リスキルラボ ソーシャル・キャピタルとは|高めるコツを紹介【人とのつながりを大切にする】

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一昔前と比べて、人間関係の希薄化が進んでいる。これは会社の中でも起こっているようだ。社員間のつながりがなくなると意思疎通がとれなかったり、仕事のミスが起こりやすくなったりする。その状況を打破する上で、必要なのが「ソーシャル・キャピタル」だ。

社内に浸透させれば、会社にとって良い環境となるかもしれない。本記事では、ソーシャル・キャピタルの概要を解説しつつ、高め方を紹介していく。

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ソーシャル・キャピタルとは

ソーシャル・キャピタルとは、人やコミュニティとのつながりが重要であることを唱えた概念のことだ。アメリカの学者「ロバート・パットナム」によって唱えられた概念で、日本語では「社会的資本」と訳される。

人々はつながりや協調性を持ちながら行動することで、生産性・効率性を高められることを述べている。その大切さを教えているのが、ソーシャル・キャピタルだと言えるだろう。

ソーシャル・キャピタルが必要な理由とは

ここからは、ソーシャル・キャピタルが必要な理由を解説していく。

いきすぎた成果主義によって横のつながりがなくなった

成果主義が進んだことで、人やコミュニティとのつながりが希薄になった。この流れは、人々から心の余裕を奪い、自分の私利私欲を追い求める雰囲気をつくり上げる。他のメンバーを気にせず、自分の成果のみに執着する従業員が増えていく。

その結果、会社の中から連帯感が失われてしまい、従業員間のつながりがなくなる。これを払拭する上で必要なのが、ソーシャル・キャピタルだ。

ソーシャル・キャピタルの文化を取り入れれば、従業員たちは他のメンバーとコミュニケーションをとりながら、業務に励む状況が出来上がっていく。結果、横のつながりができて、協調性が生まれる。

個人で過ごす時間が増えた

インターネットやSNSなどの普及によって、個人で過ごす時間が増えた。価値観の多様化が進み、共通の話題を話す機会も減りつつある。それが、従業員間のコミュニケーション減少につながっている。

コミュニケーションの不足は、従業員間の連係ミスを招く原因になってしまう。それを解決したいと思う企業が現れているのも、ソーシャル・キャピタルが必要な理由だ。

VUCAの時代に突入した

VUCAの時代とは、将来の予測が難しくなる時代のことだ。Volatility(変化)・Uncertainty(不確実)・Complexity(複雑化)・Ambiguity(曖昧)の頭文字をとってつくられた。現代はVUCAの時代に突入したため、数年後どうなるか分からない。

VUCAの時代に突入して、自分のキャリアを描けずにアクションを起こせない人もいる。そのような人を減らす意味でも、ソーシャル・キャピタルの意識は大事にした方が良い。

ソーシャル・キャピタルを尊重するメリット

ここからは、ソーシャル・キャピタルを尊重するメリットを解説していく。

従業員たちの心身の状態が良くなる

ソーシャル・キャピタルの尊重は、人とのつながりが生み出し、相談や雑談ができる状況をつくり出す。従業員たちの不安を解消させて、心身の状態を良くしていく。

その結果、従業員は働きやすさを感じる。能力を発揮しやすい状態が生まれ、チームの成果を挙げやすくなる。最終的には、会社の業績アップにつながっていく。

従業員間の信頼関係を築ける

従業員間の距離感が縮まり、信頼関係を築けるのもメリットだ。お互いのことを信頼できる状態が生まれるため、本音で話せる環境ができる。

従業員が隠し事をしたり、ウソをつくことが減ったりする環境をつくる意味でも役立つはずだ。

コミュニケーションコストを抑えられる

コミュニケーションコストとは、情報伝達や指示を与えるのにかかる手間のことだ。ソーシャル・キャピタルが浸透すれば、相手へ寄り添う姿勢が社内に生まれる。相手の目線に立って、話を聞こうとする従業員が増えていく。

