「ロジカルシンキング研修を導入したいが、うちに合っているのか確信が持ちにくい」。人事担当者からは、こうした声をよく耳にします。
ロジカルシンキングは業種や職種を問わず必要とされるスキルですが、研修内容は会社によって幅があり、比較検討がしづらいテーマでもあります。この記事では、ロジカルシンキング研修で扱われる代表的なカリキュラム例を5パターン紹介しながら、それぞれの特徴や選び方のポイントを見ていきます。研修設計や外部研修の比較検討をする際の参考にしてみてください。
目次
そもそもロジカルシンキングとは、物事を要素ごとに分解し、事実と意見を区別しながら、筋道の通った結論を導く思考法のことです。感覚や思いつきに頼るのではなく、根拠にもとづいて考え、伝えることを重視します。
ロジカルシンキングとは
物事を要素ごとに分解し、事実と意見を区別しながら、筋道の通った結論を導く思考法のこと。感覚や思いつきではなく、根拠にもとづいて考え、伝えることを重視する。
ロジカルシンキング研修は、この論理的思考能力を鍛える研修です。物事を筋道立てて考え、根拠に基づいて結論を導き、相手に伝わる形で説明する力を養います。
単なる知識のインプットではなく、実際の業務に近いワークを通じて「考え方の型」を身につけることに重点が置かれるのが一般的です。
この記事はリスキルの研修ではなく、研修の世界で一般論なロジカルシンキング研修について、担当の方々に参考になるように、まとめたものです。リスキルのカリキュラム等について解説をしたわけではありません。リスキルの研修については、最下部にリンクを置いておりますので、そちらもご参考ください。
「話が伝わらない」「議論がかみ合わない」といった課題は常に職場で発生しています。原因のひとつが、話し手と聞き手のあいだで論理の筋道が共有されていないことです。
ロジカルシンキングは、こうしたコミュニケーションのすれ違いを減らし、意思決定のスピードを上げるための土台になります。新入社員から管理職まで、階層を問わず求められる汎用スキルとして、多くの企業が研修テーマに選んでいます。
また、変化が激しく、打ち手を多数打たなければいけない現代において、「意味のある打ち手」を論理的に導き、成功確率を上げていくことは重要です。働き方改革の影響もあり、この点においてもロジカルシンキング研修(もしくはそれに類する研修)は多くの企業で導入されています。
ロジカルシンキング研修で身につく力は、大きく次の三つに整理できます。
ロジカルシンキング研修で身につく主な力
これらは特定の業務に限らず、企画立案、報告・提案、会議での発言など、日々の仕事のあらゆる場面で活用できるスキルです。
ロジカルシンキング研修のカリキュラムは、研修会社や企業によってさまざまな構築パターンがあります。
その中でも、ここでは代表的な5つのパターンを取り上げて確認していきます。なお、この記事では内容をイメージしやすいように1章あたり1時間程度、6章構成を目安として紹介していますが、これは説明のためわかりやすくしたもので、実際の時間配分や章立ては研修によって異なります。
ロジカルシンキングの基本を一通り押さえたい企業に向いている、オーソドックスな構成です。基礎理解から始まり、情報整理、論理展開、問題分析、伝え方までを段階的に学べます。
| 章 | テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | ロジカルシンキングの基礎理解 | ロジカルシンキングとは何か、事実と意見の区別、論理的な説明の見分け方 |
| 2 | 情報を整理する | MECE、モレ・ダブりを防ぐ考え方、ロジックツリーによる情報整理 |
| 3 | 筋道を立てて考える | 演繹法・帰納法、因果関係と相関関係の違い、論理の飛躍の見つけ方 |
| 4 | 問題を分解して原因を考える | Whyツリーによる原因分析、表面的な原因と真因の違い、仮説思考 |
| 5 | 解決策を論理的に考える | Howツリーによる解決策の検討、効果と実現可能性からの優先順位づけ |
| 6 | 論理的に伝える | 結論から伝える重要性、PREP法、相手に合わせた情報の取捨選択 |
業務上の課題解決に直結する力を重視したい場合に適したカリキュラムです。問題を正しく捉えるところから、原因分析、解決策の立案、提案までを一連の流れとして扱います。
| 章 | テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | ロジカルシンキングと問題解決 | 問題解決の基本プロセス、「問題」「原因」「解決策」の違い |
| 2 | 問題を正しく捉える | 「あるべき姿」と現状のギャップ、問題の具体化・数値化 |
| 3 | 問題を構造化する | MECE、ロジックツリーによる問題の分解、切り口の設定 |
| 4 | 原因を論理的に分析する | Whyツリー、真因の探り方、仮説思考による原因の絞り込み |
| 5 | 解決策を立案する | Howツリー、アイデアの発散と収束、効果・コストによる評価 |
| 6 | 結論を導き、相手に伝える | ピラミッド構造、結論ファースト、反論を想定した論理補強 |
現場で起きている課題をテーマに演習を行うことが多く、研修後すぐに自分の業務へ応用しやすい点が特徴のカリキュラムです。
「考えはまとまっているのに、うまく伝わらない」という悩みを持つ層に向いているカリキュラムです。情報整理から結論と根拠の組み立て、報告・提案の実践までを、伝える力に重点を置いて構成します。
| 章 | テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | 仕事で使うロジカルシンキング | 話がわかりにくくなる原因、結論・根拠・事実の区別 |
| 2 | 伝える前に情報を整理する | MECE、情報のグルーピング、相手が必要とする情報の見極め |
| 3 | 結論と根拠を組み立てる | 結論と根拠の基本構造、演繹法と帰納法、論理の飛躍 |
