リスキルラボ クライシスマネジメント(危機管理)とは?リスクマネジメントの意味との違いや、事例も紹介!

クライシスマネジメント研修
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ビジネスの世界では、成功の瞬間もあれば、突然の危機も訪れる。企業が長続きするためには、これらの危機をどう乗り越えるかが鍵だ。その答えの一つが「クライシスマネジメント」である。クライシスマネジメントとは、簡単に言うと「危機に立ち向かい、乗り越えるための経営手法」だ。

この記事では、クライシスマネジメントの基本から、実際の事例、具体的な対応方法までを解説する。ビジネスパーソンはもちろん、これからビジネスの世界に足を踏み入れる学生にも役立つ情報をお届けする。

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クライシスマネジメントとは

危機とは何か

クライシスとは、企業が直面する突発的な困難や問題のことを指す。これには、突然の事故、経営上の大きなミス、外部環境の変動など、多岐にわたる要因が考えられる。危機は予測が難しく、発生したときには迅速かつ適切な対応が求められる。

危機管理の本質

危機管理、すなわちクライシスマネジメントは、危機を正確に認識し、効果的に対応するための手法や戦略だ。事前にリスクを予測し、それに備えるのはリスクマネジメントの領域であるが、クライシスマネジメントは危機が発生したときの「即座の対応」に焦点を当てる。企業の評価やブランドイメージを保護し、さらなるダメージを防ぐためのアクションが求められる。

クライシスマネジメントとリスクマネジメントの違い

リスクマネジメントの定義

リスクマネジメントは、ビジネスやプロジェクトを進める上で予見可能なリスクを予測し、それを最小化もしくは適切に対応するための管理手法だ。主に予防的な措置や事前の計画に重点が置かれる。

クライシスマネジメントとの主な違い

対象とする事象

リスクマネジメントは「予見・予防」を重視し、事前に様々なリスクを特定して対策を立てる。対照的に、クライシスマネジメントは「危機発生時の対応」に焦点を置く。

タイミング

リスクマネジメントは危機が発生する前、つまり事前に行われる活動が中心。クライシスマネジメントは危機が既に発生した後、即座の対応と事後の対応を主眼に置く。

目的

リスクマネジメントの目的は、リスクを予測してそれに対するダメージを最小化すること。クライシスマネジメントは、危機発生時に企業の評価やブランドイメージを守り、回復へと導くことが主な目的である。

  • このように、両者は目的や対応のタイミングなどで異なりますが、どちらも企業の健全な経営には欠かせない要素です。

実在する例を通じて学ぶクライシスの兆候

食品企業の偽装問題

かつて、ある食品企業が使用期限切れの原材料を新しい製品に使用するという偽装問題が発生した。

兆候

社内のコスト削減の圧力や品質管理の疎かさ、そして社員の不正行為への対応の甘さが挙げられる。このような兆候を放置すると、企業の信頼は大きく失墜する。

電子製品のバッテリー問題

大手の電子製品メーカーが販売したスマートフォンが発火する問題があった。

兆候

製品の急な市場投入の圧力、部品の購入先の確認不足などが考えられる。バッテリー問題は、消費者の安全を直接脅かすため、適切な対応が急募となる。

自動車企業の排ガス不正

一部の自動車メーカーが、排ガステストの際に不正な手段を用いることで、環境基準をクリアしていたという問題が発覚した。

兆候

開発期間の短縮の圧力や、過度なコスト削減、さらには組織のトップからの目標設定のミスマッチが挙げられる。企業の社会的責任を果たすことの重要性を再認識させる出来事であった。

銀行のシステム障害

ある銀行で、大規模なシステム障害が発生し、長時間にわたりATMやインターネットバンキングが利用できなくなった。

兆候

古いシステムの継続使用、定期的なメンテナンスの不足、技術者のスキル不足などが考えられる。金融業界においては、システムの安全性と利便性が顧客の信頼を保つために非常に重要である。

航空会社のサービス問題

大手航空会社で、乗客と乗務員との間で発生したトラブルがSNSで拡散し、大きな問題となった。

兆候

乗務員の研修の不足、対外的なコミュニケーションの欠如、企業文化の問題などが挙げられる。航空会社においては、サービスの質がブランドの評価を左右する要因となる。

  • このように、様々なクライシスが発生する前には、多かれ少なかれ兆候が存在します。それを見逃さず、早期に対応することがクライシスマネジメントの鍵となるでしょう。

クライシス対応の基本手順

1. 事実の確認

危機が発生した際の最初のステップは、事の真相を確認することだ。憶測や不確かな情報に基づく対応は、さらなる混乱を招きかねない。具体的なデータや証拠を収集し、事実の整理を行う。