その結果、コミュニケーションの質が良くなって従業員間の無駄なやり取りが減るため、コミュニケーションコストを抑えるのに役立つ。

企業のイメージが良くなる

ソーシャル・キャピタルに力を入れている企業であることが世間に伝われば、自社のイメージが良くなるかもしれない。消費者であれば、安心して商品を購入できるようになる。

また求職者の視点で見ても、働く環境として適している場所だと感じる人が増えるかもしれない。さまざまな立場の人が、自社に良いイメージを持つため、ソーシャル・キャピタルは尊重すべきだ。

ソーシャル・キャピタルを高める際に効果的な取り組み

ソーシャル・キャピタルを高めるには、効果的な取り組みを行わなければならない。最後に取り組み例を紹介する。

ジョブローテーション

ジョブローテーションとは、定期的に部署を異動させることだ。さまざまな部署へ異動させると、いろいろな従業員と働ける。社内のつながりが次々と生まれ、仕事の相談ができる同僚が増えていく。その結果、悩み事があったときに解決するのが楽になる。

ちなみにジョブローテーションを実施するときは、以下のポイントを抑えると良い。

従業員のスキルや目指すキャリアを考慮した上で配属先を決める

ジョブローテーションだからといって、適当に配属先を決めていいわけではない。配属先を間違えると、従業員が育たなくなるからだ。

従業員が育たない環境で働かせるのは、無駄な時間を過ごすことになる。それを防ぐ意味で、従業員のスキルや目指すキャリアを考慮した上で、配属先を決めるべきだと言える。

実施期間を決めておく

ジョブローテーションの実施期間を決める理由は、長期にわたって同じ部署にいる状況をつくらないためだ。仮に配属先で働く期間を1年間と決めておけば、異動した従業員は何をすべきかスケジュールを立てやすくなる。結果、仕事が進みやすい状況をつくるのに役立つ。

現場のサポート体制を整える

働いたことのない部署で、いきなり業務を命じても自分1人では何もできない。それを防ぐには、現場のサポート体制を整えることが大切だ。

サポート体制の有無によって、従業員の働きやすさは変わる。それが、従業員の成長スピードにも影響を与える。サポート体制が整っている方が、従業員が相談しやすい。

従業員が悩みを抱えづらい状況ができるため、働きやすさを感じるはずだ。相談窓口を設けて、孤立する状況をつくらないことが大事だ。

メンター制度

メンター制度とは、対象の社員にメンターをつけることだ。メンターがいれば、悩み事があったときに気軽に話せる。その経験をさせると、つながりの大切さに気付く。それが、ソーシャル・キャピタルの文化を浸透させることにつながる。

なおメンター制度を運用するときは、以下のことに気を付けるといい。

社員と相性の良いメンターをつける

相性が悪いと、メンターの言うことを聞かなくなるからだ。それが常態化すると、悩み事があっても相談できなくなる。結果、メンター制度によって社員の精神状態が悪くなってしまう。

メンター制度は、メンターがヒントを与えることで社員の悩みを解決することを目的としている。その環境を崩さないためにも、相性の良いメンターをつけるべきだ。

メンターの質を、ある程度そろえる

メンターの質をある程度そろえる理由は、どのメンターがついても、一定の成果を挙げられる環境をつくるためだ。メンターに研修を行ったり、必要とされるスキルを可視化したりすることで、質をそろえやすくなる。

メンターに丸投げしない

メンター制度の中で、トラブルが起こる場合がある。そのときに、メンターへ丸投げするのはNGだ。トラブルが余計大きくなったり、解決までに時間がかかったりする恐れがあるからだ。

メンターは大きな負担を抱えることになり、チームでの業務を進められなくなる。その状態を防ぐ意味でも、他の従業員がサポートできる体制はつくった方が良い。

メンター制度のルールを決めておく

ルールを決める理由は、メンターの質を均一化させるためだ。社員が相談した時の対応や、メンターだけで解決できない時の対応、メンターとしての立ち振る舞い方など、さまざまな項目で設定が必要となる。

メンターごとで違う対応をとると、社内で悪い噂が広まって、メンター制度の運用に支障をきたすかもしれない。コンプライアンスに反した行動をとるメンターを出さないためにも大事だ。

