リスキルラボ 残業禁止の目的と導入時のコツを紹介【従業員が働きやすい状態をつくる】

働き方改革研修
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一昔前は朝から終電まで働かせる企業も多かった。しかし国や自治体が中心となって働き方改革が進められた結果、長時間労働を認めない企業が増えている。残業禁止を導入している企業も多くなってきた。

しかし残業禁止が社員に良いかというと、必ずしもそうとは言い切れない。なぜなら、社員にしわ寄せがいく場合があるからだ。その状態になると、残業禁止を導入しても社員に歓迎されない。そのため、残業禁止を導入するときは会社目線だけではなく、従業員目線に立つことも必要とされる。

そこで、本記事では、残業禁止の目的を解説しながら導入時のコツを紹介していく。

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残業禁止の目的

はじめに会社が残業禁止を導入する目的について紹介する。

職場環境の改善

残業を禁止すれば、労働時間が減って体力を回復させやすい。心身ともに回復できる状態があれば、疲れを引きずらずに働ける。結果、職場労働の改善に役立つ。

職場労働が改善されると従業員のパフォーマンスが発揮されやすい。そのため、社員の成績アップが期待できる。

コスト削減

残業を禁止すれば残業代の支払いがなくなるため、人件費を抑えられる。さらにオフィス内の電気の使用量も減るため、電気代の削減にもなるかもしれない。このように、会社のコスト削減を実現させるのも残業禁止の目的だ。

労働力の確保

残業を強いると「プライベートが確保できない」「仕事後の予定が決められない」「体力が持たない」などの理由で会社への不満が募る。社内に悪い噂が広まると、退職者が増えて働き手が減ってしまう。

しかし残業禁止を実行すれば、これらの不満は出なくなる。そのため、労働力の確保に役立つ。

残業禁止による弊害

残業禁止は全ての会社で受け入れられているわけではない。会社にとってマイナスに働く場合もある。ここでは、残業禁止による弊害を解説していく。

業績が下がる恐れがある

残業が禁止になると、仕事に割く時間が減る。次第に業務が捌けなくなって、社内業務が滞る。その状態になると社内の生産性が落ちるため、業績悪化を招いてしまう。

サービス残業が増える

会社で残業を禁止しても、全社員が残業をしなくなる訳ではない。なぜなら、業務を溜めないように内緒で残業をする従業員が現れるからだ。上司から叱られたくないという理由で、会社に内緒で残業する従業員もいるため、サービス残業の増加につながる。

サービス残業が当たり前になると、他の社員に強要する上司が増えてしまう。結果、会社の雰囲気が悪くなる。

管理職の負担が増える

残業を禁止すると、部下が業務を残したときに管理職が尻拭いをする機会が増えていく。結果、管理職の負担が増えて自分の仕事を片付けられなくなる。

ハラスメントの横行

残業が禁止になって仕事の進み具合が遅くなると、上司や同僚は不満を抱える。業務を残している部下を威圧したり、怒鳴ったりする恐れがある。その光景が当たり前になると、ハラスメントの横行につながる。

コスト増大の可能性がある

残業代が減るのはコスト削減につながるが、それで仕事を処理しきれないのであれば、人員を増やす方法を考えなければならない。そのため、コスト増大の可能性がある。

残業禁止導入時のコツ

残業禁止を実施しても、働き手の事情を考えずに行うと従業員から反発される。そのため、慎重に導入した方がいい。最後に導入時のコツを紹介する。

残業の原因を分析する

残業の原因を分析する理由は、原因に適した対策をとるためだ。残業を禁止しても、問題点を解消できなければ意味がない。原因によって、効果的な方法は違う。したがって、残業の原因を分析するのは必須だ。

なお分析時は、現場の声を聞いたうえで行った方がいい。なぜなら原因の特定を間違ってしまう恐れがあるからだ。正しい原因を突き止めていない状態で分析しても、問題経穴できない。効果的な対策方法を見つけるためにも、現場の声を聞かずに原因を特定するのは辞めた方がいいだろう。

