近年、凄まじい勢いで発達を遂げているAI（人工知能）。
この先我々の生活や仕事に大きく関与してくるであろうAIだが、人材育成もまたその例外ではない。
そこで今回は、AIがもたらす人材育成の変化について解説していく。
これからの時代を生き抜く企業を作り上げるためにも、人事担当者は本記事を参考にAIの発達に伴った人材育成の変化についての知見を深めてほしい。
近年急速に発達しているAIであるが、その活用には様々なステップが想定されているため、AIがさらに身近に生活や仕事に関与してくるであろう近い将来に求められる人材や能力は非常に多岐に渡っている。
例えば、人工知能に関わる企画職や開発職については、AIからの提案を前提に動いていくことになる。
そのような場面では、人間特有の発想や創造などが強く求められ、従業者としては機械では代替不可能な価値を提供する必要が出てくるだろう。
また、会議や対人の仕事では、課題解決能力や論理的思考力などが一層大切になってくる。
それぞれのカルチャーやビジネスの考え方が異なる組織を受け入れ、互いの意向を尊重しながらも、他者の円滑にコミュニケーションをとる能力が秀でている人こそが、次の時代に活躍できる人材となるだろう。
また、AIの導入を積極的に行なっているようなビジネスシーンでは、人間独自のチャレンジ精神や自ら率先して行動する能力なども必要になるだろうとの予測も上がっている。
これからますますの発展が見込まれているAIであるが、現段階でもできることは非常に多い。
例えば顔認証などの生体認証や音声による文字入力や検索、翻訳や自動車の運転などは、すでに非常に高い正確性での実証がなされている。
さらに最近では音楽やイラストを生成したり、動画やプログラミングを制作したり、会議の音源から重要事項を抽出したりといった活用もされており、こうした分野においてはとうに人間の能力を超えていると言えるだろう。
よって人間には、上記したAIの得意分野を適宜AIに任せながらも、人間にしかできない能力を存分に発揮することが求められる。
具体的には、「創造を必要とするクリエイティブな業務」「高度な人間に対するコミュニケーションを必要とする業務」「複雑で定型化できない業務」「非言語的な業務」が挙げられるだろう。
基礎的な学力や業務遂行能力はAIによって代替可能となるため、それよりもチャレンジ精神や主体性、行動力、洞察力などの人間的脂質の方が大切となると、有識者たちは声を上げている。
また、当然ではあるが、AIを開発・管理するエンジニアは圧倒的に人手不足となっている。
そのため、IT業界の技術者たちについては、複数企業は高い報酬で取り合いをするようにもなると予想されている。
それではここからは、AI時代に必要なスキルについてより詳しく見ていこう。
人工知能やブロックチェーンなど最先端の技術に関する知識は、この先どの業種でも必須となってくる知識だ。
AIの発達に伴ってどの企業もその活用を積極的に行なっていくため、他社に遅れを取らないよう常に知識をアップデートし、情報を収集し続ける必要がある。
ITの発達スピードは凄まじいほどに早く、少しでも気を抜いているとすぐに一昔前のすでに使えない情報だらけになってしまう。
IT関係の知識はエンジニアだけに必要な知識、と一括りにせず、人事担当者であっても、またその他のどの部署に就こうとも、常に学ぶ姿勢を怠らずにいたいところだ。
ここから先の時代に必要となってくるのは、より高度なコミュニケーション能力、具体的にはコーチング技術やコンサルティングスキルが挙げられる。
例えば医療においても、画像解析は人工知能が行うようになるだろうが、病院と接するコンサルタントとしての医者は、当分仕事がなくなることはないだろう。
ほとんどの業務において、AIが職の全てを奪うようなことは想定されにくく、業務の一部を担うことが多いと予想されている。
だからこそ、人間にしかできない強みである高度なコミュニケーション能力を身につけ、AI時代でも淘汰されない人材を目指す必要があるだろう。
コミュニケーション能力とともに、人間独自の能力として想像力や発想力が挙げられる。
今後は、知識の量や学校の成績はAIで代替可能な能力となるため、それらよりも人間としての本質的な能力が問われる時代となってくるだろう。
中でも想像力や発想力は人間独自のもので、AIでもなかなか変えが効かないと言われている。
