新入社員の心得を設定している企業もあれば、そうではない企業もある。新入社員が目指すべき姿がはっきりとし、仕事のパフォーマンス向上につながるため、新入社員の心得は設定しておくべきである。
ところが、新入社員を育成する先輩社員の中には、どのような内容を新入社員の心得として設定すべきか分からない人もいるだろう。
本記事では、新入社員が会社側に期待されていること・新入社員の心得を紹介する。指導する先輩社員側はもちろん、今年新人として配属になった方にも読んでほしい内容だ
はじめに、新入社員が会社側に期待されていることを3つ確認する。
仕事をする上でコミュニケーションをとることは、最重要項目だ。なぜなら一人でできる仕事には限界があり、多くの人たちと関わって仕事をする必要があるからだ。
たとえば新入社員が他の社員と上手くコミュニケーションをとれない場合、仕事が止まったり、トラブルが発生したりして、他の社員に迷惑をかけてしまう可能性がある。
そういったことにならないよう、新入社員は周りと積極的にコミュニケーションをとるべきだ。なおコミュニケーションをとるときは、以下5つの内容を意識するといい。
話の脈絡と関係ないことを話したり、相手との会話がかみ合わなくなる恐れがあるため話はしっかりと聞くべきだ。話を聞いていないことを相手が分かると、相手を不快な気持ちにさせることになる。
共通の話題があれば、盛り上がりやすい。出身地に関することやグルメなど、お互いの共通点がないか事前に調べておくといい。共通の知り合いに聞けば、情報が手に入ることもある。
もし事前に調べられない場合は、会話の中で共通点を見つけていくようにする。相手の話を聞きながら、どのような共通点を持っているか予想しながら話を進めていくといい。
質問は、相手に興味を持っていることのアピールになる。ただし質問をするときは、相手を不快にさせないことが重要だ。たとえば「プライベートについて聞かれるのは嫌」「過去の経歴に関する質問には答えたくない」など、質問によっては相手を不快な気持ちにさせることもある。相手が答えやすい内容の質問をすることが大事だ。
話のスピードを合わせれば、相手は心地よく話せる。心地よさを感じれば、その場の空気感が良くなり、距離感を縮めやすくなる。なお楽しい話題であれば普段と比べて会話のスピードは速くなり、真面目な話題や相談事の場合はスピードが遅くなる傾向がある。
多くの場合、第一印象は視覚から得る情報によって決まると言われており、その中には恰好も含まれている。たとえばシミやシワがついている服を着ると、不潔な印象を与えてしまいコミュニケーションをとりにくくなる原因になってしまう。つまり清潔感のある恰好は大切だ。
新入社員は苦手なことに挑戦し、行動することを求められている。新入社員の場合、業務経験が浅く知識が身についていないことが多いため、苦手なことに対峙する機会も多い。苦手なことに挑戦をするのは大変だが、長い目で見ると3つのメリットがある。
苦手なことに取り組めば、仕事のスキルアップにつながる。苦手なことが克服できるだけではなく、他の業務の理解にもつながる。社内で活躍できる人材に育つために必要なことだ。
一見難しい業務でも「思ったよりも取り組めた」「もっとできるかもしれない」と思えれば、自分の自信につながる。
苦しい場面を知っておけば、相手が苦労しているときの気持ちを理解しやすい。そのため、部下や同僚に対し、自然と優しい言葉をかけられるようになる。助け合いの精神を持つ意味で大事だと言える。
目標を自らかかげ、達成するまでやりきる気持ちも大事だ。新入社員は職場での経験が少ないため、一筋縄でもいかない業務が舞い込んでくることもある。そこを乗り越えることが新入社員には大切だ。
先輩社員の中には新入社員時代の辛い業務を乗り越えられたため、社内で活躍できる人材に育った、と答える人もいる。とは言っても、目標をかかげてやり切ることに魅力を感じない新入社員も存在する。その場合は以下3つの方法を使い、新入社員がやりきれる流れを作るといい。
