人事・採用担当者の方は、日々採用に対しての対応をしながら、内定者研修など、内定者に向けてのアプローチも実施していく必要がある。
本記事では、内定者期間に実施したいこと6選を紹介していく。今年度、もしくは翌年度の流れを決める際の参考にしていただけると幸いだ。
なお、内定者自身が入社までに準備しておきたいことは【2026年卒新入社員向け】新入社員が入社前にやっておくべき6つのことで解説している。内定者の方はこちらを参考にしてほしい。
目次
内定者期間が大切な理由は、多くの内定者に入社してもらうためだ。仮に、複数社から内定を獲得している人材の場合、他社のフォローの方が手厚かったと判断されると内定辞退の理由につながってしまう。
内定者期間に適切なフォローを行えば、他社よりも良い会社だと思ってもらいやすくなるため、入社する人数が増えるかもしれない。優秀な人材を手放さないためにも、内定者期間に力を入れた方が良い。
多くの内定者に入社してもらうには、内定者期間に会社として何を行うかが重要になってくる。ここでは、内定者向けのイベントや行う際のポイントなどを見ていく。
内定者面談とは、企業の担当者と内定者が面談をすることだ。内定者との信頼関係を築いたり、内定者がスムーズにキャリアアップができたりする状態を作るために行う。
内定者面談の担当は、人事部の社員が任されるケースもあれば、配属先の上司や管理職が担当になるケースもある。人事部と配属先の社員が両方参加する場合は、面談で話す内容や内定者に伝える内容など、すり合わせた方が良いだろう。
なお、内定者面談を実施する際は以下のことを重視すると良い。
内定者面談の始めに、内定者(新入社員)へ期待していることを明確にしよう。理由は、期待されている役割を理解してもらうことで、内定者期間に行うべき行動が明確になるためだ。会社から求められていることがわかれば、内定者は何に力を入れて働けば良いか理解できる。また、現状のスキルで足りない部分があれば今のうちから少しずつ学び始めることもできるだろう(例:Excelの基本的な使い方や業界情報の集め方など)結果、就職後の不安を取り除く効果が期待できる。
内定者面談では、入社にあたり不安なことがないか聞いておくことも大事だ。不安点がわかれば、どのようにフォローすべきか計画を立てやすくなる。内定者の悩みに対して真摯に対応すれば、会社への印象が良くなるかもしれない。結果、内定者の入社意欲アップが期待できるだろう。
不安なことを抱えているにも関わらず「不安なことはありません」と答える内定者も多い。不安なことを言いやすい状態を作るには内定者面談前に不安なことを書き出してもらう・面談する側がコーチングスキル研修などで面談力を磨くなど、下準備が大事だ。
質問に答えられるようにする理由は、内定者を不安にさせないためだ。内定者の質問に対して自信を持って答えることは、内定者を安心させることにつながる。
企業理解や業務理解、就業規則や社内ルールなど、多くのことを聞かれる可能性がある。面談前にはよく聞かれる内容を確認したり、再度企業について理解を深めるなどの準備を行おう。
真摯に質問に答える姿勢は、内定者に企業への信頼感と安心感を感じてもらいやすい。内定辞退を防ぐためにも必要な準備は行っておきたい。
内定者懇親会を行う理由は、先輩社員と関われる状況を作ることで、内定者と先輩社員の人間関係を構築させるためだ。悩み事があった際、先輩社員に相談できるため、内定者は不安を解消しやすくなるだろう。
内定者懇親会の項目としては、「先輩社員を交えてのグループディスカッション」や「レクリエーション」、「先輩社員の体験談を聞く」などが挙げられる。なお、内定者懇親会を実施する際の注意点は以下の通りだ。
様々な部署の社員に参加してもらう理由は、社員と話す機会を増やすことで入社後のキャリアを幅広く知ってもらうためだ。ロールモデルが見つかりやすくなり、入社後のキャリア形成をイメージしやすくなる。なお、参加してもらう社員として、入社後にメンターや上司として関わりのある社員や、面接官として採用した経験がある社員、コミュニケーション能力が高い社員などを参加させると、内定者の満足度が高まりやすくなるだろう。
内定者懇親会の際にグループを決めておく理由は、内定者が相性の良い先輩社員と話せる状況を作るためだ。席を決めておかなかった場合、相性の悪い先輩社員と過ごすことになり、モチベーションの低下を招く恐れがある。内定者に、一緒に働きたいという気持ちを持たせるには、相性の良いメンバーたちでグループを作り、居心地の良さを与えることが重要だ。したがって、会社側でグループを決めた方が良い。
