近年では働き方の多様化に伴い、研修手法にも変革が求められています。そのような中で、eラーニングは場所や時間に縛られずに学習できる新たな手段として注目を集めています。
本記事では、企業研修で広く活用されるeラーニングについて、その基本から導入・運用までを解説します。
eラーニングとは、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの情報技術(IT)を活用して行う学習方法の総称です。
受講するビジネスパーソンとしては、時間や場所にとらわれずに学習を進めることができ、限られた時間で多くの社員に学習をしてもらえるということがメリットです。
企業にとって特筆すべき利点はコスト削減効果と研修内容の標準化です。多拠点を有する企業ほど、一カ所に集める際の交通・宿泊費などが不要になるため、経費圧縮につながります。また、動画視聴の有無など学習進捗を研修担当者側で管理しやすいなど、管理面としてもメリットが多くらいます。
eラーニングには、大きく分けて以下3つの種類があります。
用意された教材(動画、テキスト、音声など)に、学習する側が好きな時間にアクセスし、自身のペースで学びを進める形式です。本記事を作成しているリスキルeラーニング講座などの研修会社が用意する教材やコースを導入企業が利用するのみのため、手間がないことが良い点です。受講者側としても動画やテキストさえあればいつでも学習を進められるため、ビジネスパーソン向けのeラーニング形式として最適と言えます。
一方で、この形式のeラーニングではリアルタイムで講師が存在しません。そのため、質疑応答への対応や疑問点をすぐに解決できないというデメリットもあります。
リアルタイムで講師が存在しており、オンライン上で講義・セミナーを実施する形式です。対面での研修をオンラインで実施する形のため、質疑応答に即座に対応してもらうことができます。ITを活用しているため、広義ではeラーニングと言えますが、「オンライン研修」として売り出されていることがほどんどです。
eラーニングだけで学習を完結させるのではなく、対面研修や実習なども組み合わせる方法をブレンディッド・ラーニングと呼びます。
オンライン学習と対面学習を組み合わせることで、高い学習効果が期待されます。(例:事前にeラーニングとして動画を視聴・課題を提出した後、対面形式のワークショップに参加し意見を交換するなど)双方のメリットを兼ね備えているため、学習効果は高いことが特徴です。一方で、忙しいビジネスパーソンにとっては負担が大きいという面もあります。
eラーニングを導入する際に気をつけたいポイントを解説します。すでに導入している企業様の場合にも、以下のポイントが網羅できているかを確認してみましょう。
何のためにeラーニングを活用して研修を実施するかという目的を明確にします。目的が曖昧なままで導入してしまうと、コンテンツの方向性や仕組みが社員側の求めるものと合致せず、研修効果が十分に発揮されない場合があります。
「講師を呼ぶ手間があるからとりあえずeラーニングで動画を視聴させよう」「コストをそこまでかけられないため、eラーニングで良いだろう」という形で導入をするのではなく、企業として導入の目的を明確にしたうえで適切な研修会社やツールを選択することが推奨です。
研修をスムーズに進めるためには、まず受講者が安定したネットワークにアクセスできることが欠かせません。動画やオンラインテストなどを利用する場合、通信速度や使用デバイスのスペックを確認しておきましょう。
特に在宅勤務が一般化している企業においては、受講者によって通信環境にばらつきがあることを意識する必要があります。必要に応じて会社貸与の端末やモバイルルーターなどを準備し、学習機会を均等に提供できるよう取り組むことが大切です。
また、スマートフォンのみでの受講を想定する場合は、操作画面や教材デザインの最適化が必要となります。研修会社に依頼する場合はこのあたりを網羅できているかを確認しましょう。
多くの企業がeラーニング研修を提供しています。それらを比較する際におさえておきたいポイントを解説します。
研修を成功させるためには、受講者が直感的に操作できるUIが必須です。ログイン手順や学習画面、テストへのアクセスなど、一連の操作フローが分かりやすいほど受講者のストレスが軽減されます。
サンプル画面やお試し期間を設けている場合もあるため、それらを活用しながら操作性を確認しましょう。
ビジネススキル、語学、ITスキルなど、幅広い教育分野に対応していると、受講者の興味や業務内容に応じた学習コースを柔軟に提供できます。特に大企業の場合、部門ごとに必要とされる知識が多様なため、豊富なコンテンツライブラリを持つサービスを選ぶメリットは大きいです。