いきなり大きなことからやらせるのではなく、小さなことからやらせてみる。作業量が少ない業務をさせたり、難易度が低い業務のみを任せたりするイメージだ。慣れていけば少しずつ業務量を増やしたり、難易度が高い業務へ移行したりすればいい。すると新入社員は心が折れることなく、作業をやりきれるはずだ。
作業をやりきったときに、どんな希望があるのかイメージしてもらうことも効果的だ。「〇〇の業務で役立つ」「数年後、部下を抱えたときにタメになる」など、やりきった後に期待できる効果を伝えておけば、新入社員の脳内で良いイメージが作られる。結果、目標に向かって頑張ることにつながる。
同じ目標の社員を周囲に置いておくのも効果的だ。他の社員がやっている姿を見せれば、新入社員もやる気が出て、目標に向かって動いてくれるかもしれない。
ただし同じ目標の社員を周囲に置くときは、相性のチェックを忘れてはならない。相性が悪い社員を置くと仕事のモチベーションを下げる恐れがあるためだ。
ここまでの会社側が期待する新入社員の姿をふまえ、新入社員の心得として設定すべき5つの心得を紹介する。
会社は組織だ。個人の意見と組織の意見が異なったとき、外部に発信すべきは組織の意見だ。お客様から見れば、新入社員かベテラン社員かは重要ではない。新入社員の発言も会社代表としての発言として捉えられる。組織の代表としての意識を常に持つようにすべきだ。
組織は階層になっている。それぞれの階層によって役割が異なる。全体を見て、自分がどこの階層にいるのか意識をし、何を求められているかを理解した上で、仕事をすべきだ。
組織において明文化されたルールは厳守しなければならない。暗黙知として蓄えられ、明文化されていないルールも多々あるが、これもしっかりと守っていく必要がある。
また、ルール以上に「モラル」が大切だ。企業の不祥事が連日様々なニュースとして取り上げられているが、多くはモラルが守られていないケースだ。保身のための行動は後でより大きな損害をもたらす。
ルールを守り、モラルを伴った行動をすべきだ。
仕事を開始すると「自分の考えとは違う」などという事案にぶつかることはよくある。しかし、指示を無視して行動することは組織人として許されない。「盲目的に上司に従え」という話ではなく、反対意見があれば明確にその意思を伝えるべきだ。多くの場合、上司の指示が正しいのが現実だ。新入社員の指摘が正しいこともありますが、多くはない。素直に一度受け取って、考え、その上でやはり納得がいかない部分があれば再度確認をするといい。
「でも」「しかし」からすぐに反論を開始しても、いい結果には繋がらない。
職場の人間関係を作っていく上で大切だ。反対に愚痴や悪口を言わない人には信頼が生まれ、よりよい仕事やよりよいメンバーが周りに集まってくる。多くの人と関わる以上、苦手な取引先や上司・同僚がいるのは仕方がないことだ。社会では、愚痴や悪口が多い人の周りからは人が離れていく。
会社側は新入社員に対して、以下の3つのことを期待している。
1.周りと積極的にコミュニケーションをとる
2.苦手なことでも挑戦し、行動する
3.自ら目標をかかげ達成するまでやりきる
会社側が期待する新入社員の姿をふまえ、新入社員の心得として設定すべき心得は以下5つだ。
1.組織の代表という意識を持つ
2.組織の構造を理解する
3.ルールを守る
4.上司の指示に従う
5.愚痴や悪口を言わない
新入社員の心得を設定しておけば、新入社員は目指すべき姿がはっきりとし、仕事のパフォーマンス向上につながる。多くの企業が新入社員研修でこれらを扱うが、入社した後、3ヶ月後には忘れてしまっていることも多い。新入社員フォローアップ研修などで、入社3ヶ月後~1年以内に振り返ってもらうこともよいだろう。
心得を習得した新入社員は、真剣に仕事と向き合って一生懸命働いてくれる。新入社員の成長を後押しする意味でも、研修や普段の指導の中で心得を伝えていくようにしよう。