社員の業務量を調べる

社員の業務量を調べる理由は、残業禁止の頻度を決めやすくなるからだ。毎日、残業を禁止しても良いケースもあれば、週1ペースにしないと厳しい場合もある。適切な頻度で残業を禁止しないと社員を苦しめる。快適に働ける状態をつくるためにも、業務量は調べた方がいい。

社員の業務量を調べる方法として、以下のものがある。

実測法

実測法とは該当する社員の作業を計測し、それをもとに業務量を調べる方法のことだ。たとえば、部下が10分間で製造できる個数を知りたい場合、第三者が10分間測って時間内で製造できる個数を調べる。測っている人の目の前で成果が分かるため、手っ取り早い。

実績記入法

実績記入法とは該当する社員に記入してもらい、業務量を調べる方法だ。社員には一定期間内の業務内容や、業務にかかった時間を記入してもらう。その内容をもとに、上司が業務量を算出していく。

ただし虚偽の内容を申告されると、正確な業務量を把握できない。そのため、真実の内容を記入してもらうことが大事だ。

推定比率法

推定比率法とは、業務にかかる大体の時間を上司などが予測して、それをもとに業務量を調べていく方法だ。平均的な数字を当てはめて計算するため、おおよその業務量を把握するのに役立つ。

ただし上司の肌感覚がズレると、正確な数値を算出できない。そのため、日頃から現場の状況を知っておく必要がある。

業務改善を行う

業務改善を行えば、仕事がスムーズに進む状態をつくれる。そのため、残業禁止を行っても社内業務が回る環境が出来上がる。業務改善を行うときは、以下のことを意識すると良い。

不要な業務をなくす

不要な業務をなくす理由は、業務時間を減らすためだ。業務の中には、昔からの名残で残っているケースもある。しかし時代の流れで、要らなくなった業務を残しても意味がない。各業務が存在している理由を考え、正当な理由がない業務については失くすことが大事だ。

業務の優先順位を変える

業務の優先順位を変えるのも、業務改善に役立つ。なぜなら、優先順位の変更で業務の短縮につながるケースがあるからだ。優先順位を上げるべき業務もあれば、下げた方がいい業務もある。

一部の手作業を自動化にする

一部の手作業を自動化にするのも効果的だ。たとえば「手作業のときと精度が変わらない(もしくは上がる)」「作業時間が短縮される」場合といった形で、基準を設けると自動化の導入が楽になる。

業務の担当者を変える

担当者が向いていなくて、業務が遅い場合もある。その場合は、スピーディーに仕事を進められる社員に変えるといい。人を入れ替えただけで、作業時間が短縮するケースも珍しくない。

業務の頻度を見直す

業務の頻度を見直すのも効果的だ。他の業務に支障をきたさないためにも、全ての業務が適切な頻度で行われているか確認した方がいい。

業務改善研修を受講してもらい、全員に今の業務体制を見直してもらう

業務改善研修をチーム内や部署単位で実施し、「今の業務の進め方や、時間の使い方が適切か」「無駄はないか」を確認してもらうことも良いだろう。

様々な働き方・制度を用意する

様々な働き方・制度を用意する理由は、各社員が自分に合う働き方を選択できる環境をつくるためだ。働き方の選択肢が広がれば、自分に適した環境で働ける。その結果、従業員たちはパフォーマンスを発揮しやすくなり、作業時間の短縮が期待できるだろう。なお、働き方・制度の例として、以下のものが挙げられる。

フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、自身で勤務時間を調整できる制度のことだ。指定された労働時間分働き、かつ会社が指定したコアタイム(仕事をしなければならない時間帯)に働けば、好きなように勤務時間を調整できる。そのため、ワークライフバランスを調整しやすい。

また会社によっては、さらに条件が緩くなった「スーパーフレックスタイム制」を導入している。フレックスタイム制との違いは、コアタイムが撤廃されていることだ。仕事をしなければならない時間帯が存在しないため、より自由度が高い。

