年度終わり、年度初めは企業での研修が活発に開催される時期だ。
特に年度初めは新入社員研修なども実施され、企業としても一年で最も多く研修が開催されるシーズンだろう。研修を実施するにあたり、多くの企業が研修報告書(研修レポート)の提出を求める。新入社員~若手社員に向けては特に、知識の定着や人事側での状況確認も含めて提出を促すことが多い。
本記事では、「研修報告書の効果的な書き方」を解説していく。これから研修を受けるという方も、人事や研修担当として今年の研修報告書をどう書かせようか悩んでいる方も、ぜひ参考にしてほしい。
目次
研修報告書とは、企業や組織内外で研修を受けた後、受講生(研修を受けた側の社員)が書くものだ。研修レポートとも呼ばれる。目的としては以下の通りだ。
研修では多くの内容を扱う。学んだ中には
そのままにしておくと人は忘れてしまうため、研修報告書に書き起こすことで頭の整理をするということが目的の一つだ。
研修は、学んだ内容を仕事に活かすことが重要だ。研修後、行動が変わらなければ意味がない。
そのため、多くの研修報告書では「何を学び、どう仕事で活かすか」を書くことが求められる。受けたことを丁寧に書くだけではなく「仕事でどう活かすか」への言及も忘れないようにしよう。
研修を実施する企業側の目的は以下3点だ
例えば、50名の新入社員が受けるビジネスマナーにおいて、一人ひとりに研修の感想をヒアリングすることは現実的ではない。報告書に記載をしてもらうことで、一人ひとりがどの程度理解できるものだったのかを把握することができる。
また、内容が難しすぎなかったか・簡単過ぎなかったかなどもここで判断し、来年度に同じ研修実施をする際の参考にもしていくことが多い。
研修報告書が次の世代(後輩や新人)の学びに反映される可能性も高いため、責任感を持って報告書を作っていこう。
目的を押さえた上で、研修報告書の書き方を説明していく。一般的に言われていることを解説するが、企業ごとにフォーマットや書き方のルールがある場合そちらを遵守してほしい。
具体的な内容に移る前に重要なこととして「研修を受けたらその日中に書く」ことを推奨したい。
理由はシンプルに「受けた内容は、記録しなければ忘れてしまうことが多いから」だ。
研修内で気づいたことや学びをその日中に整理しよう。
(他の課題などがある場合は優先順位を付けて実施することが推奨)
基本事項については、フォーマット化されている場合も多い。以下の内容を埋めていこう。
研修で何を学んだかを整理して書こう。箇条書きを使いながら書くとよりわかりやすい。
配布された研修テキストが手元にあれば、目次や章ごとに分けて学んだことを書き出していこう。
なお、ここでは学んだ内容を事実として記載するのみだ。感想は次の「気づき」の部分で書く。
項目 | 実施した内容など |
---|---|
ビジネスマナー | ・マナーとは、「相手を思いやる気持ちや配慮」のこと ・適切なマナーの習得により、相手に合わせた対応ができるようになる ・社会人の常識・基礎となる土台として、習得が必須 |
マナーの5原則 | ・「表情・挨拶・身だしなみ・態度・言葉遣い」の5原則 |
来客・訪問時のマナー | ・来客、訪問時の所作やマナー ・名刺交換、複数人への交換をロールプレイで実践 |
電話対応方法 | ・電話の受け方、かけ方の基本 ・電話応対時に特化して使う言葉を一覧で学び、ロールプレイで実践 |
メールの書き方 | ・メールの書き方、返信の仕方の基礎 ・読み手側の時間を奪わない「わかりやすいメール文章」の書き方 |
わかりやすいように表にしたが、箇条書きや■、【】などで項目を目立たせても良いだろう。
研修を受講した上で、気づいたことや問題が解決したこと、発見したことなどを書いていく。
ここは、率直に感じたことや発見を書くと良いだろう。
内容 | 気づき |
---|---|
名刺交換 | 名刺交換について頭では理解しているつもりだったが、相手が複数人になると手間取ってしまった 相手が思っているよりゆっくりやっても問題なかったので、焦らず一人ひとりに挨拶と名刺交換をするように気をつけたい |
ビジネスメール | メール作成時、一文の中に内容を詰め込みすぎている事に気づいた。 ワーク後のフィードバックにて「結局自分の中で何が伝えたいのか」がはっきりしていないことが原因だ。「急いで作成しないと」と焦ることなく、まずは伝えたいことを整理してから文章を作るようにしたい。 |
敬語 | 敬語に苦手意識があったが、敬語の種類と間違いやすいポイントを学ぶと意外とできることがわかった。しかし、電話応対になったり慌ててしまうと謙譲語と尊敬語が反対になってしまうくせがある。そのため、間違えやすい言葉をピックアップした。実際に電話応対をする際には一覧を参考にしつつ実践していきたい。 |
相手にわかりやすい、読みやすい文章にするコツを最後に紹介する。ぜひ以下を意識して書いてほしい。
文章作成の際によく言われることだが、「結局何が言いたいの?」とならないように、結論から書き始めよう。
結論とは、主として伝えたいことを指す。
まずは、「自分がこの文章で伝えたいことは何か」を明確にした上で書くことが良い。なお、結論を支える理由や根拠があればその後に書くとわかりやすい。
伝えたいことが多すぎるあまり、一文(。までの間)が長くなりすぎることがある。
理想としては60字程度で一文をまとめておこう。長いかどうか自分でわからない場合は、口に出して読み上げてみると気づきやすいためおすすめだ。
「よくわかりました」「多くのフィードバックを受けました」ではなく、より具体的に書くことを意識したい。
これらを考えて書くと良いだろう。なお、数字を活用することでも具体的な表現となる(3つの気づきがありました。1つ目は…)
研修で学んだこと(事実)と感じたことや気づいたこと(所感)を区別することで、わかりやすい研修報告書となる。
事実に関連して思ったことを書きたくなるが、区別した方がわかりやすい。
箇条書きでシンプルにまとめた方が、読みやすい文章となる。全てを箇条書きにする必要はないが、項目として分けた方が見やすい場合などは積極的に活用していこう。
本記事では、研修報告書の書き方について解説してきた。
研修がその効果を発揮するのは、研修を受けた後に職場で活用した時だ。上手く活用していくためにも、効果的な報告書を作成してほしい。
ちなみに、本記事では受講生向けの報告の書き方を紹介したが、研修担当者が受講生や講師に向けて案内メールを送り際にも、「相手にわかりやすい、読みやすい文章で書く必要がある」という点は共通している。こちらのコラムでも詳しく紹介されているので合わせて読んでみてほしい。
→ 社内研修の案内メールの書き方。社外講師へのお礼メールの書き方も解説(株式会社キューズフル|助成金を活用した教育支援・採用支援コンサルティングサービス)
なお、本記事を作成したリスキルでは社員研修を実施している。新入社員研修や新入社員フォローアップ研修なども実施しているため、人事や研修担当の方はぜひ参考にしてほしい。