また、最新の業界動向に合わせて迅速にコースを更新できるかも重要なポイントです。常に新しい情報を提供できる体制を整えることで、学習者が変化の激しい分野でもスキルをアップデートしやすくなります。コンテンツの質や更新頻度が低いシステムでは学習意欲が低下しがちです。事前にカリキュラムやテーマを確認してから判断しましょう。
学習の進捗を一元管理できる機能があれば、研修担当者が受講率や達成度を把握しやすく、フォローアップや追加サポートの判断がしやすくなります。
また、自動通知機能などを利用して学習が滞っている受講者にリマインドを送るような仕組みも効果的です。学習者側にとっても、自分の進捗状況がわかりやすく表示されると達成目標を明確に持ちやすくなり、学習意欲を維持しやすくなります。テスト結果や修了証の発行などが自動化されていると利便性が高まるでしょう。
一方で、高度な管理機能を利用するには追加費用が発生する場合もあります。企業の運用体制に合った機能レベルを見極め、コストとのバランスを検討することが大切です。
eラーニング運用中に発生する技術的トラブルや学習者からの問い合わせに対して、どれだけ迅速かつ的確に対応できるかは非常に重要です。サポート窓口の対応時間や専任スタッフの有無などを事前に確認する必要があります。
せっかく多機能なシステムを導入しても活用方法がわからなければ宝の持ち腐れになりかねません。操作ガイドや研修担当者向けの勉強会など、導入後のフォローアップが手厚いほど運用がスムーズになります。
最終的には、サービス内容の充実度と価格のバランスを見極めることが肝要です。短期間で大きな成果を狙うのか、長期間でコツコツと効果を積み上げるのかによっても最適なコストパフォーマンスは変わるでしょう。
実際にeラーニング研修をスタートするまでの流れをまとめました。企業により順番が異なる場合もありますが、一般的な流れとしてご紹介します。
eラーニングを検討する最初のステップでは、現場の課題や経営層の方針、受講対象者の特徴などを洗い出すヒアリングが重要です。
ヒアリング結果を踏まえ、どのような研修効果を見込めるかを社内プレゼンで共有します。事前に数字や事例を交えて説明することで、導入によるコスト削減や学習効果の高さなどを具体的に示し、関係者の理解を得やすくなります。
この段階で経営層や部署責任者の承諾と協力を得ることができれば、スムーズに次の導入シミュレーションや研修会社の比較に進むことができます。
上記で説明した基準をもとに、複数の研修会社をピックアップして機能やツールの説明を受けましょう。実際にサンプルページを使用したり、ログインすることができる企業であれば操作性を事前に確認できるため便利です。
冒頭で説明したように、企業としてeラーニングを導入する目的とツールの機能や扱う研修テーマが合っているかについても、改めて確認しましょう。
導入するeラーニングシステムが決定したら、なるべく早い段階で社内全体に周知を行います。eラーニングの利用方法や目的、活用メリットなどを明確に伝え、受講者が学習をスタートしやすい環境を整えましょう。運用開始直後は、システムの使い方やコンテンツの理解度に個人差が出やすいため、小まめなフォローが重要です。受講が進まない人がいれば理由を確認し、手順の説明や学習計画の再調整などを行います。
頻度は企業によりますが、導入して終わりということが内容に定期的に確認しましょう。確認内容としては、企業が提供する研修テーマや機能面での不便がないか、扱っているカリキュラムのレベル感や種類は妥当なものか、サポート体制は問題ないかなどです。
導入時、どの程度で学習効果やツールの活用が上手くいっているかを確認するか決めておくことがおすすめです。
eラーニング研修の導入・活用により、企業や受講者の双方が得られるメリットは非常に大きいものです。その一方で、導入コストや受講者のモチベーション管理など、乗り越えるべき課題も存在します。適切なシステムを選定し、集合研修との併用やフォローアップの手厚さを意識することで、これらの課題を最小限に抑えられます。
今後も働き方の多様化が進む中で、eラーニングは企業の研修スタイルの中心的存在となることが予想されます。自社の研修目的や受講者のニーズを踏まえながら、最適な導入と運用を目指しましょう。
リスキル事務局が記事の執筆・監修をしています。人材育成にまつわるお役立ち情報を分かりやすく解説します。
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■プロフィール
会社名:株式会社リスキル
(「リスキル」は株式会社リスキルの登録商標です。)
設立:2022年5月2日
上場市場:東京証券取引所グロース市場
■研修実績
・利用社数は年間2900社以上
・受講人数は年間9万人以上
・プロフェッショナルの講師陣200名以上在籍