リスキルラボ 【新人教育担当者向け】いいメンターとは?

メンター研修
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新入社員、若手社員の離職防止のためにメンター制度は大切だ。導入をしたことで離職率が改善した企業は多くある。しかし、その一方で導入をしてもなかなか効果が出ない企業も多くある。その違いは先輩社員がメンターの役割を正しく理解し、いいメンターになれているかどうかだ。

そこで今回はメンターの役割を紹介しながら、いいメンターの基本条件、必要なスキルを解説する。

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メンター制度の概要

メンター制度とはメンティ(相談者)の相談事に対して、メンター(助言者)が助言やアドバイスを行うことだ。定期的に面談を設け、メンティの悩みを解消していく。ちなみにメンターを決めるときは、メンティと社歴や年齢が近く、違う部署の従業員を配置することが一般的だ。

メンティは配属されている部署で相談しづらい内容を相談できるため、気を遣って質問できていないメンティにとっては、役立つ制度だ。

メンター制度の目的

新入社員、若手社員の離職防止が大きな目的だ。気軽に何でも相談できる相手であるメンターの存在は、新入社員、若手社員にとっての「安心できる存在」となる。話を聴くだけでも、そのような場を設けるだけでも良いのだ。そうすることにより、離職防止やメンタル悪化を防ぐことができる。

メンター制度が注目されている理由

ここでは、メンター制度が注目されている理由を2つ紹介する。

1.人間関係の希薄化

仕事とプライベートの切り分けを明確にしたい、という価値観を持つ組織やビジネスパーソンが増えつつある。そのため、上司、メンバーも新入社員、若手社員に対してどこまで踏み込んでよいかわからず、従来のような社員同士のコミュニケーションをする機会や頻度が減っている。

結果、新入社員、若手社員は「誰に相談すれば良いかわからない」という状態に陥りがちだ。

2.ロールモデルの不在

従来は、OJT もメンタリングも「新人教育担当」としてひとくくりにされていた。しかし「何でも話せる、頼れる先輩」「良い先輩」という、かつてはどの職場にも一人いたロールモデルが、多様な働き方や価値観を大切にする風潮や終身雇用制度の崩壊により、減少している。

そのため、直属の上司や先輩は OJT として「業務に対する技術や知識を教える」役割を担い、メンターは「何でも気軽に話せる存在」という役割で、チームで新入社員、若手社員を育成するという流れになった。

メンター制度とOJTの違い

メンター制度とOJTの違いはその目的にある。メンター制度の目的は、相談者が抱えている仕事の悩みや相談事に対して回答することだ。それに対しOJTは、新入社員、若手社員が業務上で必要なスキルを身につけてもらうことを目的としている。よってメンター制度とOJTは違うものだと言える。

メンターの役割

メンターの役割を3つ紹介する

1.育成をサポートする役割

メンターとして、新入社員、若手社員が課題や困難に立ち向かえるよう、相談を受けることが求められる。話を聴くだけでもよい場合もあるが、具体的な対応が求められる場合、相談すべき人を紹介する役割も担う。新入社員、若手社員が声をかけづらい他部署の上司や、必要なメンバーへの架け橋になり、育成をサポートする。

2.応援者としての役割

新入社員、若手社員の安心できる存在として、困っていることや落ち込んでいるときに温かくサポートすることが求められる。 失敗についても、「次同じような失敗をしないために、何ができるか」を相談の中で問いかけ、自身の中から答えを導く手助けをすべきだ。

3.ロールモデルとしての役割

メンターは、新入社員、若手社員にとってのお手本であることが求められる。新入社員、若手社員は、いつもメンターがどのような振る舞いをしているかを見て、それを参考に行動や発言を行うべきだ。

お客様と接するとき、企業との打ち合わせのとき、会議に参加するときなど、あなたが何らかの役割を担って行動しているとき、新入社員、若手社員から「先輩ならどのようにするのだろう」と見られている意識するといい。

当たり前のことだが、真似されて困らないように、行動や言動を適切なものにすることが大切だ。

メンターになるメリット

新入社員、若手社員側だけでなく、メンターになる先輩社員にもメリットがある。メンターとしてのメリットを一言でいうと、「メンター自身がスキルアップできる」ということだ。ここでは4つのメリットを紹介する。

1.教えるために学び直せる

メンター自身がわからないことを曖昧に答えると、新入社員、若手社員からの信頼を失ってしまう。疑問に正確・適切に答えるために、今まで以上に学び、周囲と関わり合うことが求められる。

2.相手の視点で物事を考えられるようになる

相手が「わかる・納得する」ために、相手の視点で物事を考えることが必要だ。これは、今後の営業やお客様対応、上司へのフォロワーシップなど様々なスキルを身に付ける上で、前提となるスキルだ。

3.コミュニケーション能力が高まる

教えるためにはコミュニケーション力が必要になるため、相手の話を聴き、わかりやすく伝えるスキルが高まる。

4.マネジメントに必要な、働く上でのモチベーションマネジメントを学べる

コミュニケーションへの工夫を経験することで、相手の働くモチベーションに合わせた行動や声かけができるようになる。そのため、今後組織をマネジメントする際に必要となる視点が学べるのだ。

いいメンターの基本条件

新入社員、若手社員としてメンターに求めるものは多くある。離職防止のためにはいいメンターになる必要がある。ここではいいメンターの基本条件を3つ紹介する。

1.相手に興味を持つ

まずメンター自身が相手に興味を持つことが大切だ。 興味を持つことにより、「相手は何が知りたいのか」「何に困っているのか」「声かけの仕方」などに気を配ることができる。

