リスキルラボ 要員計画の概要・流れを紹介【業務の最適化を目指す】

業務改善研修
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自社の目標を達成する上で必要となるのが「人材」だ。必要な人材を揃えないと、会社が掲げる理想を実現するのは難しい。しかし、ただ人材を揃えるだけでは意味がない。そこで必要となるのが「要員計画」だ。

要員計画を立てると、自社に理想的な社内体制が分かる。目標達成までの道のりを描きやすくなり、目標達成までのサポートをしてくれる。要員計画を正しく立てれば、目標達成までの道のりも楽だ。本記事では要員計画の概要を解説しながら、起案~運用までの流れを紹介していく。

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要員計画とは

要員計画とは、事業戦略をもとに決める「人に関する計画」を指す。自社の目標を達成するために立てられるもので、以下4つによって構成される。

採用

部署ごとに必要な人数を算出し、自社にマッチする人材を採用していく。採用説明会を実施したり、ヘッドハンディングを行ったりなど様々な方法がある。採用数や自社で求めている人材を考慮し、採用の仕方を変えていく。

人材活用

人材活用の仕方を考えるのも、要員計画の一種だ。人材には社員などの内部人材の他に、アウトソーシングなどの外部人材も含まれる。自社の業務体制に応じて、人材活用の方法を考えていく。

育成

育成の仕方も、要員計画に含まれる。育成の質が良ければ社員たちの業務スキルは上がり、チームの業務も円滑に回っていく。逆に育成の質が悪ければ、社員が育つまでに時間がかかり、体制を整えられなくなる。

業務改善

無駄な業務があると、要員計画の人数で仕事を回せなくなる。社内の業務を円滑に回すための業務改善の仕方を考えていく。無駄な作業を把握し、社員が働きやすい状態を作る。

要員計画を立てるメリット

要員計画を立てるメリットは以下の通りだ。

合理的な採用活動が可能

要員計画を立てれば、それを実現するために必要な採用人数が分かる。したがって、合理的な採用活動を行うのに役立つ。社員は無駄な行動をとらなくなり、スピード感のある採用活動を展開する。さらに採用活動に関するコストパフォーマンスも良くなるため、無駄な費用を増やさずに済む。

勤務体制の改善

要員計画を立てれば、人員が不足したり余ったりしている箇所が分かる。それをもとに社内体制を変えると、勤務体制の改善が可能だ。勤務体制の改善が進めば、成果を挙げやすい状態ができる。結果、会社の業務成績を向上させるのに役立つ。

長期的な視点で社員教育計画を立てられる

要員計画があれば、それをもとに長期的な視点で社員教育計画を立てられる。たとえば要員計画に「マネージャーが5人必要」と書いてあれば、それを実現するための教育体制を整えることが必要だと分かる。自社に合う社員教育計画を立てられるため、要員計画はあった方が良い。

要員計画の流れ

最後に要員計画を立てるときの流れについて解説していく。

⓵自社の現状調査

要員計画を立てる前には、現状を把握した方が良い。意味のない計画になることを防ぐためだ。この状態だと、要員計画を達成しても自社の課題が解決できない。課題を解決し、自社の状態を良くするためにも現状調査は必要だ。

現状調査時は、下記を重点的に調査すると良い。

現場の人員体制

各現場の在籍人数や、人員体制が適切であるかを調べる。仮に適切でない箇所が見つかった場合は、根拠や理由などを明確にするといい。それを意識すれば、質の高い要員計画を立てられる。

今後の人員推移

社内における、今後の人員推移を調査することも大事だ。入社・退職予定の社員数、年度初めの在籍人数や年度末の在籍予想人数などを調べておくといい。

この数字が分かれば、そのデータを考慮しながら要員計画を立てられる。万が一、要員計画を実行した後に社員の増減が起こっても冷静に対処できる。

自社の経営状態

自社の経営状態についても調べた方が良い。経営状態によって、適切な人員が違うからだ。要員計画を立てる前に経営状態を知っておけば、それをもとに要員計画を立てられる。要員計画を進めたことで、業績悪化になるリスクを抑えるのに役立つため意識した方が良い。

