リスキルラボ エンプロイージャーニーマップとは?作成時の流れも解説【経験値を見える化する】

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優秀な人材に働き続けてほしいため、人事制度において工夫している企業もあるだろう。しかし企業によっては、成果が出ていないケースもある。それを解決する上で役立つのが「エンプロイージャーニーマップ」だ。

このマップをつくれば、人事制度面でプラスの効果が出るかもしれない。本記事ではエンプロイージャーニーマップの概要を紹介しつつ、作成時の流れを解説していく。

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そもそもエンプロイージャーニーマップとは

エンプロイージャーニーマップとは、従業員が入社してから退職に至るまでの流れを詳しく書いたマップのことだ。従業員が職場で充実した時間を過ごせるよう、会社として現状を改善したり、今よりも良い体験ができたりする状況をつくるために作成される。

現代では従業員の立場に寄り添いながら職場環境を整えないと退職してしまう。その環境をつくる上で、エンプロイージャーニーマップの作成は必要だ。

なおエンプロイージャーニーマップを作成する際は、過去~現在~未来の流れで従業員のアクションプランや心情を記載していく。過去であれば今まで何を行ってきたか、どのような気持ちで職場での時間を送ったかを明記する。

一方、未来のことを書くのであれば、今後何をすべきか、どのような気持ちで職場での時間を過ごすべきか書く。マップを活用できれば、従業員にとって価値ある体験を会社として提供しやすくなるはずだ。

エンプロイージャーニーマップをつくるべき理由

ここからは、エンプロイージャーニーマップをつくるべき理由を紹介していく。

従業員のこれまでの経験・体験を可視化する

マップにすれば、従業員のこれまでの経験・体験が時系列で書かれているため、今までどのような経験をしたか「ぱっと見」で分かる。そのため、従業員の経験・体験を可視化する上で役立つ。

可視化できれば、従業員が過去にどのような経験を送って、将来的にどのようなアクションをとらせるべきかイメージしやすくなる。

今後のビジョンを考えやすくする

マップにまとめれば、従業員が歩んできた道が見える。それをベースにすれば、会社として従業員の今後のビジョンを考えるのが楽になっていく。その結果、スムーズに作業を進めることができ、余計な時間を使わずに済むはずだ。

人事施策の抜け漏れを防ぐ

マップの内容を参考にして、人事施策の抜け漏れを防ぐのも理由だ。マップを作成せずに人事施策を考えると、人事での施策運用が始まってから、漏れに気付く恐れがある。

施策によっては漏れがあったために効果が半減したり、時間の無駄になったりするかもしれない。

施策を行う以上、最大限効果を発揮できるようにしたい。それを実現する上でも、エンプロイージャーニーマップは必要だ。

エンプロイージャーニーマップのメリット

エンプロイージャーニーマップのメリットは以下の通りだ。

従業員に価値のある場や時間を提供できる

マップにすれば、従業員に何を体験させるべきか考えやすくなる。結果、価値のある場や時間を提供しやすくなるだろう。

価値のある場や時間を提供できれば、職場での仕事を楽しめる。そのため従業員のモチベーションアップや、退職防止に役立つはずだ。

企業に対しての忠誠心アップ

マップをつくれば、従業員は会社がさまざまな取り組みを行ってくれていると思う可能性がある。したがって、従業員の会社への忠誠心アップが期待できるだろう。

忠誠心がアップすれば会社のために仕事を一生懸命頑張る従業員が増えて、仕事をさぼりづらくなる雰囲気になるかもしれない。結果、職場の士気が高まって一致団結しながら仕事に励む雰囲気ができるだろう。

生産性アップが期待できる

マップをもとに施策を考えれば、会社として何をすれば業務が上手く回るか考えやすくなる。社内業務の効率化が期待でき、生産性が高まっていく。

生産性が高まれば、業務に対して無駄な時間を割かずに済む。したがって新しいタスクを追加しやすくなる。

エンプロイージャーニーマップの作成の流れ

エンプロイージャーニーマップを作成する際は、基本的な流れがある。ここからは、作成時の流れを解説していく。

①ペルソナを設定する

ペルソナを設定して、どのようにマップをつくるか考える。対象の従業員の社内での立ち位置や性格、入社年数などによって全く違うものができあがるからだ。

ペルソナを設定しないと、従業員が望まないマップが仕上がってしまう恐れがある。そのためペルソナを設定するのは大事だ。なお、ペルソナを設定する際は以下のことを心掛けるといい。

