社内の従業員を成長させたいと思う人もいるだろう。それを実現させる上で重要となるのが「ストレッチゾーン」だ。ストレッチゾーンに入った従業員は、戦力アップしやすくなる。そのため、会社に貢献する従業員に育ちやすくなるだろう。
とは言っても、戦力アップさせるには効率的に成長させることが求められる。そこで本記事では、ストレッチゾーンの概要を紹介しつつ、効率よく成長させる4つのポイントを解説していく。
目次
ストレッチゾーンとは、現状から少し背伸びをすれば達成できるゾーンのことを指す。現状のままではタスクを処理できないため、今までとは違うアクションをとったり、知識を身につけて新しいスキルを習得したりする機会が増えていくのが特徴だ。
過去とは違う場面に遭遇するため、最初は怖気づいてしまうこともある。しかし、それを乗りこえれば成長していくことが可能だ。そのため、自分を成長させられるゾーンだと言っていいだろう。
ストレッチゾーンを細分化すると、3つの段階に分かれる。ここでは、段階別に解説していく。
ストレッチゾーンに入りたての頃は、不安な気持ちを抱える。たとえば、慣れない場面や環境に怖気づいたり、初めて行うタスクに関して緊張を抱えたりする状況が挙げられる。未知の世界に飛び込んでいる分、回避したり現実逃避したりすることが起こりやすい。
第一段階を乗り越えるには、場数を踏んで慣れることが求められる。慣れると自分に自信がつく。そのため、不安な気持ちを抱えることが減るだろう。
不安な気持ちを抱えつつも行動し続けると、学びのフェーズに突入する。学びのフェーズに入ると、目の前のタスクをこなすために、何をすべきか考え出す。
業務と関連することを勉強したり、現場の様子を目で見て覚えたりなど、意欲的な行動をとっていくようになるのが第二段階だ。
ある程度学ぶと、自分のスキルが向上していく。その結果、タスクを上手くこなせるようになり、成長へとつながる。
従業員が成長すれば業務効率が良くなったり、作業の質が高まったりするため、会社に良い影響を与えてくれるだろう。
コンフォートゾーンは、今の状況である程度できるゾーンのことを指す。居心地は良いが、現状のまま対応できるため、何か新しいことをしなくても対処できる。成長意欲が生まれづらいゾーンである分、従業員が成長するのは難しい。
一方パニックゾーンとは、今までとは畑違いすぎて何も対応できない状況になっているゾーンのことを指す。今までとは違うことを体験する面では、ストレートゾーンと同じだ。しかし脳内が混乱しているため、ストレッチゾーンとは違って冷静に対応できない。
よってストレッチゾーンは、コンフォートゾーンともパニックゾーンとも違う状態だと言えるだろう。ちなみにコンフォートゾーンについては、以下のリンクに詳しい内容を載せている。
ここからは、ストレッチゾーンの例を紹介していく。
今までと比較して、高い売り上げ目標を達成しようとするのは、現状のままでは達成できない可能性が高い。今以上の売上を出すには、今までとは違うアクションをとらざるを得ないだろう。
学んだり成長したりすることが求められるため、ストレッチゾーンの例だと言える。
未経験の業務を始める際は、新たな知識を習得する機会が増える。新たにスキルを身につけないと、対処できない可能性が高い。
新しい知識を身につけたり学習する機会が増えたりするため、ストレッチゾーンにいる状態だと言えるだろう。
苦手な業務を克服する際、今までとは違うアクションをとらなくてはならない。行動パターンを変えたり、スキルを習得して別のことに対処できたりする体制が必要とされる。
試行錯誤しながら、さまざまなことを学ぶことになるため、ストレッチゾーンに入っている状況だと言っていいだろう。
ストレッチゾーンに突入するメリットは以下の通りだ。
目標達成までのハードルが多少上がるため、新たなスキルを習得するきっかけが生まれる。すると従業員の学習意欲が湧くかもしれない。
学習意欲が湧けば、効率よく自分のスキルを上げられる体制ができて、成長しやすくなる可能性がある。
今までとは違うアクションを起こす流れが生まれるため、成長スピードの加速も期待できるだろう。
成長スピードが加速すれば、新しいスキルを身につけるまでの時間が短くなるため、別のことに時間を回しやすくなる。結果、仕事の効率化にも役立つはずだ。
ストレッチゾーンでアクションを起こし続けたら、そのうち慣れてくる。結果、ストレッチゾーンの一部がコンフォートゾーンへ移行していき、徐々にコンフォートゾーンが広がる。
コンフォートゾーンが広がれば、居心地の良さを感じる機会が増えて、ストレスが溜まったり頭が混乱したりする状況を減らすことが可能だ。そのため、職場の居心地の良さを感じられるだろう。
従業員がストレッチゾーンに突入しても、成長度合いは人によって違う。どうせ成長させるなら、短時間で成長してほしいと感じる人もいるはずだ。
最後に、ストレッチゾーンに入った従業員を効率よく成長させるコツを解説する。
従業員が成長できる環境を用意する理由は、自発的に成長させる体制をつくるためだ。自発的に成長させれば、上司や同僚が声をかけなくても勝手にスキルが伸びていく。その結果、会社の負担を減らせるだろう。
なお、従業員が成長できる環境を用意する際は、以下のポイントを抑えると良い。