堅苦しい雰囲気にしない理由は、「入社後に明るい未来が待っている」と思ってもらうためだ。内定者懇親会の中に「楽しさ」や「明るさ」があれば、入社後に楽しいことが待っているという気持ちを持ってくれて、入社意欲が高まりやすい。内定者に対して先輩社員がフレンドリーに接したり、明るい音がするBGMを流したりすることで、明るい雰囲気を作りやすくなるだろう。
職場見学会とは、内定者に職場を見学してもらいながら先輩社員と交流してもらうイベントのことだ。内定者に職場の雰囲気を知ってもらい、働いている自分の姿を想像してもらうために行う。働いている姿を想像させれば、就職後の不安や勤務を取り除く効果が期待できる。なお、職場見学会の実施時は、以下のことに気を付けると良い。
職場見学会では、会社のことが理解できる状況を作ることが大切だ。例えば、会社の詳細が掲載されているパンフレットを見てもらいながら見学会を行えば、内定者は会社について理解を深めやすくなる。また、現場の社員と内定者でグループディスカッションする機会を設ければ、社員から話を聞くことが可能だ。自社が伝えたいことを話すだけではなく、内定者が知りたいことを話せるかも心掛けると良いだろう。
気軽に相談できる窓口担当と連絡先を提示する理由は、悩み事があった際にいつでも相談できる体制を作るためだ。相談しやすい状況ができれば、自然と窓口担当と会話を交わす機会が増えていく。結果、窓口担当を通じて会社を信頼するようになり、働く意欲を高めるのに役立つだろう。なお、気軽に質問できる窓口担当と連絡先を提示する際は、以下のポイントを抑えると良い。
複数の連絡先を提供する理由は、担当窓口からの返信が遅くならないようにするためだ。仮に、担当窓口が1人しかいなかった場合、窓口担当が急用の際、返信が遅れてしまい内定者を不安にさせる恐れがある。早急に返信し、内定者を不安にさせないためにも複数の連絡先を提供した方が良い。
基本的にすぐに返信をするようにしよう。多くの内定者を相手にしていると忘れてしまいがちだが、内定者という学生側から企業にメールなどの連絡をするハードルは、思ったよりも高い。返信が遅いことで不信感やさらなる不安につながらないよう、すぐに返信をこころがけよう。遅くともその日中には返信を行い、現場に確認が必要な内容であれば「明日の午後返信する」など具体的に伝えることで、不安を減らす対応をしたい。
内定者アルバイトとは、内定者へ入社前に業務を体験させることだ。入社前に業務を経験させることで、社会人としての自覚が芽生え、戦力が高まる状態を作りやすくなる。
ただし、雇用契約を結んでいない状況であるため、内定者アルバイトを強制してはいけない。内定者によっては学業や家庭の事情などで内定者アルバイトの時間がとれないケースもあるため、希望者のみで実施しよう。
また、内定者アルバイトの有無を人事評価に入れるというように、内定者アルバイトをやらないといけない状況を作るのも控えた方が良いだろう。
内定者アルバイトがSNSに投稿する際に注意する理由は、企業のブランドや機密情報の保護において非常に重要だからだ。例えば、ガイドラインを設けた状態で教育を行えば、内定者は社外に公開すべきでない情報が何かわかるようになる。結果、不用意にSNS上で共有するリスクを小さくできるはずだ。
内定者に対して経験豊富な社員を指導担当者として割り当てることも大切だ。仕事の指導や職場での振る舞い方のコツなどを伝えれば、内定者の戦力アップにつながる。内定者は勤務経験が少ないため、先輩社員のサポートは必須だ。
内定者研修は、内定者に対して行う研修のことだ。例えば、以下の研修がある。
内定者研修の種類 | 研修内容 |
---|---|
社会人基礎研修 | 内定者にビジネスマインドを習得させることで、現場で活躍できる状態を作る。自身のストレスとの向き合い方も学ぶ。 |
ビジネスマナー研修 | ビジネスマナーの基礎を習得させることで、丁寧な応対ができる状態にする。電話応対などワークを通じた研修も実施。 |
アサーティブコミュニケーション研修 | 相手の意見を尊重しつつ、自分がどのように主張すれば良いか知ることで、人間関係を構築しやすい状況ができる。伝えづらいことを話すコツも学ぶ。 |