| 4 | わかりやすく説明する | 結論ファースト、PREP法、ピラミッドストラクチャー |
| 5 | 論理的に報告・提案する | 事実・解釈・提案の切り分け、複数案の比較と推奨案の示し方 |
| 6 | 総合演習 | ケーススタディをもとにした分析からプレゼンテーションまでの実践 |
MECEやロジックツリーに加えて、3C分析やSWOT分析といった実務でよく使われるフレームワークの使い方を身につけたい場合に適したカリキュラムです。フレームワークを型として覚えるだけでなく、目的に応じて使い分ける視点も養います。
| 章 | テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | ロジカルシンキングとフレームワーク | フレームワークを使うメリットと場面、当てはめるだけでは不十分な理由 |
| 2 | MECEでモレなくダブりなく整理する | MECEの基本、情報を分類する切り口の作り方、要素分解とグルーピング |
| 3 | ロジックツリーで問題を分解する | What・Why・Howの各ツリーによる分解、粒度と切り口の設定 |
| 4 | マトリクスで比較・優先順位付けする | 2軸での情報整理、重要度×緊急度、効果×実現可能性による評価 |
| 5 | フレームワークで状況を多角的に分析する | 3C分析、SWOT分析、As-Is/To-Beによる現状と理想の整理 |
| 6 | ピラミッドストラクチャーで論理的に伝える | 結論と根拠の階層化、PREP法、So What?/Why So?の確認 |

情報が十分にそろわない状況でも判断を求められる、管理職や意思決定に関わる立場の社員に向いているカリキュラムです。論点の設定から仮説の検証、複数案の比較、提案までを一連の流れとして扱います。
| 章 | テーマ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1 | ロジカルシンキングと意思決定 | 論理的思考と意思決定の関係、事実・解釈・仮説の区別 |
| 2 | 論点を設定する | 論点とは何か、目的からの論点設定、重要な論点の絞り込み |
| 3 | 仮説を立てて考える | 仮説思考の考え方、限られた情報からの仮説設定、仮説と事実の区別 |
| 4 | 情報を構造化して分析する | MECEとロジックツリーによる分解、定量情報と定性情報の使い分け |
| 5 | 複数の選択肢を比較する | 評価軸の設定、メリット・デメリットの整理、効果・コスト・リスクの比較 |
| 6 | 論理的な提案につなげる | 結論・根拠・データの関係、想定される反論の検討 |
同じロジカルシンキング研修でも、カリキュラムの重点によって得られる効果や適した対象者が変わります。
基礎・実践型
初めてロジカルシンキングを学ぶ層向け。幅広い階層に導入しやすい
問題解決重視型
企画職・管理職など、課題解決の機会が多い層に向いている
コミュニケーション重視型
報告・提案・会議での発言力を高めたい層に向いている
フレームワーク実践型
3C分析やSWOT分析など、実務で使う型を身につけたい層に向いている
仮説思考・意思決定型
限られた情報のなかで判断を求められる管理職層に向いている
「まず基礎を全社に浸透させたい」のか「特定の課題を解決する力を伸ばしたい」のかによって、選ぶべきカリキュラムは変わってきます。目的を明確にしたうえで比較検討することが大切です。
カリキュラムを選ぶ際は、内容の網羅性だけでなく、次のような観点も確認しておくと導入後のミスマッチを防ぎやすくなります。
確認しておきたいポイント
見落としがちな注意点
とくに、受講者自身の業務に近いテーマでワークを行えるかどうかは、研修効果を左右する重要な要素です。汎用的な事例だけで完結してしまうと、研修内容と日々の業務が結びつきにくくなります。
研修で学んだロジックツリーの型はすぐに現場で使えました。例えば、そのままの構造を報告資料に使うようになりました。
ここまで紹介してきた基礎・実践型、問題解決重視型、コミュニケーション重視型などの方向性は、リスキルのロジカルシンキング研修でも共通しています。中でも人気の高い研修内容を、二つ紹介します。
こちらは、事実と意見の区別からMECE、ロジックツリー、問題解決の進め方までを一通り扱う、基礎・実践型に近いカリキュラムです。初めてロジカルシンキングを学ぶ社員から、改めて基本を整理したい社員まで、幅広い層に対応しています。
こちらは、整理した情報を結論と根拠にまとめ、報告や提案の場でわかりやすく伝えるところまでを重視した、ビジネスコミュニケーション重視型に近いカリキュラムです。日々の報告・会議での発言に課題を感じている社員に向いています。
その他にも様々な種類のロジカルシンキング研修があります。ご興味がある方は、こちらからご確認ください。
ロジカルシンキング研修の内容は、基礎・実践型、問題解決重視型、ビジネスコミュニケーション重視型、フレームワーク実践型、仮説思考・意思決定型など様々なパターンがあり、それぞれ重点を置くポイントが異なります。
伝えたい本質は共通しているため、自社が伸ばしたい力を明確にしたうえでカリキュラムを比較することが、研修選びの第一歩になります。
受講者の職種や課題に合わせて演習テーマを調整できるかどうかも、研修効果を左右する重要な観点です。カリキュラムの内容を具体的に把握したうえで、自社に合った研修を検討してみてください。
リスキル事務局が記事の執筆・監修をしています。人材育成にまつわるお役立ち情報を分かりやすく解説します。
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■プロフィール
会社名:株式会社リスキル
(「リスキル」は株式会社リスキルの登録商標です。)
設立:2022年5月2日
上場市場:東京証券取引所グロース市場
■研修実績
・利用社数は年間3900社以上
・年間受講者数 前年比157%
・プロフェッショナルの講師陣300名以上在籍