メンター研修などを実施し、新しくメンターになった方にはその制度のルールや認識、困った時の対応方法などを伝えることも推奨される。

社内イベント

社内イベントも、従業員や地域の人とのつながりが生まれるきっかけになる。そのため、社内にソーシャル・キャピタルを浸透させるのに役立つ。ちなみに社内イベント実施時は、以下のことを意識すると良い。

情報発信を行う

情報発信を行う理由は、社内イベントの存在を知らせるためだ。存在が知られていない状況で、参加者が増えることはない。従業員に社内イベントの存在を知らせるためにも、ポスターを貼ったりSNSで発信したりすることが大事だ。

閑散期に実施する

閑散期に実施する理由は、社員が参加しやすい状況をつくるためだ。仕事が忙しい時期だと、心に余裕がないため参加者は減る。仕事を理由に欠席させないためにも、閑散期に実施すべきだ。

グループの成果に対してインセンティブを与える

グループの成果に対してインセンティブを与える制度を設ければ、自然とグループ内で協力していく体制が生まれる。コミュニケーションの活性化が期待できるため、ソーシャル・キャピタルを高めるのに役立つ。ちなみに、インセンティブには以下の種類がある。

物理的なインセンティブ

物理的なインセンティブとは、お金や物を与えて、やる気を出させることだ。臨時ボーナスや会社からのプレゼントなどが該当する。

インセンティブの中でも最も効果が高いと言われているものの、コストが発生するため継続するのが難しくなるケースもある。

評価的なインセンティブ

評価的なインセンティブとは、社員を褒めることでやる気を与えることだ。普段から部下の仕事の様子をしっかりと見ておけば、容易に与えられるだろう。

人的なインセンティブ

上司などの人間性によって、生まれるインセンティブのことだ。相手の人間性が理由でモチベーションが上がっているため、その人がいる限りは頑張ろうとする。

自己実現的なインセンティブ

自分がやってみたいと思うことを、社内で実現できたことによって生まれるインセンティブを指す。チャレンジの場を与えることで、従業員のモチベーションを下げずに済む。

従業員によって、マッチするインセンティブは異なる。そのため、どのインセンティブが合うか見極めながら決めることが大事だ。

まとめ

ソーシャル・キャピタルは、今後の時代において必要な文化だと言える。その理由は、以下の通りだ。

  • いきすぎた成果主義によって横のつながりがなくなった
  • 個人で過ごす時間が増えた
  • VUCAの時代に突入した

人とのつながりがなくなったり、将来の見通しが不安定になったりしたことで、心が貧しくなる状態が生まれやすくなっている。心を豊かにする意味でも、ソーシャル・キャピタルを社内に浸透させることは必要だ。

実際にソーシャル・キャピタルを尊重する職場になれば、以下のメリットが期待できる。

  • 従業員たちの心身の状態が良くなる
  • 従業員間の信頼関係を築ける
  • コミュニケーションコストを抑えられる
  • 企業のイメージが良くなる

企業だけではなく従業員にとってもメリットがあるため、積極的に尊重した方がいいだろう。なおソーシャル・キャピタルを浸透させる上で効果的な取り組みとして、下記のものが挙げられる。

  • ジョブローテーション
  • メンター制度
  • 社内イベント
  • グループの成果に対してインセンティブを与える

上記のことを行えば、社内にソーシャル・キャピタルを浸透しやすくなる。会社を良くするためにも、積極的に取り組んでいただきたい。

企業だけではなく地域課題やボランディアにおいても通ずる資本であると、「COCOCOLOR EARTH」のサイトでも詳しく解説されている。
参考:ソーシャルキャピタルとは?企業が取り組む3つメリットや事例を解説!

この記事の監修者
リスキル事務局
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Q&A
  • ソーシャル・キャピタルとは、人や地域とのつながりが大切であることを唱えた概念です。アメリカの学者である「ロバート・パットナム」が第一人者だと言われています。
  • 従業員間の関係性が良くなったり、信頼関係を築きやすくなったりするのがメリットです。その他に、従業員間のコミュニケーションコストを抑えたり、企業のブランドアップに役立ったりする効果も期待できます。
  • さまざまな部署で勤務させるジョブローテーション、従業員をサポートするメンター制度、社内イベント、インセンティブの付与などがあります。
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