちは発言しやすくなるだろう。

心理的安全性の確保

心理的安全性とは、どのような意見でも安心して言える環境のことだ。心理的安全性が確保されている職場では「発言内容によってペナルティを受けない」「意見を全否定されない」という環境がそろっている。心理的安全性は、Googleなどの大手企業でも大事にされている。社員たちに自分の考えを発信してもらうためにも意識した方が良い。

どのような意見を求めているか具体的に伝える

自由を与えられすぎて、何を言うべきか分からなくなる社員もいる。それを防ぐには、どのような意見を求めているのか具体的に伝えるといい。どのような意見を言うべきか理解できて、発言しやすくなる。結果、意見が挙がりやすい環境になっていく。

部署の垣根を超えた組織づくり

部署の垣根に捉われない組織づくりも大事だ。違う部署の社員と接することで、新たな価値観が生まれたり、化学反応が起こったりする可能性があるからだ。この状態が起これば、多種多様な意見が出やすくなる。ちなみに部署の垣根を超えた組織づくりとして、以下の取り組みがある。

プロジェクトの立ち上げ

事業プロジェクトを立ち上げて、興味のある社員を集めると様々な部署から社員が集まるかもしれない。他部署のメンバーか集まれば、社員間で化学反応が起こり新たな気付きを得られる。

ランチ会

様々な部署の社員を集めて、ランチ会をしてもいいだろう。異なる部署の社員で交流することで、配属先では得られない情報をGETできる場合がある。他部署の情報を知ることができて、仕事をスムーズに進められるかもしれない。

ボランティア活動

ボランティア活動によって、様々な部署の社員が集まる仕組みを作ってもいい。メンバーたちが共通の目的に向かって行動できるため、団結力アップにつながる。企業によっては、ボランティア活動専用のグループを作っている企業もあるようだ。

チャレンジ精神を尊重する

社員たちのチャレンジ精神を尊重すると、様々なことに取り組もうとする意欲が生まれる。疑問や気付きが増えて、意見を挙げやすい状況が出来上がっていく。そのため、ボトムアップの効果を発揮しやすくなる。

なおチャレンジ精神を尊重するときは、以下のことを意識すると良い。

失敗したことを否定しない

チャレンジしていく中で、失敗するケースもある。そのときに、全否定してはいけない。なぜなら自信をなくし、チャレンジ精神を失うからだ。失敗から成功が生まれることもある。よって、トライしたことも賞賛すべきだ。

目標を持たせる

目標を持たせる理由は、途中でチャレンジを放棄させないためだ。失敗して挫けそうになったときに目標があれば「目標を達成するまで頑張る」という理由ができる。結果、チャレンジ精神を失わずに済む。

チームで支え合う

1人で行動していると、挫折して諦める場合がある。それを防ぐには「チームで支え合う」ことが大事だ。メンバーたちで応援の声を掛けたり、サポートし合ったりすればチャレンジ精神を失わずに済む。社員が孤独感を感じない体制を整えることが大事だ。

まとめ

トップダウン型とボトムアップ型の違いを紹介した。トップダウン型の場合、意思決定者が少ない分、意見がまとまるのは早い。しかし上層部の意見が重視されるため、ワンマン運営になるかもしれない。一方、ボトムアップ型の場合は、様々な社員の意見を反映させられる反面、意思決定までに時間がかかってしまう。

上層部で意見をまとめた方がいいケースもあれば、社員たちの意見を汲み取った方がいいケースもある。そのため、どちらかに絞るのではなく会社の状況や場面に合わせて使い分けることが大事だ。ちなみにトップダウン型とボトムアップ型が適している場面は以下の通りだ。

~トップダウン型が適している場面~

  • スピード感のある経営をしたい
  • スタートアップ企業や、ベンチャー企業

~ボトムアップ型が適している場面~

  • 自発的に考える社員を増やしたい
  • 社員たちのモチベーションを向上させたい
  • 事業を多角化させている

選択ミスをすると会社の運営に支障をきたすため、どちらが向いているか考えてから行動に移すことが大事だ。また、取り組む際のポイントもあるため紹介する。

~トップダウン型の取り組みを成功させるコツ~

  • パワハラを防ぐ
  • 社員が理解できるように指示する

~ボトムアップ型の取り組みを成功させるコツ~

  • 社員たちが発言しやすい雰囲気を作る
  • 部署の垣根を超えた組織づくり
  • チャレンジ精神を尊重する

上記のことを意識すれば、両者の質が上がっていく。これらの使い分け方やポイントを抑えれば会社の運営がうまくいき、業績アップにつながる。組織の質を上げるためにも、取り組んでいただきたい。

この記事の監修者
リスキル事務局
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Q&A
  • トップダウン型とは上層部が意見を決めて、その内容を部下へ伝えることです。一方、ボトムアップ型とは社員たちの意見をくみ取って、意思決定をすることです。
  • トップダウン型はスタートアップ企業やベンチャー企業など、スピード感を持って経営するときに向いています。たいしてボトムアップ型は、様々な事業を行っている企業や、社員たちのモチベーションを上げたいときに向いています。
  • トップダウン型を実践するときはパワハラの防止に努め、社員たちが理解できるように伝えることが大事です。一方ボトムアップ型では、社員たちが発言しやすい環境を作ることが大事です。さらに部署の垣根を超えた関係性があると、社員間で化学反応が起こって、会社の成長スピードを上げられます。
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