リスキルラボ 【5分でわかる】従業員の心を守る、カスタマーハラスメント対策

クレーム対応研修
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カスタマーハラスメントとは、顧客や取引先からの悪質なクレーム・不当な要求のことだ

2024年11月26日に、厚生労働省の審議会において「カスタマーハラスメント(カスハラ)」の定義が示された。(参考:「厚生労働省“カスハラ”定義 企業に対策義務づけへ」)

カスタマーハラスメントが多い会社では、さまざまな悪影響を及ぼす。本記事では、カスタマーハラスメントが起こった時の対応方法や対策を紹介していく。

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カスタマーハラスメントの記事でわかること

カスタマーハラスメントとは(定義)

カスタマーハラスメントとは、顧客や取引先から悪質なクレームや不当な要求をされることだ。「カスハラ」とも呼ばれている。2024年11月26日に厚生労働省の審議会で定義されたものは以下の通りだ。(参考:「厚生労働省“カスハラ”定義 企業に対策義務づけへ」より引用)

  • 顧客や取引先、施設利用者、そのほかの利害関係者が行うこと
  • 社会通念上相当な範囲を超えた言動であること
  • 労働者の就業環境が害されること

上記すべてを満たすと「カスハラ」と判断される。従来、明確に定義するものはないとされていたが、今回の審議会にて定義され、2024年内には取りまとめられるとされている。

カスタマーハラスメントとは

顧客や取引先、施設利用者、そのほかの利害関係者が行うこと

  • 施設:駅や空港、病院、学校、福祉施設、公共施設など
  • 利害関係者:上記施設の近隣に住む人なども含む

直接お客様として接する方以外についても、施設の近隣住民も対象となった。

社会通念上相当な範囲を超えた言動であること

顧客などの言動の内容が契約の内容からみて相当性を欠くものや、手段や態様が相当でないものが考えられる。

労働者の就業環境が害されること

労働者が身体的または精神的に苦痛を与えられ能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど、労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを意味するとしている。

企業が受ける影響

カスタマーハラスメントは、企業や企業に所属する社員に悪い影響を及ぼす。具体的には「会社のイメージダウン」「業績悪化」「離職が多発する」などだ。

真っ当なクレーム・ご意見であれば対応を改善することでより企業や店舗が成長する。しかし、カスタマーハラスメントに当てはまるような暴言などを繰り返し受けてしまうと、社員側が疲弊し仕事を継続できなくなってしまう。企業としてマイナスの面しかないもののため、適切な対応が求められる。

カスハラへの予防策・対応方法

これから法整備されていく中で、企業や組織として今からやっておきたい予防策や発生時の対応策を解説しよう。すべてを取り入れる必要はないが、自社や自店舗にあったものがあれば検討してほしい。

カスハラ対応方法を共有し、マニュアルを作成する

カスタマーハラスメントへの対応方法を社内・店舗内・チームの中で統一しておくことが重要だ。厚生労働省が出している「カスタマーハラスメントが実際に起こった際の対応」として以下のものが挙げられる。(カスタマーハラスメント対策リーフレット、厚生労働省より引用)

項目 内容
対象を明確にして謝罪する - 対象を明確にした上で(例:不快感を抱かせたことに対して)限定的に謝罪する
- 正確に状況が把握できていない段階では、非を認めた発言はせず、事実確認をして社内で判断をしたときに、過失の程度に応じた謝罪をする
状況を正確に把握する - 顧客等が主張する内容を正確に把握する。反論はせずまずは一通り事情を確認する
- 不明確な点や不足情報があれば追加で確認し、勘違いがあれば正しい情報を提供する
現場監督者(一次相談対応者)または相談窓口に情報共有する - 顧客等から確認した情報は、現場監督者または相談窓口担当者に共有する
- 正確かつ迅速に情報を把握するため、現場対応社はできるだけ事実関係を時系列で整理して報告する

基本的に、カスタマーハラスメントは自社側に非がない。そのため、通常のクレーム対応のように話を聞き、相手の思いを受け取った上で代替案を提案するという対応は難しい。そのため、部分的な謝罪はするものの、事実確認にとどめすぐに現場監督者(店長や管理職など)に報告して対応を仰ぐことが良いだろう。

初期対応者が対応をしない、ということではなく適切に事実確認をした後はスピード感を持って報告していくことが重要ということだ。

相談窓口の準備・整備

管理職や店長など、現場レベルだけではなく企業や組織としての相談窓口を設置しておくことも良いだろう。現状ハラスメントなどの窓口がある場合はそこにカスタマーハラスメントの項目を追加し、相談を受ける側に研修や勉強会を実施するなどの対応も必要だ。

カスタマーハラスメントを受けた社員やアルバイトなどすべての方を守るために、現場の忙しさや店長・管理職の不在にかかわらず相談できるよりどころを作っておくことが良いだろう。なお、相談窓口に関しておさえておきたいポイントは以下の通りだ。

産業医やカウンセラーなどの専門家と連携する

産業医やカウンセラーなどの専門家と連携することで、対応した社員の心の健康を保つことができる。カスハラや悪質なクレームを受けた方にはわかるだろうが、思っている以上に精神的な苦痛が伴う。それは対応した時間や内容にかかわらず引きずってしまう場合も多く、やりがいやモチベーションを損なってしまう。

誰もが働きやすい環境を維持するためにも、従業員の心の健康を守るためにも適切な連携と活用できることを社内で共有しておこう。(例:業務内でのカスハラに対して、産業医やカウンセラーとの面談時間を誰もが確保できます。方法はこちらのように案内をするなど)

相談窓口があることを社内に知らせる

相談窓口ができても、誰も使わなければ意味がない。稼働率を上げるためにも、従業員に相談窓口があることを周知すべきだ。相談窓口で行っていることを具体的に示したり、個人情報保護に力を入れたりしていることを伝えると、安心して利用できるだろう。

警察・弁護士への相談を検討する

社内で解決できない場合は、警察・弁護士への相談を検討することも大事だ。解決できない状況を放置すると、被害が大きくなり社内が混乱してしまう。迅速に解決するためにも、最寄りの警察署や顧問弁護士などに相談することが大事だ。

カスタマーハラスメント研修を実施する

クレーム対応研修や、カスタマーハラスメント研修の実施も有用だ。研修を通して、顧客対応を行う従業員にカスタマーハラスメント発生時の対処法をまとめて学ぶことができる。社内の共通認識として必要なことを伝えたり、ロールプレイングを実施したりすると、研修のクオリティが高くなるだろう。

まとめ

会社によっては、1日に何件ものカスタマーハラスメントが発生して、従業員が次々と退職してしまうケースもある。会社を弱体化させないためにも、カスタマーハラスメントに対して力を入れた方がいい。

記事内でピックアップした内容を実施すれば、カスタマーハラスメントが起こってもスムーズに対処できるはずだ。カスタマーハラスメントの多発は、会社の士気を下げる。社内全体の業務効率を落とさないためにも、カスタマーハラスメントの対応に力を入れていただきたい。

この記事の監修者
リスキル事務局
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Q&A
  • 顧客や取引先から、悪質なクレームや要求を受けることを指します。暴言を吐かれたり、脅迫を受けたり、不当な要求を受けたりする恐れがあります。
  • 会社のイメージダウンや、業績悪化を招く恐れがあるでしょう。その他に、従業員の大量離職や安全配慮義務違反に問われる場合もあります。
  • カスタマーハラスメントが起こったときの対応マニュアルをつくったり、研修を行ったりするといいでしょう。従業員が対応できない場合は、他の人がサポートするのも大切です。
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