早朝から働いた方が成果を挙げやすい方もいれば、昼前後から働く方が成果を挙げやすい方もいる。自身の体質に合わせて労働時間を決められるため、最適な制度だと言える。

テレワーク

テレワークとは、会社以外の場所で働くことだ。社員の中には、上司と同じ場所だと変に意識して、仕事の効率が落ちてしまう方もいる。その状態を解消するのに効果的だ。

会社から場所を指定されていなければ、自宅やコワーキングスペース、カフェなど気分に合わせて勤務場所を変えられる。気分転換しながら働けるため、仕事の効率アップに役立つ。

スキルを活かせる部署に異動させる

スキルを活かせる場所に異動させれば、部下は自分の能力を発揮しやすくなる。そのため、労働時間の短縮が期待できる。ただし異動先を選び間違えると、スキルを活かせなくなってしまう。そのため、従業員のスキルや部署との相性を考えた上で異動先を選ぶことが大事だ。

社員のスキルを高める

社員のスキルを高める仕組みをつくれば、社員の戦力アップにつながる。戦力が上がれば業務を短時間で捌けるようになるため、残業禁止による支障を抑えられる。社員のスキルを高めるときは、以下のことを行うと良い。

研修の充実

社員たちの研修を充実させるといいだろう。OJTやOff-JT、外部研修など、状況に応じて研修を用意することが大切だ。社員に実施すべき研修は、会社や社員たちの状況や時代背景によって変わる。そのため、研修内容は定期的に変えた方がいい。

研修は社内で実施するケースもあれば、外部で実施するケースもある。

eラーニングの導入

eラーニングとは、パソコンやタブレットなどを使って勉強できるシステムのことだ。eラーニングは場所に問われず利用できるため、空いている時間で勉強できる。よって、スキルアップに役立つ。

なおeラーニングは、既存のコンテンツを使うだけではなく、オリジナルのコンテンツを用意することも可能だ。

資格取得のサポート

資格取得のサポートも、社員のスキルアップに効果的だ。資格取得の研修を社内で実施するケースもあれば、検定料を一部負担するケースもある。資格取得を目的とした勉強をさせれば社員の知識が増えて、業務の質が向上したり作業時間が短くなったりするかもしれない。そのため資格の取得を考えている社員には、積極的にサポートすべきだ。

まとめ

現代では働き方改革が進んでいることもあり、長時間労働に対して批判的な考えが増えている。その一環として、残業禁止を命じる企業も増えてきた。残業禁止は会社の経費を削減したり、健康的な状態で働けたりする環境をつくるなど、様々な目的がある。しかし、その一方で、残業禁止による弊害もある。

  • 業績が下がる恐れがある
  • サービス残業が増える
  • 管理職の負担が増える
  • ハラスメントの横行
  • コスト増大の可能性がある

会社にとって良い状態をつくろうと思い残業禁止のルールをつくっても、裏目に出てしまっては意味がない。したがって残業禁止の導入時は、業務に支障をきたさない環境づくりが大事となる。残業禁止を導入するときは、以下のポイントを抑えるといいだろう。

  • 残業の原因を分析する
  • 社員の業務量を調べる
  • 業務改善を行う
  • 様々な働き方を用意する
  • 社員のスキルを高める

上記のことを考慮しながら残業禁止を設定すれば、弊害が出づらくなる。その結果、多くの社員に残業禁止を受け入れてもらえるはずだ。

長時間労働を防ぐのは良いことだが、残業禁止を強引に導入すると、従業員は働きづらさを感じる。より一層、働きやすいと感じる職場を実現させるためにも、慎重に残業禁止を導入していただきたい。

この記事の監修者
リスキル事務局
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Q&A
  • 残業代のカットによる人件費削減、長時間労働の防止、ワークライフバランスの確保などがあります。
  • 社内業務が回らなくなることで会社の業績が悪くなったり、サービス残業が増えたりするかもしれません。その他に管理職の負担や上司のハラスメントが増える場合もあります。
  • 残業が発生する理由や社員の業務量を調べて、業務改善を進めることが大切です。その他に様々な働き方を提示したり、社員のスキルを高めたりするといいでしょう。すると、残業禁止による弊害が減ります。
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