プレゼンテーション研修 | 相手に共感してもらえるプレゼンの仕方を学ぶことで、相手に納得してもらえる状態を作る。プレゼンで使うスライドの作成方法も磨いていく。 |
ロジカルシンキング研修 | 論理的に物事を理解する方法を知り、課題発見・解決できる状態を作る。ワークを行いながら、論理的思考を身に付けていく。 |
会社のニーズや内定者の状況に応じて、研修内容を選ぶと良いだろう。詳しくはこちらでも解説されている。
→ 内定者フォロー事例10選|内定辞退を防ぐプロのテクニック
内定者研修の内容は、会社の印象を左右するため慎重に決めた方が良い。ここでは、内定者研修実施時のポイントを紹介する。
内定者研修のゴールを設定する理由は、研修後にどのような状態にしたいか明確にするためだ。ゴールを設定し、逆算しながら研修カリキュラムを決めていけば、何を受講させるべきか見極めやすくなる。
内定者に身に付けてほしいスキルを明確にすると、研修が進めやすくなる。必要なスキルを明確にするときのポイントは以下の通りだ。
各内定者に自分の持っているスキルを記入してもらうと良い。資格や得意分野など、いくつかの項目を設けておくと、内定者が持っているスキルが明確になって、何を身に付けさせると良いか分かりやすくなるだろう。
現場の声を反映させれば、内定者研修で現場に必要なスキルを習得させやすくなる。社内で活躍しやすい状態ができあがって、会社に貢献できる人材に育つだろう。
内定者が楽しめそうな研修を盛り込む理由は、飽きさせないためだ。内定者が夢中になれる研修を行えば、会社に対して良い印象を持ちやすくなる。その状態を作る上で、内定者が楽しめる研修を行った方が良い。例えば、ゲーム要素で楽しめるビジネスゲーム研修は、楽しみながらビジネススキルの習得をすることが可能であるため役立つだろう。
研修のために会社へ行くことが辛いと感じる内定者もいるため、オンライン受講を活用した方が良い。内定者の中には、自宅から研修会場まで遠くて研修へ行くことが辛いと感じる場合がある。内定者の負担を軽くするためにも、オンライン受講の活用は大事だ.
内定者研修は、企業のやりたいことを実践しつつも内定者自身のスケジュールにも配慮した。内定者といってもまだ学生であり、学生生活を優先させることが重要であるためだ。
卒業論文や卒業制作、ゼミの活動や卒業旅行など、最後の学生生活として必要なイベントには優先をさせつつ、欠席した場合にはeラーニング動画講座の用意をしておくなどの対応を行いたい。
内定者研修後のフィードバックを行うと、内定者は自分に何が大事か知ることができる。さらに、内定者研修で受講した内容を、どのように活かすべきか考えるきっかけも生まれるため、内定者の成長につながっていくため、会社にとってプラスになるだろう。
なお、フィードバックを行う際は、以下のことを意識すると良い。
フィードバック時は、注意や指導などネガティブな面だけではなく、ポジティブな面を伝えると良い。褒めることで、内定者のモチベーションアップを実現しやすくなる。先輩社員に指導してもらいたいという気持ちが生まれると、内定を獲得した会社で働きたいという意欲向上につながるため、入社してくれる確率が高くなるだろう。
フィードバックをしても相手に伝わらなければ意味がないため、内定者に分かりやすく伝えることが大切だ。言葉をかみ砕いたり例を用いたりすると、内定者はイメージしやすくなるため、理解度が高まる。ただし、内定者によって理解度が変わるため、相手によって伝え方を変えることが大事だ。
内定者期間に、人事・採用として行うことは沢山ある。内定者期間の動き方で内定者の入社人数が変わるため、何を行うべきか毎年見直した方が良いだろう。内定辞退者が増えると、再度時間とお金をかけて、人材を探さなくてはいけなくなるため会社の負担になってしまう。採用した人材を手放さないためにも、内定者期間に力を入れていただきたい。
リスキル事務局が記事の執筆・監修をしています。人材育成にまつわるお役立ち情報を分かりやすく解説します。
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■プロフィール
会社名:株式会社リスキル
(「リスキル」は株式会社リスキルの登録商標です。)
設立:2022年5月2日
上場市場:東京証券取引所グロース市場
■研修実績
・利用社数は年間2900社以上
・受講人数は年間9万人以上
・プロフェッショナルの講師陣200名以上在籍