主観や思い込みは排除する

ペルソナを主観や思い込みのもと設定すると、誤った内容を設定してしまうかもしれない。正しいペルソナを設定するためにも、主観や思い込みは排除すべきだ。

中立的な立場に立って設定することで、主観や思い込みを排除しやすくなるだろう。

会社の方向性を考慮して設定する

会社の方向性を考慮してペルソナを設定すべき理由は、会社が目指す方向を実現させるためにマップを有効活用するためだ。単に従業員の満足度を高めるだけではもったいない。

会社にとって効果的な手段として使うことができれば、より一層マップの効果が発揮される。一石二鳥の状態をつくる意味でも、会社の方向性を考えた上で設定すべきだ。

②従業員に聞き取りを行う

従業員に今まで何をやってきたか聞き取りを行う。聞き取りを行わず想像でマップをつくっても、絵に描いた餅で終わる可能性がある。

マップをつくった後に、思い描いたイメージを実現させる上で従業員に聞き取りを行うのは大切だ。なお、聞き取りを行う際は以下のことを心掛けると良い。

聞き取りの背景を伝える

聞き取りの背景を伝える理由は、会社側が欲しい回答を得るためだ。背景を伝えないと、マップの作成とは関係のない答えばかり集まる恐れがある。質の良いエンプロイージャーニーマップを作るには、マップの記載にふさわしい回答を得ることが重要だ。

背景を聞けば、どのように答えればいいか回答者側がイメージできるため、何度もやり取りをせずに済む。無駄なやり取りを減らすためにも、質問する意図や背景は伝えるべきだ。

抽象的な質問をしない

抽象的な質問だと、どのように回答すればいいか分からなくなる恐れがあるからだ。それをマップに記載しても、会社側でどのような施策を立てればいいか分からない。

効果的な施策を立てられる状況をつくるには、具体的な回答が返ってこないと注釈度が低くなってしまう。したがって具体的な質問をすべきだと言える。

③フェーズごとに従業員がやったことをまとめる

フェーズごとに従業員がやったことをまとめていく。過去・現在・未来といった形で、時系列に沿ってまとめるのもポイントだ。

時系列に沿ってまとめれば、マップが完成した際にどのような人生を職場で歩んでいるのか分かりやすい。結果、施策をスムーズに立てられる。なお、従業員がやったことをまとめる際は、以下のポイントを抑えると良い。

従業員の立場でまとめていく

仮に会社の一方的な都合のみでまとめると、施策を実行した際に従業員が不服だと感じるかもしれない。施策を実行する上で、従業員に自身が成長していると感じてもらうことは大事だ。それを実現させる上でも、従業員の立場でまとめた方がいい。

詳しく記載する

詳しく記載する理由は、マップを見た際に従業員の状況を詳しく把握できる状態をつくるためだ。大ざっぱに記載するとマップを見た際に、誤った認識をしてしまい意味のない施策を立てる恐れがある。そのため詳しく記載した方がいい。

④課題を洗い出して会社としてできることを挙げていく

まとめた内容をもとに、課題を洗い出して会社の施策を考える。施策を考える際は、以下のことを行うと良い。

たくさん施策を出してから、その中から必要な内容を選ぶ

最初から良い意見を出そうとすると思いつかなかったり、時間がかかったりする恐れがあるからだ。意見をたくさん出して、その中から選ぶ「量質転換」を心掛ければ、より良い施策が見つかる確率が高くなる。したがって心掛けた方が良い。

優先順位をつけていく

優先順位をつけていく理由は、強引に全ての施策を同じ時期に行おうとしないためだ。キャパは限られている。キャパオーバーすると分かっているのに複数の施策を強引に行うと全てが中途半端なに終わってしまうかもしれない。