⓶必要な要員を割り出す

現状を調べたら、必要な要員を割り出す。計算方法は、大きく2つに分かれる。

トップダウン方式

トップダウン方式で計算する場合は、予算をもとに適切な人員数を算出する。計算方法は以下の通りだ。

適正人員=(目標売上額×適正とされる人件費率)÷人件費/人

仮に目標売上額が1000万円、人件費率が30%、人件費が20万円だとすると、適正人員は15人となる。目標売上額が大きく、適正とされる人件費率や1人当たりの人件費が小さくなるほど、適正人員は増えていく。

ただしトップダウン方式を採用すると、数字にばかり注目してしまい現場の声が反映されづらくなる。場合によっては社員の反発を招く恐れもあるため、無茶な設定はしない方が良い。

ボトムアップ方式

ボトムアップ方式の場合、業務量をもとに適切な人員数を算出していく。計算方法は以下の通りだ。

適正人員=トータルの業務量÷(標準的な業務量/人×標準勤務時間/人)

仮にトータルの業務量が100、標準的な業務量が5、標準勤務時間が4だとすると、適正人員は5人となる。トータルの業務量が多く、1人当たりの業務量や勤務時間が少なくなるにつれて、適正人員は増えていく。

ただしボトムアップ方式に偏ると、予算や利益を無視した要員計画を立てる原因となってしまう。したがって、トップダウン方式とボトムアップ方式の両者で計算をして、両者の計算結果を見てから、要員計画を立てた方が良い。

⓷スケジュールを決める

要員計画のスケジュールを決める理由は、実行までの流れをスムーズにするためだ。要員を割り出したからと言って、すぐに実行するわけではない。なぜなら要員を割り当てる前に、各部署で準備をしなければならないからだ。

人員が変わる部署であれば、業務のフォーメーションを変える作業が発生する。また、他部署へ異動する社員がいる部署であれば、引継ぎの時間が必要だ。各部署で準備をさせて、要員計画の実行をスムーズに行うためにも、スケジュールは明確にした方が良い。なお、スケジュール決めでは、以下のことが大事だ。

遅れが発生することを考慮しながらスケジュールを決める

要員計画を実行する中で、イレギュラーな事象が発生することも多く、計画通りに進まないこともある。その際、遅れが発生しても大丈夫なスケジュールにすると、臨機応変に対応できるはずだ。予備日を設けたりスケジュールを長めにとったりなど、様々な方法がある。スケジュールを進めるのも楽になるため、意識した方が良い。

現場の声を無視しない

現場の声を無視してスケジュールを決めると、現場の社員は混乱する。業務に支障をきたす原因になるため良くない。各部署の声を聞き、折り合いのつく状況を作りながらスケジュールを立てることで、社員が働きやすい状況を作れる。

様々な単位でスケジュールを立てる

長期のスケジュールになる場合は「月ごと」「週ごと」「日ごと」といった形で、様々な単位でスケジュールを立てるといい。短期・長期スパンで把握できる分、スケジュールの大枠や具体的な中身を把握しやすくなる。その2点を知っておけば、慌てずに行動できるだろう。

⓸要員を調整する

作業を進めていく中で、理想と現実にギャップが発生する場合がある。「当初は10人が最適だと思ったが、作業を進める内に12人必要であることが分かった」「100人が最適だと思ったが、90人で十分だった」というイメージだ。

そのときは、適正化できるように要員を調整していく。この段階で要員を調整すれば、要員計画案を策定する際に無茶な計画を書かずに済む。後々、楽になるため行った方が良い。要員の調整で大切なことは以下の通りだ。

原因を明確にする

原因を明確にすべき理由は、要員の調整に根拠を持たせるためだ。根拠のない調整は、他の社員が納得しない。調整した理由を説明できるように、原因は明確にした方が良い。

要員の調整以外で解決できないか考える

要員の調整以外で、解決できないか考えることも大事だ。要員とは違う場所に原因があるケースもある。要員計画が原因だと決めつけると、視野が狭くなる。それを防ぐためにも、要員の調整以外で解決できる方法がないか考えた方が良い。

