リスキルラボ カークパトリックの4段階評価法について解説【研修の効果測定のポイントも解説】

人事研修
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社内研修を実施している企業の中には、成果が出ずに困っているケースもあるだろう。もしかすると、研修の改善点や結果などを振り返れていない場合がある。

そんなときに役立つのが「カークパトリックの4段階評価法」だ。これを実践すれば、研修による効果を把握できる。そのため、今よりも役立つ研修を社員に提供できるかもしれない。本記事では、カークパトリックの4段階評価法について解説しつつ、活用するためのポイントも紹介していく。

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カークパトリックの4段階評価法とは

カークパトリックの4段階評価法とは、教育についての評価方法をまとめたものだ。社員研修の評価をするときに用いられるのが特徴で「反応・学習・行動・結果」の面から評価する。

1950年代に発案されたもので社員研修の内容を見直したり、研修のコストパフォーマンスを測ったりするときに役立つ。従業員にとって効果のある研修を実施するうえで役立つ評価法といえるだろう。

カークパトリックの4段階評価法が必要な理由

カークパトリックの4段階評価法が必要な理由は以下の通りだ。

成果主義の浸透

成果主義を導入している会社が増えてきた。成果主義では、入社年数に関係なく成果を挙げた従業員が評価される。そのため、研修では成果を挙げられる従業員の育成に力を入れる場面が増えてきた。

研修を行っても成果を挙げられる社員が増えなければ、その受講者たちは会社から良い評価を得られない。研修受講者が会社から良い評価を得るためにも、カークパトリックの4段階評価法は必要とされる。

グローバル競争の激化

グローバル競争の激化によって、会社の組織体制を整えなければならない。グローバル競争の中、会社を存続させるには会社としての力を身につけることが大事だ。そのためには、従業員の育成を行い、会社の力を強くする従業員を増やす必要がある。

会社の力を強くする人材を効率よく増やすには、限られた研修の中で従業員の力を最大限アップさせることが大事だ。その状況を実現させたいときに、カークパトリックの4段階評価法は役立つ。

この評価法を用いれば、研修によって従業員がどのくらいの力を身につけたか分かる。効率的に力を身につけられる研修を実施するには、何をすべきか把握しやすくなる。結果、決められた時間内で効果を最大限発揮できる状況をつくりやすくなるだろう。

カークパトリックの4段階評価法を用いるメリット

カークパトリックの4段階評価法を用いるメリットは以下の通りだ。

研修の効果が明確になる

カークパトリックの4段階評価法を用いると研修の効果が明確になるため、社内にとって必要な研修か分かる。必要な研修であれば継続すれば良いし、不要な研修であれば「研修を辞めるor別の研修に変える」と判断することが可能だ。

効果が可視化されると肌感覚のみで研修の効果を測定しなくなる。そのため、より正確なデータを得やすくなるだろう。

改善箇所が分かりやすい

カークパトリックの4段階評価法を用いると、研修内容の問題点が分かるため、改善箇所を把握するのが楽だ。

たとえば受講者の反応が悪いと分かれば、受講者の反応を良くするための改善法が必要だと把握できる。
改善箇所が明確になっていないと、改善しなくて良い場所まで手を加えてしまい、研修内容が余計悪くなってしまうかもしれない。その状況を防ぐ意味でも、カークパトリックの4段階法は役立つ。

カークパトリックの4段階評価法を行うときのポイント

カークパトリックの4段階評価法を行うポイントは、評価基準によって変わる。ここでは、評価項目別にどのようなポイントがあるか紹介していく。

反応を測定するときのポイント

受講者の研修に対する反応を測定するポイントは、研修終了後すぐに測定することだ。理由は受講者の熱量を正しく反映させるためだ。

仮に研修からしばらく経ってから測定すると、熱量が下がっている可能性が高い。しかも時間が経つと研修で学んだ内容の一部は記憶からなくなってしまう。そのため、正確な反応を知ることが難しくなる。