施策によって、実施すべきタイミングは異なる。全ての施策を成功させる上で、大事なことだと言えるだろう。

⑤施策に対して目標を設定する

立てた施策に対して目標を設定する理由はアクションを起こしやすくしたり、ゴールまでのプロセスを描きやすくしたりするためだ。

ゴールまでの道筋が決まっていれば、ゴールまで何をすべきかイメージしやすく効率よく動ける。そのため、マップの効果が発揮されやすくなる。

具体的な目標を設定する

具体的な目標を設定しないと、ゴールが何か分からなくなるからだ。たとえば、仕事で感動する体験をさせるという目標を立てても「どの程度感動させるか」「何をもって感動したとするか」など、中身がぼやけてしまう。

ぼやけた内容の目標を立てても、従業員は動き方が分からない。従業員が動きやすい状況をつくるには、中身が明確になっていることが重要だ。よって、具体的な目標を設定した方がいい。

会社の目標と連動性のある内容にする

会社の目標と連動性のある内容にする理由は、会社と従業員ともにプラスとなる目標を設定するためだ。会社にメリットのない施策を立てても、時間やお金の無駄になってしまう可能性が高い。そのため、会社の目標と連動性のある内容を設定した方がいいだろう。

⑥目標を達成できたか検証する

目標を達成できたか検証していく。検証しないと、やりっ放しで終わってしまうからだ。

検証結果がデータベースとして蓄積されないと、次に活かしづらくなる。過去のデータを細かく集める意味でも、目標達成できたかは検証した方がいい。ちなみに検証する際は、以下のことを心掛けるといいだろう。

何を検証するか前もって決めておく

何を検証するかで、結果の見え方が変わる。たとえばAの視点で検証すると成功に見えるが、Bの視点で検証すると失敗だという結論に至るケースもある。このように同じ事象なのに、視点を変えるだけで結果が変わるかもしれない。

検証の基準が曖昧だと、まとめ方も曖昧になってしまう。よって、どの視点で検証すべきか前もって決めるべきだ。

達成できなかった場合はPDCAサイクルに沿って改善する

PDCAサイクルに沿って改善すれば手順がある程度決まっているため、何をどの手順で行うべきか分かりやすい。

手順がある程度決まっていれば、いくつも改善点があってもルーティン化できるため作業の効率化が可能だ。誰でも同じように改善できる環境をつくる意味でも、PDCAサイクルに沿って改善するのは重要だと言える。

まとめ

エンプロイージャーニーマップを作成するのは、従業員が職場で価値のある体験ができる状況をつくりやすくなる。価値のある体験ができる職場だと思わせれば、退職したい気持ちがなくなっていく。そのため、優秀な人材を放出せずに済む。

なお、エンプロイージャーニーマップを作成が必要な理由として、以下のことが挙げられる。

  • 従業員のこれまでの経験・体験を可視化する
  • 今後のビジョンを考えやすくする
  • 人事施策の抜け漏れを防ぐ

人事制度の運用において役立つため、エンプロイージャーニーマップは作成すべきだ。なお、質の良いマップを作るには以下の手順で行うと良い。

  • ①ペルソナを設定する
  • ②従業員に聞き取りを行う
  • ③フェーズごとに従業員がやったことをまとめる
  • ④課題を洗い出して会社としてできることを挙げていく
  • ⑤施策に対して目標を設定する
  • ⑥目標を達成できたか検証する

手順に沿って行えば、従業員に役立つマップができるだろう。現代では従業員の立場が会社で尊重される時代になってきた。従業員に成果を挙げてもらう人事制度を実現させるためにも、エンプロイージャーニーマップを作成する習慣を社内に設けていただければと思う。

この記事の監修者
リスキル事務局
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Q&A
  • エンプロイージャーニーマップとは、従業員の入社から退職までの流れを書いたマップのことです。入社後経験したことや今後行いたいことなどを書くことで、会社としてどのようにサポートすべきか決めていきます。
  • 従業員が今まで歩んだ体験・経験を明記することで、従業員の現状を把握しやすくなり、今後の育成計画を立てやすくなります。さらにマップがあれば、人事施策の抜け漏れ防止の確認にも役立つため作成すべきです。
  • ペルソナを決めて、対象の従業員へ今までどのような経験をしたか、今後何をしていきたいか聞きます。その後、フェーズごとに従業員から聞いた内容を記載し、会社としてすべきことを挙げていきます。その後、施策を決めて実行するのが流れです。
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