リスキルラボ 【管理職向け】目標管理制度を解説。運用するときの手順・ポイントを紹介

評価者研修
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会社で社員に目標を設定させることもある。設定しても達成できなければ意味がない。達成させるには目標管理の仕方が大切になってくる。とは言っても、どのように管理すればいいか分からない方もいる。

そんなときに役立つのが「目標管理制度」だ。これは目標を達成させたいときに活用できる。しかし中身を理解しないと正しく運用するのは難しい。そこで今回は、目標管理制度の概要を解説しながら運用するときの手順やポイントについて紹介する。

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目標管理制度とは

会社で設定している目標を達成させることを目的に、各社員に課した目標を管理することだ。別名「MBO」とも呼ばれている。経営に携わる学者「ドラッカー」がつくった制度として有名だ。

ちなみに目標管理制度の特徴は、上司が一方的に部下の目標を決めないことだ。各社員にふさわしいと思う目標を考えさせる。上司主導で目標を設定しないことがコツだ。

目標管理制度の必要性

ここでは目標管理制度の必要性を3つ紹介する。

1.人はゴールがないと走り出さない

目標の設定・管理をしないで仕事をさせるのは、ゴールがないマラソンコースを永遠に走り続けることと同じだ。マラソン選手はゴールに向かって走る。ゴールまで完走すれば、それが達成感や自分への自信につながり、別の大会に参加するきっかけにつながる。しかしマラソンにゴールが設定されていない場合、どこまで走れば良いか分からない。結果、走るモチベーションは下がる。

仕事においても同様だ。目標が設定されていない中で仕事の指示を出されてもモチベーションを高めるのは難しい。ゴールがあれば、人はそこへ向かって行動していく。この状況をつくるため、目標管理制度は必要と言える。

2.人はゴールがないとバラバラに走ってしまう

目標設定・管理をしないと、各社員が別の方向を向いて行動してしまう。たとえば会社で「コストを抑えて商品開発を行う」という目標が設定されているのに、大量の費用をかけて加工したり、高価な材料を仕入れたりする社員が出てきてしまうと、会社の目標を達成させるのが難しくなる。結果、会社の目標を達成するまでに時間がかかってしまう。

このように目標設定をせずに仕事をすると、各々の行きたい方向へ走っていく。会社の目標を達成させるには、全員が同じ方向へ走るのが手っ取り早い。その状況をつくりやすくするのも、目標管理が必要な理由だ。

3.目標があれば方法も分かる

目標を設定しておけばスタートからゴールまでの道筋が決まっているため、方法やプロセスを見つけるのが容易になる。複数の方法を見つけることができれば、その中から最も効率的な方法を探し出せる確率が上がり、問題解決までのスピードも速くなる。効率的に様々な方法を見つける意味でも、目標管理制度は必要だ。

目標管理制度を導入するメリット

目標管理制度を導入するメリットは以下の3つだ。

1.社員の評価がしやすくなる

目標管理制度を導入すれば、社員の目標達成状況が分かりやすい。よって評価をしやすくなる。「目標のうち8割達成している」「達成まであと2割足らない」など、各社員の状況が分かりやすくなれば、評価の公平さを高めることになる。評価基準について社員から文句を言われる確率を抑える意味でもメリットだ。

2.モチベーションアップにつながる

目標を達成するために、社員自らが自発的に動く機会が増える。結果、モチベーションアップが期待できる。社員達のモチベーションが上がれば、連係プレーができたり業務効率が上がったりして、チームに良い影響をもたらす。結果、職場の士気を高めることにもなる。

3.業績アップにつながる

目標管理制度では業績を良くするための目標を複数設定するため、業績アップにつながる。業績が上がって取引先からの評判が良くなれば、さらなる仕事を生み出す可能性がある。仕事の受注を増やす目的で、目標管理制度を活用してもいい。

目標管理制度を運用する手順

目標管理制度を運用する手順は以下の通りだ。

①社内で課題や問題点を見つける

社内で発生している課題や問題点を見つける理由は、会社にとって価値のある目標を設定させるためだ。会社に利益を与えない目標を設定しても時間の無駄だ。会社のウィークポイントを解消し、より良い状況に持っていくためにも必要な作業だと言える。