正確な結果を得るためにも、研修終了後すぐに測定することが大事だ。

【測定方法】アンケートを実施する

反応を測定するときは、アンケートを実施するといいだろう。なおアンケートの作成時は、以下のことに気を付けるといい。

アンケートの目的を決めておく

アンケートの目的を決めておく理由は、主催側で想定した回答を手に入れるためだ。単に受講者に聞きたい質問を盛り込むだけだと、有効回答を得ることができず、アンケートが無駄になるかもしれない。

今後の研修に役立つ回答を得るためにも、何を目的にアンケートを取るべきか定めた方がいいだろう。

選択式で答えられる問いを入れておく

記述式の回答ばかりだと、回答者が答えづらいと感じる場合があるからだ。選択式の回答であれば、記述式のように文章を考えなくていいため答えるときの手間がかからない。

結果、回答率を高くする効果が期待できる。

その他に、効果を測定する上で無意味な回答をされるリスクを抑えるのにも役立つため、選択式で答えられる質問は入れた方がいい。

回答者に伝わる言葉で質問をする

質問を決めるときは、回答者に伝わる言葉で質問をすることが大切だといえる。内容が分かりづらいと、回答者は何を答えるべきか分からなくなる恐れがあるからだ。

たとえば専門用語や聞き馴染みのない言葉を用いると、質問の意味を理解できないかもしれない。答えられない状況を防ぐためにも、分かりやすい質問内容にすることが大事だ。

学習を測定するときのポイント

学習では、受講者が研修で何を学習できたか測定していく。スキルアップの度合いを測ったり、研修前後で仕事の出来がどのくらい変わったりしたかなど、さまざまな視点から測定することが大切だ。

なお、学習を測定するときは研修後1週間~1カ月経った頃に測定するといい。研修後すぐに測定しても、受講者が学習できたか把握するのは難しいからだ。

たとえ「研修後に理解できた」と言っている受講生がいたとしても、仕事ぶりを見ると全く反映されていないケースもある。そのため、研修後しばらくしてから測定することが大事だ。

【測定方法】筆記・実技面の評価をもとにする

評価するときは筆記テストを行ったり、実技のチェックをしたりするといいだろう。ヒアリングやアンケートをとるよりも、信ぴょう性の高いデータを集められるからだ。ちなみに筆記・実技面を測定するときは、以下のことに気を付けるといい。

受講者全員が同じ状態で測定する

受講者によって測定内容が異なると、信ぴょう性のある結果は出ない。そのため、受講者全員が同じ状態で測定することが大事だ。出題項目や測定するときの環境など、全て統一することで正確な評価ができるだろう。

eラーニングを用いて測定する

eラーニングとは、学習システムのことだ。この機能を用いれば、測定するために問題をつくる手間が減るかもしれない。

システムの仕様によっては、社内のデータに各回答者の結果を保存できる。そのため、管理も楽になるはずだ。本記事を作成しているリスキルのeラーニング動画講座についても参考にしてほしい。

行動を測定するときのポイント

行動では、従業員の職場での行動がどのように変わったか測定する。測定結果をもとに、研修内容が仕事に活きているか判断する。ポイントは、研修後1カ月~1年経過してから行うことだ。

研修から時間が経つにつれて、受講者本来の姿が見えてくるからだ。研修が終わった頃はモチベーションが高くて改善できていたものの、しばらくすると研修前の頃に戻っているケースもある。

一過性の感情を排除して効果を測定する意味でも、研修後からしばらく期間を空けてから測定した方がいいだろう。

【測定方法】ヒアリングを行う

行動を測定するときは、ヒアリングが有効だ。研修実施側から見て良いと思っていても、ヒアリングするとイマイチな結果になるケースもある。なおヒアリング時は、以下のことを意識するといいだろう。

本人と上司にヒアリングする

ヒアリングするときは、本人と上司に聞くべきだ。理由は正確に状況を把握するためだ。受講生本人は行動できていると思っても、上司からすると何も変わっていないと感じる場合もある。