従業員に考えさせる時間を与える理由は、自分事として今後何をすべきか考えてもらうためだ。仮に、考える時間を与えず上司が一方的に話すだけだと、相手から言われたことしかできない従業員になる恐れがある。
すると、さまざまな場面で人任せにする機会が増えて、自発的なアクションをとらなくなってしまう。最終的に成長意欲を奪うことになり、従業員の成長スピードが落ちていく。それを防ぐ意味で、考えさせる時間を与えるのは大事だ。
従業員が成長していくように、会社が支援する体制をつくるのも大事だ。従業員の研修制度を充実させたり、質問しやすいように上司が普段からコミュニケーションをとったりする環境をつくったりなど、さまざまなことができる。従業員や会社の状況やビジョンによって、会社の支援体制を決めることが大事だ。
なお、上司側にモチベーション研修を受けさせることも一つの手段だ。部下がチャレンジしている際のモチベーションをどう管理していけば良いかを理解することで、良い支援に繋がる。
チャレンジの場を与える理由は、自発的にトライできる機会を増やすためだ。新たなことに取り組む機会が増えれば、必然的にさまざまな知識が必要となり、チャレンジせざるを得ない状況ができる。
その結果、学習せざるを得ない状況ができて、ストレッチゾーンで成長しやすくなるはずだ。なお、チャレンジの場を与える際は以下のことを心掛けると良い。
チャレンジさせる範囲を決める理由は、失敗した際に会社でカバーできる状態をつくるためだ。内容によっては、失敗することで会社に大きな損失を与えるかもしれない。
仮にカバーできなかった場合、会社に大ダメージを与える恐れがある。チャレンジに失敗しても会社に影響が出ないようにする上で、チャレンジできる範囲を決めるのは重要だ。
なお、チャレンジできる範囲を決める際は会社としてカバーできる範囲に絞った方がいい。たとえば「AとBの業務全般を任せる」、「Aの業務のうち、①~④までを任せる」といった形で明確にしておけば、アクシデントが起こった際に従業員も咄嗟に対応しやすい。
さらに、チャレンジした従業員もどこまでチャレンジしていいか分かるため、失敗時のリカバリーがしやすくなるはずだ。
会社として失敗を受け入れるのが大切な理由は、一度の失敗でチャレンジを諦めてしまう状況をつくらないためだ。チャレンジする上で、失敗するのは当たり前のことだと言える。
仮に会社が失敗を許容しなかった場合、従業員はプレッシャーに襲われて、チャレンジ精神が失われるかもしれない。そうなるとストレッチゾーンで学ぼうとする従業員が減り、消極的な従業員を生み出す恐れがある。
しかし会社として失敗を許容すれば、次々と行動を起こす体制ができて、場数を踏む機会が増えて、成長スピードは上がっていく。そのため、会社として失敗を受け入れる体制をつくるのは大事だと言える。
ストレッチゾーンに入っている従業員と関わりを持たせる理由は、自然な流れでストレッチゾーンの中に突入できる状態をつくるためだ。ストレッチゾーンで成長できるかは誰から刺激を受けるかで決まると言っても過言ではない。
ストレッチゾーンに突入して成長している人材とつるませると、刺激を受けて「自分も成長していこう」「新しいスキルを身につけよう」とする気持ちが芽生える可能性がある。その状態をつくる上で必要だ。
なお自発的につるむのが苦手な従業員の場合は、上司や同僚がつるませると良い。ストレッチゾーンで成長していく従業員が増えて、従業員の戦力アップに役立つはずだ。
ちなみにつるませる際は以下のことを心掛けると良いだろう。
目に見えて成長している従業員との関わりを持たせる理由は、自分に自信をつけさせるためだ。ストレッチゾーンで成長している人と関わらせると「自分も成長できるのではないか?」と思ってくれるかもしれない。
それがやる気を奮い立たせるきっかけになれば、自分の成長に対してモチベーションの高い状態を創り出す人材が生まれる。結果、ストレートゾーンへ突入した際に効率よく成長できる状態ができて、人材が育ちやすくなるだろう。
違う部署の人と関わらせる理由は、関わらせた際に新しい発見をさせるためだ。同じ部署の人ばかり関わらせると、違う部署の人と関わらせた場合と比べて気付きを得る機会が減る可能性がある。
新しい発見をさせて、今までにはないスキルを身につけなければという気持ちを生み出すためにも大事だ。
強引にストレッチゾーンへ入れようとすると、拒否される恐れがある。拒否されると、自分からストレッチゾーンに入ろうとしなくなり、あえて成長しない道を選ぶ従業員が、増えるかもしれない。
従業員のやる気を削がないためにも、自然な形でストレッチゾーンへ入れることが大切だ。
ストレッチゾーンは、コンフォートゾーンとパニックゾーンの間に存在するゾーンだと思っていただいて良い。なおストレッチゾーンは、3つの段階に分かれる。
ストレッチゾーンに入った当初は不安を感じやすい。しかし場数を踏んでいく内に学習するのがクセになり、最終的には成長できる。そのため従業員の戦力アップを実現させるには、ストレッチゾーンに入らせた方がいいだろう。
しかしストレッチゾーンに入っても、成長スピードは人によって異なる。効率的に成長させるには、以下のことを抑えると良い。
上記のことを意識すれば、従業員を効率よく成長させることが可能だ。無駄な時間を割かないためにも、これらを意識しながらストレッチゾーンで従業員を成長させてほしい。