ちなみに課題や問題点を見つけるときは、現場の人間からヒアリングするといい。現場に精通している社員に聴けば、潜在的な課題や問題点を見つけられる可能性がある。トラブルに発展する前に解決させる意味でも怠ってはならない。

②目標を設定する

問題点を参考にして、目標を設定し管理していく。ちなみに目標を設定するときは、4つの項目について考える。

  • 能力開発を進める目標
  • 業務を実行させる目標
  • 業務を改善させる目標
  • 数値上の目標

上記の目標をそれぞれ設定することが、会社の目標を達成することにつながる。しかし目標設定のやり方を間違えると、目標管理制度は機能しなくなる。正しく目標設定をさせたいのであれば、以下の方法を使うと良い。

ベーシック法

目標設定の方法の中で、基本的なものとなっている。以下のステップに沿って、内容を決めていく。

ステップ①目標の内容

はじめに達成したい目標の内容を決める。「売上を〇%上げる」、「クレーム件数を〇件にまで減らす」といったイメージだ。

ステップ②達成の基準

次に達成したと認定する基準を決める。「前年と比べて××(商品名)の売上が〇円以上アップすれば達成」「△△に関するクレームが〇件減ったら達成」といったイメージだ。

ステップ③締め切りの設定

いつまでに目標を達成するか締め切りを設定する。「〇年〇月〇日中」、「今年度の決算期末まで」といった形で設けるといい。

ステップ④目標達成までのスケジュール

締め切りをもとに、目標を達成するまでのスケジュールを立てていく。1か月後には「目標のうち5割達成」、3か月後には「7割達成」というように、細かくスケジュールを組ませるのがコツだ。ゴールまでの流れが分かれば、目標達成までの通過点も決めやすくなる。

SMART

5つの視点を意識しながら、目標を決めていく方法だ。

  • 誰もが理解できる内容(Specific)
  • 目標の進捗状況を数値化できる内容(Measurable)
  • 達成できる可能性がある内容(Achievable)
  • 会社の目標と関連性のある内容(Relevant)
  • 期限を設ける(Time-bound)

失敗したときに言い訳される確率を減らすためにも、全ての要件を満たしている目標を設定すべきだ。

マンダラチャート

マンダラチャートとは自分の目標を達成させるために、マスの中に何をすべきか記入していくものだ。野球選手の大谷翔平選手が、高校時代に使っていたフレームワークとして注目された。マスの中に記入した内容を意識しながら過ごすことで、自分の目標を達成させるフレームワークとなっている。目標達成を実現させる行動が書いてあるため、何をすべきか把握しやすい。前もってやるべき行動を抽出したい方向けの、フレームワークと言える。

③進捗状況を確認する

定期的に進捗状況を確認して、予定通り進んでいるか確認する。定期的に進捗状況を確認して目標を達成するためのアドバイスを行えば、大幅な軌道修正が発生する確率を減らせる。業務を効率的に進める上で必要な作業なのだ。

社員の中には軌道修正が必要であるにも関わらず。気付かないケースがある。進捗状況を確認しなかった場合、軌道修正が必要なのに放置してしまい、目標を達成させるのが難しくなってしまう。その状況を回避するためにも、定期的に進捗状況を確認すべきだ。

④フィードバックを行う

最終的な結果が出たらフィードバックを行う。目標の達成状況問わず、気付いたことを話す。それが新たなアイデアの発想や、気付きを得ることにつながる。別の場面で活かしてもらったり、社員のスキルアップを実現させたりする意味でも行うべきだ。

目標管理制度を運用するときのポイント

最後に目標管理制度を運用するときのポイントを5つ紹介する。

1.企業のビジョンを把握させる

企業のビジョンを把握させないとピントがずれた行動をとってしまい、目標達成が遠ざかる恐れがある。社内全体で設定している目標を達成させるには、企業が求めている将来像や、その目標を掲げている理由など、分かりやすく伝えることが大事だ。すると社員は何のために動くべきか分かるようになる。結果、企業の気持ちを汲み取った社員が意味のある動きをしてくれて、目標達成に近づくのだ。

2.誰でも達成できそうな目標を設定させない

社員の中には簡単な目標を設定し、達成しようとする場合がある。しかし、誰でも達成できる目標を設定しても、会社のためにならない。その目標では、社員のスキルや会社の業績を上げるのは難しい。