受講者と上司の間に、乖離が生まれるのは珍しくない。ギャップを把握するためにも、本人と上司にヒアリングすべきだ。

チェックリストを用いてヒアリングする

チェックリストを用いてヒアリングする理由は、正確な評価をするためだ。チェックリストに沿って答えていくスタイルであれば、記述式と比べて受講者も上司も答えやすい。該当する箇所だけ「〇」を付けてもらったり、5段階評価で各項目に数字を記入してもらったりなど、状況に合わせて設問形式を変えるといいだろう。

結果を測定するときのポイント

結果では、会社が従業員に求めていたものが達成されたか測定する。従業員の達成度合いを見ることで、研修によって成果がどのくらい変わったか分かりやすくなるだろう。なお、結果を測定するときは、研修後半年~1年後を目安に行うと良い。

【測定方法】定量的目標と実績を比べる

数値化された「定量的目標」をもとに、達成できたか判断するといいだろう。定量的目標を基準にする理由は、達成できたか判断しやすい状況をつくるためだ。

仮に1年間で商品を100個売り上げるという目標であれば、売上実績と目標値を比べると、どのくらい成果を挙げることができたか分かる。なお、比較するときは以下の内容を抑えるといい。

さまざまな視点で比較する

さまざまな視点で比較する理由は、何が良くて何が悪かったか明確にするためだ。それを明確にすれば、今後の研修でどのように活かすべきか分かる。

都合の良いものだけ比較しない

都合の良いものだけ比較しないのも大切だ。評価の質を下げる原因になるため、辞めた方がいいだろう。良い面も悪い面も、すべて含んだうえで比較すべきだ。

カークパトリックモデルを活用するポイント

最後にカークパトリックモデルを活用するポイントを解説する。

求めている結果をもとに、何をすべきか考えていく

求めている結果をもとに、何をすべきか逆算しながら考えるといいだろう。すると、自然とゴールまでの道筋が見えてくるため、ゴールまでのルートを描きやすくなる。結果、評価の精度を高めることになり、質の良い評価ができるようになっていく。

測定方法を明確にしておく

測定方法を明確にしておくのも重要だ。理由は評価の精度を高めるためだ。評価方法が明確でないと、評価の質が年によって異なってしまう。結果、過去の評価と比較するのが難しくなる。

カークパトリックモデルによる評価を研修に活かすには、過去との評価を比較するのも大切だ。よって、測定方法は明確にした方がいい。

まとめ

カークパトリックの4段階法について解説した。この評価法を用いることで、実施した研修が従業員たちにどのような影響を与えたか判断しやすくなるだろう。ちなみに、カークパトリックの4段階法が必要な理由は以下の通りだ。

  • 成果主義の浸透
  • グローバル競争の激化

上記の歴史背景に対応する意味で、カークパトリックの4段階法は必要だといえるだろう。この評価方法を取り入れると不要な研修が明確になったり、研修の改善箇所が分かったりするため、研修を実施する側からすると便利だ。

しかしカークパトリックの4段階法を上手くするには、段階によって評価の仕方を変えることが大事になってくる。段階ごとの評価の仕方は以下の通りだ。

  • 反応を測定するときはアンケートを実施する
  • 学習を測定するときは筆記・実技面の評価をもとにする
  • 行動を測定するときはヒアリングを行う
  • 結果を測定するときは定量的目標と実績を比べる

段階別で評価方法を変えることで、それぞれの評価の質も上がるはずだ。従業員にとって良い研修を提供するためにも意識していただきたい。

この記事の監修者
リスキル事務局
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Q&A
  • 「反応・学習・行動・結果」の4つの視点から評価することで、研修の効果を明確にしていく評価法のことです。実施方法は、各項目によって異なります。
  • 成果を挙げる従業員が求められていること、さらにグローバル競争に勝つ会社をつくるべく効率よく従業員の能力アップを求められている時代であることが、必要な理由です。
  • 会社で求めるべき結果から、逆算しながら評価方法を考えていくことが大事です。また、測定方法を明確にするのも、評価の質を高めるうえで重要だといえるでしょう。
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