しかし最近では、芸術などの分野においてもAIが一定以上の結果を収めるようになってきているため、人間はますます独自性のある想像力・発想力を持つように尽力しなくてはならない。
AIの進展はこれまでのIT化・ICT化とは大きく異なり、非定型的な知的業務や複雑な手仕事業務も将来的には代替される可能性が示唆されている。
その中で、人事担当者として社員にはどのようなスキルを身につけさせれば良いのだろうか。
ここでは、AI時代に求められる人材育成について深く掘り下げていく。
平成29年通信利用動向調査によると、AIの普及に対応するために企業が従業員に求める能力は、「論理的思考などの業務遂行能力」が最も割合が高かった。
続いて、「企画発想力や創造性」、「人間的資質」についても、40％以上に企業が従業員に求める能力して挙げた。
これらの能力は、この先AIがますます普及しようとも、変わらず必要となる資質であると言えるだろう。
また、AIの登場によって、業務の効率化や新たな職業が創出されることも予想できる。
例えばAIが企業に導入され、業務効率や生産性が向上した際には時間的な余裕が生まれるため、当該タスクを担当していた従業員は他のタスクを担当できるようなスキルの習得が求められるようになるだろう。
AIによって新たな職業が創出された場合においても、その運用者や従事者は必要となるわけで、ここでも新たな知識の習得が求められるようになる。
具体的にどのようなスキルが必要とされるかは、未だ予測が難しいところではあるが、新たな業務への適応性や積極性、また学習を続ける姿勢などは、この先未来がどうなろうとも必要となってくる能力であると言えるだろう。
企業としては、そうしたAI時代に求められる能力の獲得に向けて、従業員の学習環境や支援制度の構築を積極的に図っていく必要がある。
いくらAIが優秀であっても、それらを適切に扱える人材がいなければ業務改善は見込めない。
これからの時代は「パソコンが苦手だから」と言い逃れすることはできない時代となってくるため、全従業員に対してAIに対する理解と適切な運用方法を教育していきたいところだ。
さらに、AIを扱うだけではなく、積極的にAIの設定を変えたり、AIを構築したりといった技術者の育成も急務である。
IT企業以外であっても、自社内にAIの担当者がいなくてはならない時代がもうすぐそこまできているであろうから、人材の確保とともに、現在いる従業員たちに対するAI関連の教育は必須となるだろう。
非技術者向けのAI教育で大切なのは、「苦手意識を取り除くこと」である。
AIを学ぶにあたり、避けては通れない専門用語や知識は非常に多いため、いかに挫折をせずに概念やアルゴリズムを学び続けるかが重要となってくる。
その解決策として、グループディスカッション形式で楽しみながら学べる参加型の研修を実施している企業もあり、また組み立てたロボットを用いた体験ベースの研修も普及してきている。
社員が積極的・意欲的にAIに携われるよう、人事担当者としては工夫を凝らした教育機会を提供したいところだ。
いかがだっただろうか。
今回は、AIがもたらす人材育成の変化について解説した。
この先のAIの更なる普及に向けて、各従業員は人間独自の発想や創造などが強く求められ、機械では代替不可能な価値を提供する必要が出てきた。
現在AIができることとしては、
・顔認証などの生体認証
・音声による文字入力や検索
・文章の生成
・翻訳
・自動車の運転
・音楽やイラストの生成
・動画やプログラミングの制作
などが挙げられている。
それらを踏まえて具体的にAI時代に求められる人材としては、
・創造を必要とするクリエイティブな業務を任せられる人材
・高度な人間に対するコミュニケーション能力に長けた人材
・複雑で定型化できない業務をこなせる人材
・非言語的な業務を得意とする人材
であると予想された。
さらに、AI時代に必要なスキルとしては、
・人工知能やブロックチェーンなど最先端の技術に関する知識
・高度なコミュニケーション能力
・想像力・発想力
が挙げられ、AI時代に求められる人材育成としては、
・AIの活用技術の育成
・人間固有の能力の育成
・学習制度や支援制度の構築
・AIに特化した研修
などが挙げられるだろう。
人事担当者としては、これからのAI時代を生き抜くスキルを学習する機会を従業員たちに提供する必要がある。
これからますますの発展が予想されるAIであるが、それらをうまく活用して、人材育成と企業の発展に貢献できるよう、日頃からアンテナを張っておくよう心がけておく必要があるだろう。