そのため、頑張れば達成できる目標を設定すべきだ。ただし難易度が高すぎる目標も、社員のモチベーションを落とすことになるため気を付けた方がいい。

3. PDCAサイクルを何度も回させる

PDCAサイクルとは「計画を立てる→行動する→結果の確認→確認した内容を参考に改善する」という順番で構成される流れのことだ。目標を達成するには、何度も挑戦することが不可欠になる。PDCAサイクルを何度も回せば反省点が多く見つかり、改善する回数を増やせる。結果、スピーディーな対応ができるのだ。目標達成までのスピードを上げたければ、意識すべきだ。

4.ツールを活用する

たとえば、「Goalous」と呼ばれるサービスを使えば、社員の業務内容や目標の進捗状況を確認できるため、社員の状況を把握するのに役立つ。また「MINAGINE」の人事評価システムでは、目標に関するデータや人事評価に関するデータなどをクラウド上で一元管理できる。別々のシートで人事関連のデータを保存していた企業もクラウド上にデータを移せば、管理の手間が減るため業務効率の改善が期待できる。

ツールを活用して管理の手間を減らすことができれば、別の業務に時間を割ける。ツールの導入によって、業務時間を大幅に削減できた企業もあるため検討するといい。

5.フォローをする

目標を達成するために、何をすべきか分からなくなるケースもある。そのときは、周りの同僚がフォローすべきだ。以下2つのことに気を付けるといい。

①社員の話を聴いてあげる

自分の話ばかりしてしまうと、社員が委縮して話せなくなったり、空気感が悪くなったりする恐れがある。社員が話しやすい雰囲気をつくるためにも、威圧的な態度をとらずに聴いてあげることが大事だ。

②社員によってフォローの仕方を変える

フォローされたときの受け取り方は、社員によって変わる。仮にAさんには受け入れられたフォローの仕方でも、Bさんには拒絶されるケースもある。

フォローの内容が同じでも、人によって捉え方は様々だ。真剣に話を聴いてもらうためにも、相手の性格や状況を考えながら、フォローの仕方を変えるべきだ。

まとめ

目標管理制度の導入は、社員が仕事をするためのモチベーションを上げる。目標設定されていれば、社員は何に向かって業務を進めるべきか分かるようになる。結果、チームにまとまりが出てきて業務効率のアップが期待できる。しかしその状況を実現させるには、正しい手順で目標管理制度を運用することが大事になる。

① 社内で課題や問題点を見つける
② 目標を設定する
③ 進捗状況を確認する
④ フィードバックを行う

上記の流れを把握しておけば、目標達成までの道のりも容易になる。目標を達成する機会が増えれば業績アップが期待できるため、会社の成長につながる。マネジメントの面でも役立つはずだ。その他に目標管理制度を効果的に運用するポイントもあるため紹介する。

  • 企業のビジョンを把握させる
  • 誰でも達成できそうな目標を設定させない
  • PDCAサイクルを何度も回させる
  • ツールを活用する
  • フォローをする

なお、評価者研修などを受けることで、目標を設定させるだけではなく、進捗状況の効果的な確認方法や管理方法を学ぶことができる。ぜひ検討してほしい。

社員に目標達成に向かって動く理由を知ってもらったり、周囲の同僚が助け合ったりすることが、目標管理の精度を上げるコツだ。社員にやる気を出してもらうためにも、力を注いでいただければと思う。

この記事の監修者
リスキル事務局
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Q&A
  • 社員が設定した目標を管理しながら、達成に導いていきます。各社員が持つ目標を達成させていき、最終的には社内全体の目標達成を目指すための制度です。
  • 社内で起きている課題や問題点を見つけて、それを解消するための目標を決めます。その後、定期的に進捗状況を確認しながら目標を達成するためのアドバイスをします。全工程が終了したらフィードバックを行い、次に活かしてもらう流れとなっています。
  • 企業のビジョンを把握させて、社員に会社の目標達成を押し上げる動きをしてもらいます。PDCAサイクルを何度も回させたり、ツールを活用させたり、フォローを行ったりすることで達成までのスピードを上げていきます。
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