⓹要員計画案の策定

要員を調整して人員の最適化ができたら、要員計画案を策定する。要員計画案には、部署ごとの要員決定数・在籍人数などを載せていく。ちなみに、要員計画案の作成で大事なのは誰が見ても分かる資料にすることだ。なぜなら、様々な立場の方が見るからだ。

たとえば5人の承認が必要な場合、5人全員に理解してもらえる資料を提示しないと承認が下りない。この状態が続くと要員計画案の作り直しが何度も発生し、実行までのスピードが落ちる。物事をスピーディーに進めるためにも、誰が見ても分かる要員計画案を作るべきだ。

⓺要員計画案の内容をもとに運用する

要員計画案が可決されたら、内容をもとに運用していく。以下のことに注意しながら運用すると良い。

安易な変更はNG

計画通りに進まなかったときに、安易に変更するのはNGだ。何度も変更すると、社員たちの負担が大きくなるからだ。オペレーションや担当業務が何度も変わり、社員たちのモチベーションを削いでしまう。「計画通りに進めるためにできることがないか」という視点で考えることが大事だ。

PDCAサイクルを回す

PDCAサイクルを活用すべき理由は、運用時の問題点を明確にするためだ。PDCAサイクルの流れは「計画→実行→チェック→改善」となっている。これを回すと、ミスが起こった原因や次に行うべきアクションが分かる。よって、問題点を明確にするのに役立つ。

PDCAサイクルを回すときは、以下のことに注意すると良い。

順序通りに行う

P→D→C→Aの順番で回さないと失敗の確率が高くなる。作業を飛ばしたり順序を変えたりするのは、ミスを誘発するため良くない。PDCAサイクルの運用に支障をきたさないためにも、順序通りに行うことが大切だ。

継続的に回す

PDCAサイクルを1度回すだけで成功することは少ない。改良しながら回し続ければ、各工程の精度が良くなり、質の良いサイクルを回しやすくなる。理想の状態に持っていける状態を作るためにも、継続的に回した方が良い。

PDCAサイクルの目的を明確にする

単にPDCAサイクルを回すだけでは効果は出ない。なぜなら惰性で行動することになるからだ。惰性で行動するとPDCAサイクルを回すことが目的となり、サイクルの質を良くするための努力を怠ってしまう。1つ1つの作業の質を高めるためにも、目的は明確にすべきだ。

まとめ

要員計画を立てないと、社内の問題点や目標達成のためにとるべき行動が見えなくなる。結果、何をすべきか分からなくなり無駄足を踏んでしまう。それを防ぐ効果が期待できる。

また、要員計画があれば合理的な採用活動や業務改善、長期的な視線で業務計画を立てやすいなど、色々なメリットがある。したがって、会社として要員計画はあった方が良い。ちなみに要員計画を立てるときは、以下の4つの視点から考えていく。

  • 採用
  • 人材活用
  • 育成
  • 業務改善

上記の内容を考慮することで要員計画の質が良くなり、会社を強化するのにも役立つ。しかし要員計画は、正しい流れで行わないと計画倒れで終わる。計画~運用までの流れは以下の通りだ。

  • ⓵自社の現状調査
  • ⓶必要な要員を割り出す
  • ⓷スケジュールを決める
  • ⓸要員を調整する
  • ⓹要員計画案の策定
  • ⓺要員計画案の内容をもとに運用する

上記のポイントを抑えれば、自社の目標を達成するのに効果的な要員計画が出来上がる。その結果、業績アップも期待できる。質の良い要員計画を立てて、会社が成長する状態を作っていただきたい。

この記事の監修者
リスキル事務局
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Q&A
  • 人に関する計画のことです。会社の目標を達成するために立てられる計画で「採用・人材活用・育成・業務改善」に分かれています。
  • 合理的に採用活動を進めたり、業務改善を行ったりするのが楽になる。また、長期的な育成計画を立てるときの資料としても役立ちます。
  • 自社の現状を調査し、必要な要員を割り出します。その後、スケジュールを決め、それをもとに要員を調整します。調整が完了したら要員計画案を策定し、それをもとに実行へ移すのが一連の流れです。
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