こちらが思っている以上に、自分に対して関心を持っているかどうかは伝わるものだ。

2.コミュニケーション能力がある

いいメンターとは、相手から信頼されているものだ。信頼し合えるメンタリング関係には、言語的なコミュニケーション能力が不可欠となる。そもそもコミュニケーションとは、「伝達という行為を通して情報を共有し、人と人がわかり合えること」を意味する。

メンタリングはコミュニケーションそのもので、最も重要なスキルと言える。

3.組織と人についての十分な知識がある

新入社員、若手社員が職場に適用する能力を身に付けるためには、職場についての知識が必要だ。それは、その会社に属している人から教わらなくてはならない。メンターは、自分の経験だけでなく「会社の目指している方向」について理解し、それに沿った指導を行う必要がある。

4.良いメンターとなるために学びを深めている

メンター研修を受ける、メンターとして必要なコミュニケーション方法を改善するなど、メンターとなるために日々学んでいる方は良いメンターと言えます。

より身近な存在としてサポートするメンターは、メンティ側としても大きな影響力を持つ存在です。メンターが模範的な考え方や行動、適切な面談対応ができている必要があります。

いいメンターになるために必要なスキル

いいメンターの基本条件を紹介してきたが、ここからはいいメンターになるために必要なスキルを2つ紹介する。

1.相談を正しく受けられる

メンターとしての役割が最も発揮できるのが、相談を受けるときだ。相談を受ける際の注意点を4つ紹介する。

①メンタリング守秘義務の確認

信頼関係構築のため、メンタリングにて知り得た情報、話した内容等をメンターが第三者に口外しないことが、相談を受ける前提だ。 第三者に相談した方が改善に向かう場合でも、必ずメンティに確認してから話すようにする。

②不調のサインに気づく

メンターは、相手が「いつもと違う」ことにいち早く気づくことが大切だ。 もちろん、メンティから積極的に質問や相談がくる場合はそれに対応すればいいのだが、先輩に直接相談にいくことは、特に新入社員、若手社員にとって難しいものだ。

メンターの方から新入社員、若手社員の変化に気づき、声を変え、相談をしてもらうように促すことが理想となる。日頃からコミュニケーションや観察をしていなければ変化に気づくことはできないため、常に気に留める姿勢を持つといい。

③話の中心は新入社員、若手社員であることを忘れない

主役はあくまで新入社員、若手社員であることを心に留めて、相手が話しやすい問いかけをすべきだ。 相手から質問がない限り、あなた自身の話は極力、控えるといい。意見やアドバイスを求められた場合も、棚卸しで確認した自分の経験を「あくまでも選択肢の一つ」として話すべきだ。

④相談を受ける環境にも気を配る

ちょっとした話だとしても、周囲に聞かれると本人が話しづらそうと感じたら、環境を整えるといい。プライバシー保護の面でも、相手が安心して話ができるよう、外部との音・視界が遮断されることが望ましい。

座る位置は、正対より 90~120 度くらいの位置に座る方が、緊張感を与えにくいといわれており、 座る距離も相手に配慮し、1m 程度は離れるようにするといい。

2.フィードバックを正しくできる

相手の話を傾聴し、課題が明らかになった場合、フィードバックを行うといい。正しいフィードバックを行うことは、新入社員、若手社員の行動を促す効果がある。

フィードフォワードという手法を使うと、相手に動機づけをよりすることができ、次回同じ行動への改善を促すことに繋がる。フィードフォワードをする際のポイントを4つ紹介する。

①前向きなアイディア を伝える

行動や結果の改善点や誤りを指摘するのではなく、時、行動や結果から未来の解決に向けた視野でコメントをするといい。

②客観的に伝える

主観的に伝えるとメンターの主観が入っているため、相手は傷つき自信を失うことがある。感情抜きに起こった行動に対して、次どうすれば良いかの指摘があるため、相手のプライドを傷つけることなく伝えられる 。

③解決への手段に着眼点を置く

問題、欠点に着眼点を置くのではなく、今度からこうしようと未来に向けてするべきことを教えるといい。

④助け合いの考え方を持つ

上下関係など関係性を重視するのではなく、相手と助け合っている意識を持つといい。「教える」ではなく、相手の心に「寄り添う」存在であることを忘れないようにすべきだ。

まとめ

新入社員、若手社員の離職防止のためにメンター制度は大切だ。
しかし、先輩社員がメンターの役割を正しく理解し、いいメンターになる必要がある。

メンターの役割は以下3つだ。

1.育成をサポートする役割
2.応援者としての役割
3.ロールモデルとしての役割

上記の役割を意識した上で以下3つがいいメンターの基本条件となる。

1.相手に興味を持つ
2.コミュニケーション能力がある
3.組織と人についての十分な知識があること
4.良いメンターとなるために学びを深めている

また、いいメンターとして以下2つの能力も身に付けておきたい。
1.相談を正しく受けられる
2.フィードバックを正しくできる

新入社員、若手社員に長く働いてもらうためにも、メンター制度を有効活用して人材の確保に努めていただければと思う。

この記事の監修者
リスキル事務局
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Q&A
  • 若手社員の離職防止が大きな目的です。気軽に何でも相談できる相手であるメンターの存在は、新入社員、若手社員にとっての「安心できる存在」となります。
  • 相手に興味を持つこと、コミュニケーション能力があること、組織と人についての十分な知識があることです。
  • メンティの相談を正しく受けられることと、相談を受けた後、メンティに正しくフィードバックできることです。「教える」ではなく、相手の心に「寄り添う」存在であることを忘れないようにしましょう。
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