2. 関係者への情報提供

危機に関わる全ての関係者、例えば顧客、従業員、取引先などに、事態の概要や今後の対応策を明確に伝える。情報提供は迅速かつ正確に行うことが求められる。

3. 危機対策チームの設立

危機に専門的に対応するためのチームを設立する。このチームは、情報の収集、対応策の策定、外部とのコミュニケーションなど、多岐にわたるタスクを担当する。

4. 実際の対応策の実行

策定した対応策を実際に実行する。これには、危機の原因となった問題の解決、関連するリスクの管理、再発防止策の導入などが含まれる。

5. 定期的な情報更新

危機対応の進捗状況や新たな情報を、ステークホルダーに定期的に報告する。透明性を保ち、信頼回復のための努力を継続する。

事後対応: クライシス後のリカバリー

1. 徹底的な原因分析

危機が収束した後でも、問題の根本原因を明らかにするための分析が必要だ。具体的な事実やデータを基に、何が起こったのか、なぜ起こったのかを徹底的に調査する。

2. 再発防止策の策定

原因分析をもとに、同じ危機が再び発生しないような対策を策定する。これは、新しいガイドラインや手順の導入、システムの改善、研修や教育の実施など多岐にわたる。

3. ステークホルダーとの関係修復

危機によって損なわれた企業とステークホルダーとの関係を修復するための取り組みを始める。これには、公開謝罪、補償措置、定期的なコミュニケーションの強化などが考えられる。

4. 社内文化や価値観の見直し

危機が組織の文化や価値観に起因している場合、それらを見直し、改革する必要がある。正しい判断を下せる組織風土の構築が、再発防止の鍵となる。

  • 危機の後のリカバリーは、単なる問題解決以上の意味を持ちます。

  • 企業の持続的な成長やブランドの信頼性を保つために、真摯な対応と改革が求められます。

まとめ

クライシスマネジメントは、予期せぬ問題や危機に対応する手法としての役割を果たす。しかし、それだけでなく、企業の信頼性や持続的な成長のための不可欠なプロセスである。リスクマネジメントとは異なり、クライシスマネジメントは事前の対策だけでなく、事後の対応も重視する。実際のクライシス事例を通じて、多くの危機には前兆があることが明らかとなった。早期にこれらの兆候を捉え、適切に対応することが危機を未然に防ぐ鍵だ。
そして、危機が発生した際には、事実の確認からステークホルダーとのコミュニケーション、原因分析と再発防止策の策定まで、一連の手順が求められる。
最後に、危機が収束した後も、事後対応としてのリカバリーが不可欠である。企業としての誠実さや信頼性を保つために、真摯な態度で対応することが大切である。

組織や企業全体で危機対応力を高めるために、クライシスマネジメント研修を実施することも良いだろう。リスクを洗い出し、対応策を考えることで予期せぬ自体に対しても適切に対応できることが期待できる。

この記事の監修者
リスキル事務局
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Q&A
  • クライシスマネジメントは、企業が突然の危機や問題に適切に対応するための戦略的手法です。危機が発生した際に、迅速で的確な対応を行い、企業の信頼性や評判を守るためのプロセスと言えます。
  • リスクマネジメントは、予測可能なリスクを事前に特定し、最小化するための手法です。対照的に、クライシスマネジメントは突然の危機に対処することに焦点を当て、その場での適切な対応と事後のリカバリーを含みます。
  • クライシスの兆候は、例えば急激な変化や品質の低下、社内の不正行為の増加などといった形で現れることがあります。日常業務において異常なパターンやサインに敏感になり、それを無視せず早期に対処することが大切です。
  • クライシス対応の基本手順は以下の通りです。 1. 事実の確認: 事象の真相を確認し、確実な情報を集めます。 2. ステークホルダーへの情報提供: 関係者に対して正確な情報を提供します。 3. 危機対策チームの設立: 専門的なチームを編成し、迅速な対応を行います。 4. 実際の対応策の実行: 対応策を実施して危機を収束させます。 5. 定期的な情報更新: ステークホルダーへの進捗報告を続け、透明性を保ちます。
  • クライシス後のリカバリーは、企業の評判や信頼性を取り戻し、再び安定した状態に戻すために不可欠です。再発防止策の実施やステークホルダーとの関係修復が、将来的な危機を予防し、健全なビジネス運営を支える役割を果たします。
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